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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第3章 神聖都市セイクリット編】

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今すぐ触診させていただきますわねっ♡


 私、夜中に寝言で長めの祝詞を呟いてしまって、寝泊まり用のテント内を一晩中(・・・)明るく光で照らし続けていたことがあるらしいのです。


 ある意味では無意識のうちに自動回復空間(リジェネエリア)を形成してしまったといいますか。


 ただ回復するだけならまだしも、私の治癒魔法は効力がたかいですし、おまけに光も放っておりますし。


 いつものように朝に目を覚ましますと、体力自体は有り余っていそうなのに、何故だか目の下に真っ黒いクマを作ったミントさんとスピカさんにジトーっと睨まれていたときはビックリしましたの。


 どうやら目がギンギンに冴えて眠れなかったそうなのです。


 まして終始眩しく照らされていては尚更のことでございましょう。


 回復のしすぎもかえって毒になるのかもしれませんわね。うふふふふ。



 とにもかくにも、それくらい無意識で発動構築できるくらいには、私の治癒魔法はこの人生そのものに馴染んでいると言っても過言ではないのです。


 ザックリとまとめさせていただきます。



「はい。というわけで治療も無事に終わりましたの。お二人とも、変に突っ張ったりまだ痛みが残っている箇所はございませんでして?

今なら絶世の美女による入念なボディマッサージなんかもオプションで付けられますけれども」


「私のほうは大丈夫だよ。完全復活っ」


「僕も、おかげさまでここ最近で一番身体が軽いくらい楽になれましたよ。ありがとうございました」


「……あら、それは何より、ですの」


 ちぃ。残念ですの。せっかくの殿方のお身体追加堪能チャンスを逃してしまいましたの。


 気軽に首を縦に振ってくださっていれば、きっとこの後には……っ。



 むっふふふふぅ♡ お客様ぁ?

 痒ぅいところはございませんでしてぇ?


 あらぁ〜っ? なになに?


 さっきからお股間の辺りに違和感がある、ですってぇ!?


 まぁまぁそれは一大事ですのっ♡

 今すぐ触診させていただきますわねっ♡


 まさぐってみると、コレは大変っ!


 今すぐにでも私の愛の治癒魔法(・・・・)でスッキリしていただきませんとねっ♡♡



 ……みたいなムフフでえっぴぃ素敵展開が待っていたといいますのに。


 やや不満ですの。

 何より欲求が満たされておりません。


 こうもすぐに治癒が終わってしまっては面白みがなくなってしまうではありませんかぁっ!


 独り、お口をむーっと尖らせておりますと、スピカさんが苦笑いをしているのが視界に映り込んでしまいました。


 付き合いの長い彼女には、既に私の思考回路は筒抜けになってしまっているようですの。



「リリアちゃん。あんまりお茶目がすぎると、まーた女神様に雷落とされちゃうかもよ?」


「ふっふんっ。ご心配なく。そんなの重々承知の上ですものッ! 枷があるからこそ、燃えるのでございますッ!」


「はぁ。その情熱をどうしてもっと世の中のために使えないのかなぁ……」


 また大きなため息を吐かれてしまいました。


 し、失礼なっ。


 この情熱はキチンと世のために使っておりましてよ。現にこうして真面目に旅を続けておりますでしょう!?


 私は今代の聖女様なんですもの。

 シメるべきときは分かっておりましてよっ。


 何だか少しばかり恥ずかしくなってきてしまいましたゆえ、軽い咳払いと共に、冷静沈着なキャリアレディーなキリ顔に戻らせていただきます。



「こっほん。それはそうと、スピカさんも食後の運動はお済みになられたのでございましょう? そろそろお散歩のほうにまいりませんこと?」


「あ、そうだね。せっかくセイクリットに立ち寄ったんだから、色々と見てまわりたいもんね」


「ですのですのっ」


 身体強化も大事ではありますけれど、新しい旅先に到着したなら、まず真っ先に行うべきは観光だと思いますの。

 

 ましてここは女神教の聖地なのですから、私たちの旅を助ける素敵グッズが売っているかもしれないのです。


 ほら、先ほどの連絡手段(・・・・)の魔導具もそうですわよね。


 最近は〝反・魔王派〟連中の活動が私たちの周りにも及びつつあるのですし、警戒を強めたり、身を固めておくことに越したことはありません。


 あわよくば日保ちのする甘ぁいミルクジャムを仕入れられたら嬉しいなぁ、なぁんて。


 思っていたり思わなかったり、ですの。



 と、顔には出さずに真面目な顔をしながら、すっくと立ちあがろうとしたそのときでございました。



「よかったら今日は僕がこの街を案内してあげようか? 姉さんが遊び気に来てた頃に比べると、この街もだいぶ変わったからね」


「はえーっ本当ですのっ!? それは是非に是非にっ!」


「あっはは……私が答える前にリリアちゃんが答えちゃってるよ……」


 それはつまりシロンさんと街中おデートができるということですわよね!?


 こんなパツキン美男子の方のお隣を歩けて、はたまた一緒に食べ歩きができてしまったりするということなんですわよね!?


 夢のようなひとときではございませんか。


 えへへ。このクレープ美味しいですわね。

 どうぞ私のも味わってみてくださいましっ。


 いかがですの? 美味しいですのっ?


 あらあら、ほっぺにクリームが付いてしまっておりましてよっ。うふふふふっ。


 とってさしあげますわね、ぺろっ。


 みたいなみたいな、むふふふふっ。

 私の妄想(ゆめ)が広がりまくりますの……っ。



――――――

――――


――


 

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