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プロローグ
コツ コツ コツ 、
原田望美は、平並学園中等部3年生だ。
彼女もやはり思春期の女の子で、学校帰りの寄り道に楽しみを持ったりもしている。
そして今、それまで一緒にいた友達と別れ、ひとり帰宅路についていた。
いい加減、日も落ちてきており、少し薄暗い道を歩いていた。あまり人通りの多い道でないため、周りには人がいない。
―――はずなのだ。
望美は、先程から、後ろで聞こえる足音に、肩を震わせていた。
初めは気のせいかと思ったが、ちらりと後ろを向けば、その人影はさっと物陰に隠れてしまう。
尾行されているのだろうか。もしかすると、ストーカーかもしれない。
「美人は辛いな、と」
本人は至って呑気なものだ。
その日は、まったく気にせず家へと帰り、そのままご飯を食べるころには、ストーカーのことは頭の中からすっかり消えていたのだった……。
―――家のポストに入っていた封筒の中身を見て、悲鳴をあげることになるのは、その2、3日あとのことである。