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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第1章 王都周辺編】

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ふぅーん。へぇ、なるほど。ぷふっ

 

 少々膨れっ面気味の私ですが、ある程度時間が経ちましたら心も勝手に鎮まるかと思いますの。


 けれどもホントに何なのでございましょう。

 この妙な胸騒ぎは……。


 単に私のメンタルだけでなく、聖女のチカラまでが彼女に危機反応してしまっているかのような?


 そんな違和感があるのでございます。


 まるで真夜(・・)の日のソワソワ感をヒトとして具現化させたかのような……。


 形容しがたい胸中、真っ最中なんですの。



 とにかく絶妙に微妙な空気感の中、困り眉なスピカさんが会話を切り出し始めなさいました。



「それじゃ早速なんだけど今回の依頼内容がどんな感じなのか、聞いちゃってもいいかな? えっと、あなたのお名前は――」


「ミント。別に苗字までは教える必要ないでしょ?」


 スパッと一言、言葉を遮るようにしてお名乗りなさいましたの。


 ホントに無愛想を鍋で煮詰めたような方ですわね。

 まるっきり可愛げがございません。


 お名前はこじんまりとしていて可愛らしいですのに。



「な、なるほどミントさんね。覚えました」


「そういうアンタはエルスピカ・パールスター、だったっけ? 五代目勇者の実孫でパールスター本家の期待の新星(ニュービー)さん」


「あっはは、よくご存知なようで」


 一瞬面を食らったのか、フルネームを言われて目をパチクリとなさいましたの。


 けれどもすぐにいつもの笑顔にお戻りになりました。


 ふぅむ。ミントさんとやら、私たちをダイレクトに指名してきた分、キチンと下調べくらいはしてきなさってきたみたいですわね。


 一応は評価してさしあげますの。

 けれどもこの先のほうが大事でしてよ。


 スピカさんは名家のお生まれゆえ、世の中に沢山の情報が出回っているかと思われますが、その横を歩む私は簡単には調べられませんの。


 修道院の秘蔵っ子でしたものね。

 言葉とは真逆の意味で、でしたけれども。



「じゃ、そこまで私のこと知ってるなら自己紹介は要らないよね。あ、でも、もっと気楽にスピカって呼んでほしいかも。そっちのほうが慣れてるし気張らなくて済むし」


「フン。覚えてたらね」


 そっぽを向いて、足を組み直しなさいましたの。

 指の一摘み分も興味ないわと言わんばかりのご態度なのです。


 怒髪天タイムな私だってそんな棘のある言動はいたしませんでしてよ。


 お子ちゃまのわがままさがそのまま鎮座しているかのようですの。


 無愛想で傲慢チキなフード被りさんとはちがって、うちのスピカさんはホント親切で優しくてお可愛らしいですわよね。


 はにかむ笑顔が最高にキュートなんですの。


 お困り顔も可愛らしいことこの上なく。

 口に出すと怒るので黙っておきますけれども。



 と、ここでお二人の間にしばしの静寂が訪れましたの。


 どちらも本題に話題を切り替えるような様子はなく、ただ、何かを待っていらっしゃるような……そんな停滞した空気を感じ取ってしまいます。


 ……ん? どうなさいましたの?


 二人して私の顔をお見つめなさいまして。


 まさか私も名乗りくらいは挟んでおけ、と?


 ふぅむ……仕方ありませんわねぇ。


 華麗にスルーを決め込ませていただくつもりでしたが、スピカさんまで行動を求めてくるなら簡単に無下にはできませんの。


 とはいえこれ以上無意味なイザコザを生じさせて、時間を無駄にしたくもありませんし。


 サラッと呟く程度のモノにさせていただきましょうか。



「……こっほん。リリアーナ・プラチナブロンドですの。まだ見習いかつ新米の身分ではありますが、一応は女神様に見定められた聖女ですの。以後、お見知りおきを」


「ふぅーん。へぇ、なるほど。ぷふっ」


「……あの、何か文句がございまして?」


「いーや別にぃ? 面白いこともあるんだなぁって思っただけ。今この目で見てハッキリと分かったから、それでおっけー」


「……私も、アナタにはただならぬ気配を感じておりますゆえ、きっとお互い様でしてよ」


 フードの隙間から彼女の瞳が見えました。

 私と同じく、紅に輝いておりましたの。


 そしてまた、口元のニヤケ具合が更に強くなったようにも感じられました。


 正直、適当に煙に巻かれてしまった感がハンパないのですが、言及してもはぐらかされそうな気がいたしますゆえ、私も口を結んで黙っておきましょうか。


 といいますかさっさと本題に移りませんこと?


 目線と顔の動きで促してさしあげます。

 おまけに睨みを効かせておきますの。



「まぁいいわ。とりあえず要件だけ先に言わせてもらうけど。

この街からそう遠くないところに、だだっ広い草原があるじゃん? ナントカっていう湖のほとりの。そこにアタシを連れてって。はい以上」


 いや、以上って。

 意図を汲んでくださったことには感謝いたしますけれども。


 さすがにザックリしすぎて意味が分かりませんの。


 あの、誠に恐れ入りますがスピカさん。

 可能なら補足してくださいませんこと?


 この辺の地図状況にお詳しそうですし。

 方向音痴な私をいつもフォローしてくださいますし。


 ちらりと視線にてヘルプをお頼み申し上げます。

 

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