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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第1章 王都周辺編】

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大森林に向けて、いざ出発いたしますわよッ!!!

 

 そうこうしているうちに、具体的にはスピカさんに角やら尻尾やらをコレでもかーっ! と言わんばかりに夜通し弄り回されているうちに、ようやく一夜が明けてくださいましたの。


 先祖還りもコレにて終了なのです。

 しばらくは平和な日々を過ごせるかと思われます。


 もちろん女神様もお帰りになりましたの。


 いつでも裁きの雷をスタンバっているとのご忠告と、この忌々しい光の貞操帯の両方を残してシュンとお空にお消えなさいました。


 そばで監視しているか遠くから眺めているか、その程度の些細な違いでしかありませんでしてよ、まったく。


 きっとこの思考も全部筒抜けなんでしょうね。


 いつか裏をかいてみせましてよ……!

 必ず色恋に溺れてみせるのですっ。


 旅の真っ最中が最大のチャンスなんですものっ。



「ふぁぁぇぇあ……それにしてもよーく寝ましたの。ひっさしぶりに熟睡できましたの……肩のチカラが抜けたからでしょうかねぇ……ふぁぁっふぅ……」


 無意識に大あくびをキメてしまえたのも、女神様の目を気にしなくてよくなったからなのでしょう。



「あ、おはよ、リリアちゃん。頭の角、完全に引っ込んじゃったみたいね」


「ええ、おかげさまで。このとおり跡形もなく」


 起床のご挨拶がてら、目を擦りながら姿勢を起こしたスピカさんに、前髪を掻き上げて額の辺りを見せてさしあげましたの。


 ほら、モノの見事につんつるなおでこが見えまして?


 おそらくは私が夢の世界に旅立っている間に身体変化が行われたのでございましょう。


 実は私、どんなふうに角が生えたり引っ込んだりしているのか、よく知らないんですのよね。


 真夜の日は明け方になる前にどうしても眠りに落ちてしまうのです。気絶に近いかもしれません。


 リリアーナの七不思議の一つと言えますの。

 ちなみに残りの六つはまだお楽しみでしてよ。


 だって私自身が思い付けておりませんしっ。



 さてさて、それはさておき、ですの。


 私と同じく小さく伸びをしていらっしゃるスピカさんではいらっしゃいますが、今日の朝方はどこかちょっとだけ残念そうな表情を浮かべていらっしゃいました。


 寂しげと言いますか、名残惜しげと言いますか。


 私がただの人間に戻ったから、なのでしょうか。


 どうやら私のクルクル巻き角とスベスベ尻尾をいたく気に入ってくださったようなのです。


 昨晩はベッタリくっ付いて撫で回していらっしゃいましたものね。


 半ば抱き枕にされていたも同然ですの。

 それ自体は別に構いませんけれども、ふぅむ……。


 もしや私をペット扱いなさってませんこと?


 特に言及まではいたしませんが、元々が小動物のように可愛らしいお方に、更に小動物的に扱われてしまうのって、実際問題どうなんですの?


 普段は間違いなく私が愛でる側の立場なんですのに、真夜の日に限っては形成が逆転してしまうとは……!


 スピカさん……実は、かなり恐ろしい子……!?



「ともかく何事もなく真夜の日を乗り越えられたことですし、これでもうトレディアの街でやり残したことはないと言えますわよね?」


「うん。そうだね。旅の便利グッズも買い終わっちゃってるわけだし。そろそろ頃合いかな。次の目的地に向けて、今日明日には出発しちゃおっか」


「思い返してみれば、案外こちらのオンボロ宿も住めば都の良物件でしたの」


 多少埃っぽくてもお布団がバチバチに固くても、雨風さえ凌げればそれだけでかなりの御の字なんですのね。


 身をもって痛感したのでございます。



「無くして初めて分かるありがたみってヤツだねぇ」


 スピカさんも同じ気持ちになってしまったのか、早朝早々、二人してしみじみとしてしまいます。



 私たちは順調に旅人特有のド根性を身に付け始めているのです。


 もうどこのどなたにだって、王都管轄のぬるま湯修道院出身の、筋金入りの箱入り引きこもり聖女などとは言わせませんの。


 いや、さすがに言われたことはありませんけれどもっ。



 今一度部屋を見渡してみます。

 オンボロながら、愛着が湧いてしまいました。


 初めての寝泊まり拠点ともサヨナラですわね。


 幸いにも荷物は粗方まとめ終わっておりますゆえに、いつでも出発可能なんですの。


 むしろお世話になったお部屋に感謝の意を込めて、スタコラお掃除を始めようかと思うくらいです。


 定期的に浄化魔法を掛けておりましたゆえ、今日もそこまでは埃立っておりませんけれどもっ。


 というよりちゃんと綺麗好きなだけですのっ。

 あまり見くびらないでくださいましっ。


 こう見えて私はとっても気の利く人間なのですっ。



 アイコンタクトにて、改めてスピカさんに準備万端の旨をお伝えいたします。


 きっと正しく伝わっておりますの。


 パジャマから外歩き用の修道服に着替えたのも出発の意思表示の一つなのですから。


 ほら見てくださいまし。その証拠に。



「はいリリアちゃんっ。お部屋に向けて感謝の言葉斉唱っ」


「大変お世話になりましたの。私たちが旅を終えて帰ってきたときに、何やかんやでまた顔を出したいですの。それまでキチンと存続していてくださいまし」


「はいおっけー! それじゃあ次なる目的地は!?」


「それはもちろん〝大森林(だいしんりん)〟ですのッ!



 ふっふんっ。


 いざトレディアの街から出発するということは、いよいよ本格的に王都近辺にサヨナラバイバイするってことですものね。


 ここから先は今まで以上に独力で歩んでいかなければなりません。


 王都から離れるということは、私たちの身分情報もそこまでは行き渡らなくなっているということでしょうし、これまでのように勇者と聖女であると簡単には信じてもらえなくなるかもしれませんの。


 顔パスという強力な手が使えなくなるのです。


 それだけでも結構なディスアドバンテージだと言えましょう。


 もちろん懸念はそれだけではありません。


 北に近付くつれて道が険しくなっていったり、更には〝反・魔王派〟と出会ってバトルを余儀なくされてしまったり、挙げ句の果てには凶悪な魔物と遭遇してしまう恐れもありますわよね……ッ!


 今よりずっと大変な道のりになるかと思われます。


 私は戦闘要員ではございませんが、重さの異能を駆使すれば、最悪逃げるが勝ちの及び腰戦法くらいなら選べるようになったのです。


 後々に女神様に怒られてしまうのだとしても、命に代わるモノなどございませんし。


 恥もプライドも恐れも秘密も、この部屋に全て置いていってしまいましょう。そうしましょうっ。


 綺麗さっぱり解き放たれた精神で、己に課せられた使命をまっすぐに果たして、今後に待ち受けている壮絶な試練を華麗に退けてさしあげるんですのッ!



 サクッとまとめさせていただきます。


 この私、聖女見習いのリリアーナ・プラチナブロンドと、今代勇者のエルスピカ・パールスターさんのより一層のご活躍を、刮目してご期待くださいましっ!



 さぁさぁっ!


 大森林に向けて、いざ出発いたしますわよッ!!!



 もちろん俺たた(・・)ENDフラグじゃないですの。


 ここからが旅の本番ってコトですのッ!!!




【第1章 王都周辺編】 完


【第2章 大森林動乱編】 へと続く


 

 


さてさて。さてさてさて。

長い長い序章の読了、

本当にお疲れ様でございましたっ!

もう既に20万字ですってよ、奥さん

(*´v`*)


続きとなる第2章の大森林動乱編では

二人のカッコいい姿を見せられたらなぁ、なんて。

戦うリリアちゃんをもっと見たいなぁーッ! なんて。

そんなことをフワフワァと思っております。


可愛らしい勇者と可愛らしい聖女の二人が

どんな事件に巻き込まれてしまうのか!

否、どんな事件を引き起こしてしまうのか!?

今後にこうご期待くださいませッ!


(*´v`*)あ、ブクマと評価、忘れてないですか?

感想も引き続きごゆるりとお待ちしておりますっ!


 

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