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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第3章 神聖都市セイクリット編】

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どうか私めをその第一候補にっ!




――結論から先に申し上げましょう。


 私、朝からとにかく大満足でしたの。




「はっへぇぁ……もうお腹いっぱいで動けませんのぉ……。スピカさぁん。お外のお散歩はお昼過ぎからにいたしませんことぉ……?」


「あっはは。全種類おかわりするなんて、リリアちゃんったら食いしん坊なんだから」


「見ている僕も気持ちがいい食べっぷりだったと思うよ」


 客間からキッチンダイニングのお部屋にまで移動した私たちは、長机に広がる沢山のお食事を目に移しては、片っ端からご馳走になってしまいましたの。


 ただいま食後のひと時を過ごさせていただいているのでございます。


 食べ過ぎたせいでぽっこりと膨らんでしまったお腹を撫でておりましたところ、スピカさんにもシロンさんにも笑われてしまいました。


 うぅっ。これはまたお恥ずかしい姿を……!


 シロンさんはもっとお淑やかで敬虔な女性のほうがお好みなのでしょうか。


 とりあえずこほんと咳払いをして誤魔化させていただきましたけれども。



 はてさて、ですの。


 このタリアスター家の叔母様はやはり私たちの読み通りとても見栄っ張りなお方のようで、女子二人では到底食べきれないほどの朝ご飯をご用意していてくださったのでございます……!


 それはもう、彩り豊かな野菜サラダに、甘くてジューシーなカットフルーツ、更には固さも大きさも様々なパンに、酸いも甘いも選べる数多のジャムまで。魚とお肉のプレートまでありましたの。


 まるで王宮ホテルの朝食ビュッフェのような豪華さでしたわね。


 こんな素晴らしいモノを朝から食べてもいいんですの!? という興奮が八割。


 出されたモノを残すわけにはいかないという焦る気持ちが二割。


 とにかくよく噛んでよく飲み込んで、お口から胃の中まで全てを駆使して味わい尽くさせていただいたのでございます……!



「いやぁー凄かったですのー感動ですのーっ。この朝ご飯だけで神聖都市の食の全てを堪能した気分ですのー」


「ちなみにリリアちゃんのお気に入りは?」


「そんなモノ決まっておりますのーっ! このミルクジャム(・・・・・・)の圧勝ですのーっ! パンに塗ってよしそのまま舐めてもよし、はたまたお肉にも野菜にも合うだなんて、この自然な甘みには頭が上がりませんでしてよもーうっ」


 興奮のあまり私の頭のアホ毛がピョインビョインと暴れてしまいそうでしたが、淑女さを守るためにグゥっと抑え込んで、言葉だけでこの感動をお伝えさせていただきましたの。


 ミルクジャムが最高of最高だったのです。


 どうやら神聖都市の近くに大きめの牧場があるようで、そこで絞られた新鮮なお乳を砂糖と煮込んでジャムに加工しているとのことでございました。


 芳醇な香りと甘みには本当に舌が蕩けてしまいそうでしたの。やはり私も一端の乙女ですゆえ、甘いモノには目がないのでございますっ。


 神聖都市を出発する際にはケースで箱買いしてから立ち去ることにいたしましょう、そうしましょう。


 これは決定事項なのでございますッ!!!



 はぃやー、はっふぅぅー……。


 食べすぎて苦しいですのー……。


 でも、吐いたらこの美味しかった全てが台無しになってしまいますゆえ、どうにかして我慢をする他なく――



「――はい、食後にはこちらをどうぞ。きっと楽になると思いますよ」


「ふわぁっ。なんといい香りですことーっ」


 私、苦しさに耐えきれなくなるほどたくさんパンを食べたのですけれども。


 そんなはしたない姿を不憫に思ってくださったのか、シロンさんが温かなハーブティを淹れてくださいましたの。


 眼前に置かれたカップからは爽やかで優しい香りが漂ってきております。


 一口飲んでみますと、まろやかな渋みと温かな液体が私の胃の中を優しく洗い流してくださいましたのぉおぉ……っ。



 ああ、この美味しいハーブティもさることながら、常に周りに目を配っては気遣いと優しさの両方を振り撒いてくださるこの殿方は……!


 まさに、私の王子様と呼ぶべき……っ!



「リリアちゃん。目の中がお花畑になってるよ」


「おっとこれは失礼しましたの。うぉっほん。こう見えても私は聖職者の端くれですゆえに。日中堂々と色恋に走るにはさすがにご法度……でも、ふわぁぁんっ」


「あちゃー。ダメだこりゃ」


 だって見れば見るほどイイ男、接してみればみるほどトキめいてしまう素敵殿方なんですものぉーっ。


 私の中の乙女がキュンキュン、キュインキュイン音を鳴らしてしまっておりますのぉーっ。


 こんな素敵な従兄弟さんをお持ちだったなんて、スピカさんったらなんてズルいことこの上なくぅぅ……!


 彼女さんとかいらっしゃるのでしょうか。


 特に決まったお相手がいらっしゃらないのであれば、どうか私めをその第一候補にっ!



「はー、でも。私も食べすぎちゃったな。叔母様にもありがとうございますって言わなきゃ」


「お礼は僕の方から伝えておくよ。二人が満足してくれたなら、母さんもきっと喜ぶと思うよ」


「それはもう大大大満足でしたのッ! 明日からは小振りなパンの一つだけになってもウェルカムなくらい、美味しい美味しいご朝食でしたのッ!!」


 さすがは女神教徒のための街、神聖都市ッ!

 聖女様は大満足でしてよ、おーっほっほッ!



「っていうかリリアちゃん。後でちゃんと運動しとかないと、すぐにお腹の肉に変わっちゃうんだからね」


「ギックゥゥッ!! ですの」


 大森林を脱出してからは、ミントさんのスパルタ修行もだいふ少なくなってきておりますゆえに。


 始めの頃はカチカチに引き締まっていたお腹も、なんだか最近はまたふわふわプニプニに戻りつつある気がしております。


 いやいや、まさか、そんなばかなぁですわよね。

 けれども現実とは非情なモノなのでございます……っ。

 

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