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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第1章 王都周辺編】

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んあっふっ♡

 


――そして、翌日。



 昨日のお打ち合わせの通り、今日は職人街のほうに出向きましたの。


 以前に目を付けていた武器商店をはじめ、大森林に繰り出すための前準備を本日中に済ませておくつもりなのでございます。


 基本的にはウィンドウショッピングなのですが、旅の便利グッズを見つけてしまったときにはその限りではありません。


 二人で検討に検討を重ねて、購入に至りますの。


 例えば、ちょっぴり古ぼけてはおりましたが、拡縮機能付きの収納袋なんかは即買いいたしましたわね。


 大きな鞄を抱えながらの戦闘はできないですもの。

 持ち歩く荷物自体が最大の足枷になってしまいます。


 ただでさえ〝気軽に手軽にそして身軽に〟を旅のモットーとしている私たちなのです。


 まるでお家の近くをルンタタお散歩するかのごとく、スタイリッシュに旅をしてまいりましょう。


 コレはイイ買い物ができましたの〜っ。



 しかしながら。

 全てがラッキーなことばかりではございません。


 少しだけ予想外かつ悲しい事件が起きてしまいましたの。


 以前ブラついた際に目を付けていたモノが、本日は見当たらなかったのでございます……っ。



「残念でしたわね。あの綺麗な宝石付きのナイフが、まさか売り切れてしまっていたとは」


「そうだねぇ……うーん……。でも、買った人を素直に褒めてあげたいよ。アレ間違いなくイイ物だったもん。身体強化の魔石付きなんて早々出回らないはずだし」


「ふぅむ。生粋のナイフ遣いがそう仰るのであればそうなんでしょうね」


 武器屋の目玉商品だったのか、在庫も含めて綺麗さっぱりハケてしまって、次の入荷日の予定も決まっていないのだとか。


 これは惜しいことをいたしましたの。


 今回はタイミングがよろしくなかったと涙を飲む他に手はございません。


 こういうお買い物は一期一会ですものね。

 元気出してくださいまし。


 前を向いて探していれば、もっとお手頃かつピッタリな武器が見つかるかもしれませんでしょう?


 ほ、ほら。あちらの棚の逆反りナイフとかカッコよくありませんこと? ワイルドなデザインが乙女の少年心をギュンギュン刺激してきますの。



「……高いお金出して買うんだし、妥協したモノを買うのは、なんかちがうかなぁって思うんだよね」


「そ、それは確かにっ、ですの。中途半端はダメですわよね。惚れた買ったが一番ですの」


 私も一目惚れを何よりも重視しておりましてよ。


 初見でビビッとこなければ、後々もよろしくないことが大抵なのでございます。


 一応ながら、コレは体験談ですの。


 ……あえて深掘りはいたしませんけれども。



 まぁでも、絶対に武器を買い換えなきゃいけないわけでもございませんでしたし。


 今回はご愛用のナイフのままで森を越えることにいたしましょうか。


 その代わりに浮いたお金で甘くて美味しい系の保存食を沢山買い込んでおきませんこと?


 ねぇねぇ、いいでしょう?


 うぇっへっ。うぇっへっへっですの。



「あ、そうだ。リリアちゃんこそ杖とか買っとかなくて大丈夫?」


「杖ですの? ……あー、もしや聖女を僧侶や魔法使いと同じだと思っていらっしゃいませんでして?」


「ありゃ、使わない感じ?」


「ええ。特には別に」


 私の詠唱はあくまで呪文ベースではなく、女神様への祝詞やお祈りがベースとなっております。


 ゆえに杖などの媒介装置は基本的に不要ですの。


 同じ一つの魔法として分類されてはおりますけれども、聖女の扱うチカラは根本的に別モノなんでしてよ。


 強い思いそのものが魔力に変換されるのです。


 そこから女神様への祈りを通じて、具体的な効果が現出される一連の流れとなっているのです。



「つまりはお喋りが一番の武器ってことですの!」


「……うん?」


 最悪願ってさえおけば勝手に魔法を発動させられるってことでもあるんですのよねぇ。


 もちろん実際に声に出したほうが効果はずっと大きくなりますけれどもっ。


 この辺は結構曖昧だったりいたしますの。

 女神様の気まぐれ一つで効果や範囲が変わってしまうこともございますし。


 気に入らない魔法なんかは発動自体を却下されちゃうこともあるのです。


 そうならないためにも、普段は適当におべっかを並べておいて、更には時たまおだてて機嫌をとっておいて、私の好きなタイミングで扱わせていただけるように日々調整しておけばよろし――



「んあっふっ♡」


「えっと。どしたのいきなり」


「おっと。さすがに今のは言葉が過ぎましたの。素直に反省しておりますの。ご勘弁くださいまし」



 まーた裁きの雷を受けてしまいました。

 今もなおピリリとお股間が痺れております。


 別に女神様を尊敬していないわけではないのです。


 とっても優美で寛大なお方だとは思っておりますのっ。


 ……ですけれどもっ。


 さすがにちょーっとばかり監視がキツくはありませんことー!?


 もう少し自由に振る舞わせていただいても構わないのではありませんでしてー!?


 私はアナタの敬虔な信徒ですの。

 それ自体は決して変わることはありませんのっ。


 ゆえに言論の自由と思想の自由くらいはお認めくださいましっ。


 ……まったくもう。


 先代の聖女さま方はよくもまぁ何の不平不満を言わずに使命を完遂なされたものですわよねぇ。


 きっと忍耐力の桁が外れているんですの。

 常人と大差ない私には到底真似できない領域ですの。



 ほ、ほら、そんなことはどうでもいいですの。

 スピカさんや。手と足が止まっておりましてよっ。


 ウィンドウショッピングを続けてまいりましょう。


 どのみちそろそろやってきてしまう真夜の日には、私は一日中動けなくなってしまうのでございますっ。


 今のうちに必要なモノを買い揃えておきませんとっ。


 じ、時間とは常に有限なんでしてよっ!!!

 

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