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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第3章 神聖都市セイクリット編】

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ふぅむぅ……気を抜いたら即アウトですわね

 

 できれば薬指は未来の伴侶様にとっておきたいでしょうし、右手の中指にもそれなりの、それこそ勘を冴えさせたり邪気を払ったりなど、色々とありがたーい意味が込められていたような記憶がございます。


 修道院の本棚の奥に隠されたピンクぃ本に書かれておりましたの。


 ……異端? いやいや乙女の花園でしてよ。



「それでは、魔力を込めてみますわね」


 私もささっと左手の人差し指に嵌めさせていただきました。


 確かこの指には縁結びの効果があったはずです。

 願掛けって大事ですものね。


 是非とも運気にあやかりたいものです。



「ちゃんと動くかな?」


「ふっふんっ。大船に乗ったつもりでどーんと見ていてくださいましっ」


 ドヤりと鼻息を鳴らしたのち、心を鎮めるために目を閉じます。


 いつもは手のひらの内側に光を集めておりますが、今回は指先に集中しなければなりません。


 あまりは慣れてはおりませんけれども……ふぅむ。


 治癒のチカラには変換せず、あくまで全身の血液を指先一点に集めるかのように……っ!



「……そろそろ、いかが、でして?」


 薄目を開けて確認してみましたの。



「うーん。うっすら光っているような……案外そうでもないような?」


 おっしゃるとおり、スピカさんの指輪がじんわりチカチカと光っているような気はいたしますの。


 透明な宝石でも付いていれば分かりやすいのですが、見た目は完全に銀色の金属の輪ですからね。


 完全な暗闇でなければ気付けないと思いますの。



「ふぅむ。もう少し強くしてみましょうか? まだまだ全然イケましてよ」


 壊しちゃっても弁償すればいいだけですし。


 最悪身体で払いま――うぁっふんっ♡



 ……まったくもう。冗談だと言いますのに。

 女神様ったら相変わらずおカタいんですから。


 そもそも正直なお話、この神聖都市で聖女に手を出す殿方さんなんてまずいらっしゃらないと思いますの。


 何よりの禁忌中の禁忌なのですしぃ。

 夢みがちな私だってそれくらいは理解しておりましてよぉ。


 とにもかくにも、購入用の資金はあるのですから、壊してしまったらキチンとお支払いするだけなんですの。そしてまた稼ぐんですの!



「ではいざフルパワーで試してみますわね。もしも指輪が耐えきれなくて爆発して、指先が吹っ飛んでしまったらすみませんの。頑張って治癒してさしあげますゆえに」


「いや直前で怖いこと言わないでくれるかなぁ!? 接合の治癒魔法はかなり高度だってリリアちゃん言ってなかったっけ!?」


「まぁまぁ。そんときゃそんときでしてよっ」


 ここは女神教の聖地なのです。


 大変な事態になったとしても、私よりもずっと治癒に特化した修道女さんがいらっしゃるはずですの。


 滅多なことなんておきませんでしてよ。うふふ。


 とりあえず笑って誤魔化しておきましたが、フルパワーの魔力操作ともなりますと私も相応に気合を入れなくてはなりません。


 大きく息を吐いて、そして吸い込んで。


 肺いっぱいに空気を取り込んでから、グッと指先にチカラを込めますのッ!



 ……はいッ!!


 ……今、実際どんな感じでしてッ!?



 この間、ぐぬぬぬぬと息を止めていおりますので声を出せませんが、鬼気迫る表情でスピカさんにアピールしてみます。


 彼女はしばらく苦笑いをなさっていらっしゃいましたが、私が更にぐぎゅぅっと力を込めたタイミングで、眉間のシワを無くしてぱぁっと笑顔になりなさいましたのっ。



「お、さっきより光ってる光ってるっ。ほら、手で陰を作ればしっかり見えるよ。これくらいならカンカン照りの真っ昼間でもなければ気が付けるんじゃないかな」


「そっ……それはよかったですの……っ」


「あら、消えちゃった」


「ふぅむぅ……気を抜いたら即アウトですわね」


 あまり長時間は光らせられませんの。

 下手したら酸欠で倒れてしまいますもの。


 とりあえず壊れてはいないことが分かったので安心できましたけれども……。


 それと指が飛ばなくてよかったですわね。

 本音を言えば、治せるかどうか自信がなかったですゆえに。


 ……こっほん。

 杞憂かつ脇道な話題はよろしいのです。

 

 しっかしながらっ、アレですわねぇ。


 渾身のチカラを込めねば光らせられないとは、わりと不良品側に片足を突っ込んでいる商品だと言わせていただきたいですのっ。


 ミントさんから無尽蔵の魔力タンクと揶揄される私でコレなのですから、世の中の一般人カップルさんでは到底扱えないシロモノだったのではございませんこと!?


 そ、それともアレですの!?

 単に私の魔力の扱いが下手なだけでして!?


 治癒魔法に関しては女神様からの加護が働いているから難なく扱えているだけで!?


 基本的にはズブでドンくさい芋聖女だって言いたいんですの!?


 こんなところでヒステリーを起こしたって意味はありませんゆえ、グッと飲み込んで心の中で咀嚼して、明日を生きる糧とさせていただきますけれども……っ。



「ともかく指輪の動作確認はできましたの。一応ホンモノみたいでしたの。あとはどこまで距離を離せるのか、なんですけれども……。さすがに購入しないダメですわよね?」


「でないと持ち逃げになっちゃうからねぇ。あとはミントさんが扱えるかどうかってところも大事だよね。今のところ一方通行だし」


「何にせよ、博打なのはあんまり変わりませんわね」


 無駄にはならないということは分かりましたの。


単純なアクセサリーとして考えても、私の美の妨げにはならないかと思われますし。


 私はジュエルや貴金属の似合う女、リリアーナ・プラチナブロンドですからね。


 伊達に白金の御髪なる名字を名乗ってはいないのでございます。別に私自らが付けたわけではありませんけれどもっ。


 ひとまずこっくりと頷いてさしあげます。

 あとはスピカさんにお任せいたしますの。


 私たちの旅でお財布を握っていらっしゃるのはスピカさんなのですし。



「まぁでも、買ってみてもいっかなって思えたよ。指輪ならそんなに邪魔にならないし。連絡手段に使えたらラッキーってことで。買って帰って、ミントさんにも試してもらおっか」


「おっけですの。私も賛成ですのっ」


 私の魔力操作が無駄にならなくてよかったですのっ。

 慣れないことをして、結構疲れちゃいましたゆえにっ。

 

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