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恋活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

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って、言おうと思ったんだけどさ

 

 何者かの襲撃――というよりは偵察か何かだったのかもしれませんけれども――から、無事に一夜が明けましたの。


 あの後はしばらく気を張っていたせいか、おかげさまでかなり寝不足になっちゃいましてよ。


 それでも一応は交代で睡眠をとることができましたゆえ、翌日も歩ける程度の体力は回復できましたけれども……っ。


 中途半端な夜更かしはお肌によろしくありませんの。

 連日はさすがに避けたいのでございます。


 それに絶世の美女が目の下にクマを付けて行脚していては、魅力度も半減してしまいますでしょう?


 そんなの間違いなく世界の危機ですわよ。

 もちろん過言も嘘偽りも誇張もないですのっ。



 ……こっほん。


 一晩何事も起きなかったからもう安心、というわけにはいきません。


 場所はバレてしまっているのですし、同じところに留まっているよりは少しでも移動をしておくべきかと思われましたの。


 ゆえに警戒しながらも更に森を進んでみております。


 ただでさえ私は武器を携帯しておりませんゆえ、代わりにすぐに治癒魔法を唱えられるよう、胸に手を添えながら歩いておりますの。


 一方のスピカさんはいつでも臨戦態勢だと仰るかのように、腰元の小刀に手に掛けて慎重に足を進めていらっしゃいます。


 不意さえ突かれなければ私たちは基本的に強いのです。

 念には念を入れておいて損はありません。



「前方確認はよろしくお願いいたしますの。代わりにお背中側はお任せくださいまし。案山子(かかし)よりは役に立ってみせますゆえ」


「わざわざ明るい日中に接触してくるとも思えないけどね……何かあってからだと遅いから」


「仰るとおりですのっ!」


 蛇でも邪でもドンと来いでしてよ。

 清き聖女の晴れ渡る力で弾き返してさしあげますのッ!


 とりあえずの牽制としてワンツー猫パンチなジャブを二、三発放っておきます。


 これ、結構二の腕に効きそうですわね。

 定期的にやっておこうかしら。


 今のところは勘も腕も空を切ってしまうばかりで、やっぱり何も感じ取れませんけれども……ふぅむぅ……。




――――――

――――


――




 それから更に歩くこと数刻ほど。

 軽いお昼休憩を経た後も歩き続けましたの。


 どうやら木々の超絶密集地帯を抜けられたのか、ちょこちょこと木漏れ日が差し込んでくるくらいには開けたところに出られたのでございます。


 この具合であればテントを張る場所には困りませんわね。


 よーく耳をすませば、サラサラという爽やかな音が聞こえてまいりますし。


 もしかしたら近くに小川が流れているのかもしれません。


 休むには打ってつけの場所とも言えましょう。


 どことなく長閑な雰囲気についつい気が緩みそうになってしまいます。



「案外、何にも無かったね、リリアちゃん」


「そうですわねぇ。さすがにちょっと拍子抜けしちゃいますの。昨晩のは気のせいだっ――」


「――って、言おうと思ったんだけどさ」


「ふ、ふぅむッ!?」



 いつのまにかスピカさんが小刀を鞘から抜いて(・・・)いらっしゃいましたの……ッ!


 そうしていつもの逆手持ち構えスタイルになられて、ほんの少しだけ腰を下げていらっしゃいます。


 これは単なる警戒態勢ではありません。

 バッキバキの臨戦態勢なのでございますッ!


 で、でもっ、(くだん)(やっこ)さんは何処に!?



「私、まだ何も感知できておりませんでしてよ!?」


「お相手さん、かなり熟練の隠密スタイルみたいだからね。そもそも木を隠すなら森の中ってな感じなのかも。

あ、でも、この間のミントさんのほうが凄かったかな。あのときは全然気付けなかったし」


 皮肉気味に口元を歪ませて笑いなさいます。


 余裕があるわけでもなさそうで、冷や汗をタラリと垂らしていらっしゃいます。


 かなりご集中なさっているようですの。



 ち、ちなみに私っ。ミントさんに関してはほんのりと気が付いておりましたわよっ!?


 私も魔族の血を引いているからこそ、違和感を得られていただけかもしれませんけれども。


 しかしながら自ら語り出すまでほとんど魔族と気付けなかったあの人と比較なさるだなんて……。


 ということは、今対峙している方も相当な手練れではありませんでして!?


 何にせよお相手の存在を認知できないようであれば、最初(ハナ)から私では太刀打ちできませんもの。


 というわけですのでスピカさん。

 どうかご対処のほどよろしくお願いいたしますのッ!


 存分にやっちゃってくださいましッ!


 とりあえずの見かけ騙しとして、私も腕をズバッと突き出して手のひらをグパッと開いて、カッコ良さげなポーズを決めておきます。


 今にも魔法か何かを発動しそうでしょう?


 こちら、私渾身のハッタリ芸なんですのッ!

 戦えないと悟られてからでは遅いのです。


 いや、厳密には私も戦えますけれども。


 〝重さの異能〟を解放するのはあくまで最終手段にとっておきたいのです。



 私たちから見てちょうど右側のほうでしょうか。

 

 疎らに生える木々の、特に緑々と茂った上層部に向けて、スピカさんが語勢強めに言い放ちなさいましたのっ!



「で、いつまで隠れんぼを続けるつもり!? こっちはとっくに気付いてるんだよ。早いとこ姿を現しなよ。正直カッコ悪いよ」


「そうですのー! その通りですのー!」


「リリアちゃん。ちょっと静かにしてて」



 ……しゅーん、ですの。


 

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