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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第3章 神聖都市セイクリット編】

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しらみっつぶしのサァーチ&デストロォイってのは



 おそらく私。

 今回ばかりはキチンと目が覚めましたの。


 お部屋の眩さを感じ取ってしまうのか、目の裏がピリピリと反応するんですもの。


 これ以上眠り呆けていられないと脳が判断するには、充分すぎるほどのパッチリおめめ感ですのっ。


 半身を起こして大きく伸びをいたします。



「ふわぁ……ぁふ。よく寝ましたのー」


「あ、リリアちゃんおはよう。って言ってもそろそろ夜なんだけどね」


「アンタ、こんな時間まで昼寝してたら生活リズム崩れるわよ」


「お二人ともお帰りなさいまし。ご無事で何よりですの……ふぁ……ぁ」


 込み上げてきたあくびを平手で隠しながらもう一度伸びをいたします。


 とりあえず力任せに背中を張ってみると、凝り固まった筋肉やら関節やらがバキボキと音を奏でましたの。


 日頃の運動不足が身に沁みますわね。

 身体が重いのはそれだけが理由ではありませんけれども。


 朝に比べれば体調はだいぶマシになりましたの。  少なくとも茹だるような発熱は無くなっております。


 まだまた気怠さこそ身体に残っているのですが、全く動けないほどでもありません。


 ……よいしょっとっ。


 キチンとソファに座り直させていただきました。


 こうしてほぼ一日眠り呆けてしまいましたが、せめて状況の整理くらいはしておいたほうがよいと思ったのでございます。



「ぅおっほんっ。今日の成果はいかほどでして? 私がいなくとも現場は回りましたの?」


「ああ、そのことなんだけどね……」


「ふぅむ? 早速の不穏げな空気ですけれども」


 地味ぃに眉間をシワを寄せたスピカさんが、いかにも渋々といったご表情でお話を始めてくださるようでしたの。


 何やら訳アリのご様子とお見受けいたします。

 とりあえず拝聴してさしあげましょうかっ。



――――――

――――


――



「――何ですってっ!? 奴隷市場が開かれていなかった、ですってぇ!?」


「正確には私たちが現場に到着したときには、すでにもぬけの殻(・・・・)だったって感じかな。檻を引き摺った跡は見つけたから、多分、急いで撤収したんだとは思うんだけどね」


「規模もかなり小さい市場のはずよ。仕方ないっちゃ仕方ないわね」


 なるほどなるほど。お話を勝手に要約させていただきますと、今日のお二人は現場を押さえられなかったからこそ、次の開催の手がかりを見つけるべく、丸一日街中を奔走なさっていたというわけですのね。


 どおりで戦闘の後の感じがないわけですの。

 衣服の破れや汚れが全然見当たらないんですもの。


 結果的に私の治癒魔法も必要なかったようですし、今日同行していたら、行動力の低い私は完全に足手まといになっていたわけですし。


 ……何だか全体的に不完全燃焼ですわね。



「ま、アタシたちの活動も抑止力にはなってるって証拠よ。ヤツらの取り扱ってる商品(・・)のほうもだいぶ底を尽いてきたんじゃないかしら」


 珍しくミントさんが勝ち誇ったお顔でフフンとドヤドヤなさっていらっしゃいますの。


 確かに成果が目に見えて分かるのは嬉しいのでございましょう。


 私たちが奴隷の方々を助け出せた分だけ、酷い扱いを受ける可哀想な魔族さんが減るわけですものね。


 チリも積もれば何とやらというモノですの。



 しかしながら、なのです。



「その様子では、お次の市場開催予定日も怪しくなってしまった感じなんですのよね? 本当に開かれるかわかったものではありませんの。しらみっつぶしのサァーチ&デストロォイってのは、さすがに効率が悪くありませんこと?」


 私たちだって年単位の張り込み捜査ができるわけではありません。


 滞在を続けるにしたって限界がありますの。


 もっとほら、ボスをぶっ叩いたら一発完了!

 みんなハッピのはっぴっぴー!


 みたいな即解決ルートはございませんの?



「……アンタの言うとおりではあるのよ。もちろん大元を潰さないと意味がないってのも重々に理解しているわ。

とはいっても、市場の主催元をとっちめたところで何かが出てくるわけではないわね。所詮、末端のひ孫請けだろうから」


 金を貰って代理で開催してるだけよ、と。

 ミントさんはやれやれ顔でそうお続けなさいましたの。



「ふぅむぅ。せめて尻尾の一つや二つ、覗かせてくださるとありがたいんですけれども……」


「アンタやアタシみたいに、実際に尻尾が生えてるわけじゃあないから――ねッ!」


「ふぅむぅッ!?」


 ちょ、ちょっとぉっ!? 脈絡もなく尻尾を掴んで引っ張らないでくださいましぃっ!


 ただでさえ私のはかなりデリケートな部位と化しているんですのっ!


 普段は生えておりませんから感覚にも慣れておりませんゆえ、結果的にかなり敏感になっているのでございますぅ!



「えっと、それでねリリアちゃん。ミントさんとも少し話し合ってみたんだけど」


「ふっ……ふぅむぅ……?」


「もう少し奴隷市場の動向を調べてみて、それでもまったく埒が明かなそうだったら、今回はもう私たちの旅のほうを優先しようかって」


「はぇっ!? ミントさんはそれでよろしくて!?」


 ま、まだ貴女の目的が完遂されたわけではないと思いましてよっ!?


 私もついつい動揺を隠せませんでしたのっ。

 尻尾もビクリと反応してしまいますっ。

 

 

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