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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第3章 神聖都市セイクリット編】

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ソレとコレとは難易度がケタ違いですものっ!

 




「――はいっ。以上の経緯で我々勇者パーティは、ついに遠距離通信手段を手に入れたわけなのでありまーす!」


「ま、無いよりはマシってことね。おーけー理解したわ」


「……ふわぁ……ぁふ……おっと」



 さて、説明タイムが終わりましたの。


 思ったよりも長かったので途中からは話半分に聞き流させていただきました。


 ……この間、何度かあくびを誤魔化していたのですが、バレておりませんでしょうか。


 とりあえず今回押さえておくべきは、遠距離における即時の通信手段を探していた点と、その条件を満たせる手頃かつ安価な手段はないかという二点ですの。


 上手いことピッタリ当てはまったのが私の指に嵌められたこの〝恋人たちのペアリング〟なんですのよね。


 魔力を込めることでもう一方の指輪を光らせることができる便利魔導具らしいのです。


 どうやら遠距離恋愛中のカップルのための商品なのだそうで、ロマンチックですの。


 ……光らせるのに少々コツが要りそうなのが難点なのですけれども。


 私としてもバッチリ上手く動作させられた経験はありませんし、実際、どこまでの光量を有しているのかもイマイチピンときていないのが現実なのです。


 私が手元の指輪を一瞥いたしますと、それに合わせてミントさんも自らの指に嵌められている銀色の指輪に視線を移されましたの。



「よーするに、実用レベルで使えるかどうかっつーのは、いくらか実験が必要ってことね。どんだけの魔力を込めればどんなふうに光らせられるのか」


「さっすがミントさん。ちょうど二人が揃ったら確かめてもらおうって思ってたんだ」


「ちなむと、私がありったけの魔力を込めてもちびーっとしか光りませんでしたの。あくまでお土産レベルの民生品だと思われますの」


「フゥン。ま、百聞は一見にしかずよ」


 ミントさんがニヤリと自信ありげな微笑みを見せてくださったと思えば、彼女は部屋の照明にかざすように手のひらを掲げなさいますと、その後すぐに目を閉じながらふぅっと軽く息を吐きなさいましたの。


 大森林の中でも何度か見た光景ですが、おそらくこちらがミントさんの魔法詠唱のルーティンなのでございます。


 彼女の扱う魔法類は私の女神様由来の聖魔法ではございませんゆえ、発動の条件や要因は分かりかねますの。


 けれども私よりも魔力操作に長けていらっしゃるのは間違いないのでございます。



「それじゃ、早速試してみるわね」


 早くも心を落ち着け終わったのか、ゆっくりと目を開けたその直後に、グッと握り拳をお作りなさいましたの。


 その指にはしかと指輪が嵌まっております。


 魔力というモノ自体は目で見える存在ではございませんゆえに、一見では何も起こっていないように見えるのです。



 しかしながら、でしたのッ!




「なんだ、結構ちゃんと光るじゃないの」


「はぇぇーッ!? すっごく光ってますのッ!」


 私の指に嵌められたほうの指輪が、これでもかも言わんばかりにビカビカと眩い光を放ち始めたのでございます!


 手で陰を作らずともはっきり視認できるレベルですの!


 しかも明らかにミントさんの方向にビシッと光の筋が伸びているのです!


 まさに一目瞭然、決して不良品とは呼ばせない、そんな職人の意地さえも感じてしまうほどの猛烈な明光が私の目に突き刺さります。



「これが熟練の魔力操作ということですのね。完全敗北いたしましたの。やはり私は未熟者の身……聖女としてはまだまだ半人前でしたの」


「アンタは人一倍に無駄が多すぎるからね。異能にしろ魔力操作にしろ、一度コツを掴めば後はこっちのモンよ」


 ミントさんが手のひらを開きますと、その動作に合わせて発光も和らいでいきましたの。



「なるほど。多少のタイムラグはあるみたいだけど、どうやら込めたら込めた分だけ光らせられそうね。安物わりには緻密な造りしてるわ。ドワーフ製の指輪かしら」


「それより今のはどうやったんですの!?」


 こんな光り方は初めて見ましたの!


 私が試してみたときは、どうやったって淡〜い感じにしか光りませんでしたのに!



「どうもこうも、ちゃんと対象物を意識した上で魔力を込めてみただけじゃないの。アンタだって治癒魔法とかでさ、傷口に対して思いっきり集中するでしょ?」


「そ、ソレとコレとは難易度がケタ違いですものっ!」


 

 こちらのほうはもっとずっと繊細なチカラ加減が必要で、更にはモヤーッとした純粋な魔力を適切に操作せねばなりませんゆえにっ。


 患部にドバーっと治癒の光を浴びせ続けるのとはわけがちがうのでございます。


 単純な物量では攻められませんの。そもそも私、針の穴を通すような加減が苦手なのでございます。



「はっはーん。知ってはいたけどザコ聖女、さてはアンタってば筋金入りの不器用ね?」


「今更再確認しないでくださいましっ」


「どれ、アタシが見てやるからアンタも光らせてみなさいよ」


「うぅ……上手くいかなくてもバカにしないでくださいまして?」


「場合によるわね」


 ミントさんがニマニマと返答なさいます。


 スピカさんに助けを求めてみましたが、彼女も彼女でニコニコとしているだけでしたの。


 くぅ、分かりましたわよ。


 やってみればよろしいんでしょう!?

 やってみればぁ……ッ!


 指輪に集中いたします。

 

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