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恋活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

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確かにコレはあの男が持っていた小刀だ

 

 エルフさんのお顔、何だかとっても怖いのです。


 まるで街の自警団のような?

 もしくは王都の門番さんのような?


 依然としてこちらを疑っているおめめですの。



「では、貴様がパールスターの者だとして、その姓と身分を証明する物はあるか」


「み、身分証明? うーん……」


「ふぅむ? 別に悩むようなことではないと思いますけれども」


 意外にもお困り顔をなさるんですのね。

 どうして素直に悩む必要がございまして?


 私たちは由緒正しき正真正銘の勇者と聖女なのです。お国の命令に従ってココにおりますの。


 こうして生きて旅を続けていること自体が既に証明しているみたいなモノなのでございます。


 エルフさんに必死に訴えてみたところで伝わらないと思いますけれども……。


 ……ふぅむ? あ、そうですの。

 と言いますか私、最強の必殺技を思い出したのでございます。


 そもそものお話、私たち、旅立ちの祭典の際に国王陛下から勅命状を手渡されておりませんでしたっけ?


 ただの紙っぺら一枚ではありましたが、一応はお国の公的な文書ですの。


 そちらに国王様も含めた各々の手書きのサインと指朱印がしっかりと刻まれていたはずです。


 今は収納袋の奥のほうに丸まってるはずですから、さっさと手を突っ込んでガサガサとして、グイッと引っ張り出せたらそれで一発解決できるはずですの。


 とりあえずスピカさんに向けて首を傾げつつ、簡単なジェスチャーも交えてお尋ねしてみましたところ。


 どうやら意図は伝わったようですの。

 けれどもちょっとだけ渋られてしまいましたの。


 かなりの小声でお答えを返してくださいます。



「確かに任命書は持ってるんだけどさ。エルフ族さんには読めないかもしれないし。だからもっと一発で伝わるモノないかなぁって」


「むむ。それも、そうですわね」


 仰る通り、異文化圏の方ですと、あの勅命書の読解は容易ではないと思いますの。


 かなり達筆かつ繊細な字で書かれておりますし。


 下手したらどれが名前なのかも判別できない可能性までございます。


 となりますと……ふぅむっ。


 さすがは頭の回転の早い私ですわね。

 またも妙案を思い付けましたの。


 決定打になるかもしれません。



「ねぇねぇスピカさんやスピカさんや」


 目線をお手元に(・・・・)促してさしあげます。


 身分を証明できるモノなら、たった今貴女がおててに(・・・・)握っていらっしゃるのではございませんこと?



「それでは貴女の小刀(ナイフ)はいかがでして? そちらはお祖父様から受け継いだ由緒正しき代物なのでございましょう?」


「あ、そっか……! リリアちゃんナイスっ!」


 ふ、ふっふんっ。

 私は何かと機転と気が利く女ですもの。


 偶然と閃きの二単語で片付けるにはもったいないくらいの、更にはこの豊満なお胸よりも遥かに柔らかい頭脳を私は有しているのでございます!


 ほーらほら? もっとお褒めてくださいまし。


 別に今じゃなくてもよろしいですけれどもっ。

 この問題が綺麗に片付いてからで全然構いませんけれどもっ。



 というわけで、スピカさんがもう一度ナイフを掲げ直しなさいましたの。



「あの、エルフさんっ」


「なんだ」


「この小刀(ナイフ)に見覚えはないですか!?」


「ッ!?」


 鋭利な刃物に注目が集まったせいか、この場の空気が一瞬だけピリリと張り詰めたように思えましたけれども。


 取り出したのが敵意のためではないとご理解いただけたのか、すぐに彼らは弓を下げてくださいましたの。


 ゆっくりと、警戒気味にエルフ族の女性が近付いてきなさいます。


 静かに小刀を受け取りなさいましたの。


 そうしてマジマジと見つめては、柄や刃元までじーっくりと観察し始めなさったのでございます。



 二人してその様子を見守りましたの。


 やがて、しばらく経った後に。



「確かに、コレはあの男が持っていた小刀だ」


 大きな頷きを見せてくださいましたの。


 いやはやさすがの記憶力ですわね。

 五十年前に現れた男の姓名を覚えていただけのことはありそうです。


 すかさずスピカさんが補足なさいます。



「多分その男の人、私のお爺ちゃんだと思います。先代の勇者でしたから。私が幼い頃にその小刀を譲り受けてから、ずーっと肌身離さずに持ち歩いてて、それで今もこうして……っ」


「なるほど」


 ふぅむ。ほんの一瞬でしたが微笑みを見せてくださったような気がいたします。



「よかろう。ならばお前を認めよう。だが部外者に森を荒らされても困る。着いてこい」


「ふぅ。よかったぁ」


「けったいな疑いが晴れてよかったですの〜」


 これで大手を振ってエルフ族さんのご協力を得られそうですわねぇ。


 そしてまた集落を探す手間や交渉をする手間が省けそうで何よりですの。


 上手くいけば本当に最短の二ヶ月程度の踏破も夢ではないかもしれません。


 今すぐにでもスキップしてしまいたい気分です。



――と、思い始めていたその刹那のことでしたの。



「待て。パールスターの横の小娘よ」


「へっ?」


「そうだ。金髪のお前だ。貴様の疑いはまだ晴れてはいない。今すぐに身分の分かる物を掲示せよ」


「はぅぇっ!? 私のも必要なんですのっ!?」


 隣を歩くスピカさんが問題なかったのであれば、自動的に私もおっけーになる流れだったのではありませんのー?


 そんないきなり言われたって、私はスピカさんとはちがってぇ、あっと、えーっとっ。


 あっるぅぇえええー? ですの。

 

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