表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/30

第8話 孫はドラゴンに頭を抱える

「なんと……ドラゴンとは。」


シュエルの部屋が何やら騒がしいと様子を見にきたら、小さな黒竜がいるではないか。


ドラゴンとは精霊の中でも最高位の存在で滅多にお目にかかることはない。


しかも子竜とは……。


基本的にドラゴンは子育てを行う。

子供が独り立ちするまでは人目のつかない場所で親竜がつきっきりで世話をする。


そのため子竜単体での目撃情報はほとんどないのだ。


「やっぱりこの子、ドラゴンなの?」


シュエルの膝で丸くなり、撫でられ目を細める姿を見ると確かに疑わしくもなる。


仕草は小動物のようだが、全身を覆う鱗、背中についた蝙蝠のような翼、小さいが鋭い牙。


まごうことなきドラゴン。


「珍しいが、そのようじゃの。」


そこでわしはとあることに気づく。


「もしや、最近うちにおった精霊はお主か?」


ドラゴンは一瞬きょとんとした表情をしたが、ピュイ!と短く返事をした。


「最近…うちにいた?」


シュエルが不思議そうな顔をしている。


気づかなかったのも無理はない。


シュエルを森に行かせた後からだったか。


うちで妙な気配を感じていたのだ。

ただ、敵意はなかったので放置していた。


精霊とは気まぐれじゃし、よくあることだと思っていたのだが、まさかドラゴンじゃったとはな。


その上、これは────。


「シュエルよ。

 お主、そのドラゴンと仮契約が結ばれておるぞ。」


「え?仮契約?」


不思議そうに聞き返すシュエル。


「ああ、使い魔と契約を結ぶには特殊な魔法を使う必要があるんじゃ。

 そのためには準備も必要でな、その前に仮で契約を結ぶのが仮契約じゃ。」


「へ〜。でも私何もしてないよ?」


「仮契約とはどちらかが合意すれば結ぶことができるんじゃよ。

 今回はそのドラゴンが勝手に結んだのじゃろうな。」


なるほどな…。

それでシュエルは精霊に好かれなかったのか。


シュエルから高位の精霊であるドラゴンの気配を感じて、恐れをなして逃げていたのじゃな…。


「さて、せっかくじゃし、契約の儀式をしようか。」


「契約の儀式……?」


◇◇◇


わしらは儀式のため場所をシュエルの部屋から外へと変えた。


「おじいちゃん、何これ?」


そう言いシュエルは地面を指差す。


そこには、大きな円。


その内側には、見たこともない古代文字や、不思議な紋様が幾重にも刻まれていた。


「契約の儀式に使う魔法陣じゃよ。

 ほら、これを持って二人でこの真ん中に立ちなさい。」


そう言いシュエルに桃色の花を手渡す。


「あ、これ、ウィンクルムの花……。」


「そうじゃよ。この花がないと契約は結べなくてな。 じゃからこのためにとってきてもらったんじゃ。」


「そうだったんだ。」


「さ、始めるぞ、さっき教えた呪文を唱えるのじゃ。」


「はい!」「ピュイ!」


パタパタと飛んで魔法陣の中心に着地したドラゴンは、わしらの言葉がわかるのか短く返事をし、自信満々といった表情をしている。


呪文を唱えるのはシュエルなんじゃが。


『ペル・フィデム・エト・アミキティアム、ウィンクルム・コルディス・ネクト。スピリトゥス、エスト・ミヒ・ソキウス・アエテルヌス。』


シュエルの凛とした声が辺りに響く。


ウィンクルムの花が、ふわりと宙に舞い、淡い光をまとう。その花はやがて形を変え、二筋の光となって空中を漂った。


ひとつは静かにドラゴンの額へ。

もうひとつは、シュエルの右手へ。


触れた瞬間、光は溶けるように二人の中へと吸い込まれ──。


桃色の花の紋章が浮かび上がった。


「これで契約は成立じゃな。」


シュエルは、不思議そうに自分の手を見つめた。


肌に刻まれた紋章は、まるで呼吸するように光を宿し、彼女の鼓動と重なっていた。


「……これが、契約の証?」


「ピュイ!」


その時、子ドラゴンが勢いよく一声鳴く。シュエルめがけて小さな体をぴょんと跳ねさせ、全力で抱きつく。


「わっ!」


柔らかな鱗と温かい体に包まれ、シュエルは思わず笑みをこぼす。


「そうじゃ。せっかくじゃし、そやつに名前をつけてあげなさい。」


◇◇◇


「あ!また勝手に!!」


お菓子をつまみ食いするドラゴン。


それに怒るシュエル。


賑やかになったものじゃな……。


どうやら最近食糧が減っていた件の犯人はこのドラゴンだったらしい。


「それは私のお菓子!

 勝手に食べないでって言ったじゃん!!」


ドラゴンはプイッとそっぽを向いて、窓から外へ出た。


「あ!にげた。ねぇ、おじいちゃん!

 あの子ちっとも言うこと聞いてくれない!!」


「そう怒るでない。

 少しずつ信頼関係を気づいていけば良い。」 


でも……と不満気なシュエル。


「そうじゃの。ならば二人に試練を与えよう。」


「試練?」


多少荒療治ではあるが、共に危機を乗り越えれば自ずと絆は芽生えるじゃろう。


パチンと指を鳴らす。


すると先ほど逃げ出したドラゴンがバタバタと空中から現れる。


「ピュイピュイ!!」


むすっと不満げに抗議するドラゴン。


その全てをスルーし、わしは二人へと告げた。


「お主ら二人は今から洞窟へ向かい、鉱石を採取してくるのじゃ。」


第8話ありがとうございました!


もし少しでも気に入っていただけたら、

コメントやレビューで応援してもらえると嬉しいです!


次回、次回の物語は——二人は洞窟へ!!


第9話「孫とドラゴンの大冒険!」

次回もぜひお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ