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プロローグ
それは、ページをめくったときだった。
図書館の静かな午後。
何気なく手に取った一冊の本。
表紙にタイトルはなく、ページの中身もどこか曖昧で、古びていた。
なのに──私は知っていた。
この本の結末を、私は“もう一度読む”ことになる。
ページをめくるたびに、誰かが現れて、誰かが消えていった。
恋をするたびに、心が満たされて、そして欠けていった。
それでも私は、最後まで読み続けた。
この物語のすべてを。
そして終わりのそのページで、私はようやく出会う。
──物語の中で、たった一人残された「君」と。
……ねえ、これは、誰が書いた物語だったの?
私? あなた? それとも、読んでいる“誰か”?
答えはまだ、綴られていない。
けれど私は信じてる。
“君と読む終末の恋”の、その続きが、
このページの向こうにあるってことを。