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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第3章 神聖都市セイクリット編】

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なんで茶色くてドロドロなんですの!?

 

 今晩も利用するかもしれませんが、ひとまず私たちは荷物をまとめて建物傾き系お宿を後にいたしまして、なるべく目立たないように街中を進んでまいりましたの。


 そう、なるべく目立たないように……っ!



「ねぇねぇスピカさんスピカさん! 私、女神饅頭食べたいですの! それにあちらの女神パフェも! 女神マカロンなんてモノも売ってますのッ!」


「はいはい、今日のお宿代までは手を出せないから我慢してねー」


「ふぇーんっ……」


 スタタと出店に駆け寄っては、口から垂れようとするよだれを袖で拭うだけの時間を過ごしておりますの。


 はしたない? 知りませんわねそんな言葉。


 というよりなーんでこんなに出店が出てるんですの!?


 今日はお祭りか縁日のあるイベントデーなんでして!?


 それともまさかこの光景がデフォルトで!?


 それならば尚更に声を荒げてしまうのも仕方がありませんでしょう!?


 つい先日まで緑と茶色しかなかったんですもの。こんなカラフルで平和そうな光景なんて、本当の本当に久しぶりなんですの!


 道を歩く四人に一人は修道服や神父服を着ているのも面白いですの。さすが神聖都市、と言ったところでしょうか。


 もちろん聖女である私もソレ系統の衣服を身に纏っているのですが、私のモノは旅用のオーダーメイドとして色々とカスタマイズされておりますゆえ、見る人が見たら適当に着崩しているだとか、余計な文句を言ってきちゃいそうですの。


 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花こと、何をせずとも目立ってしまう乙女が私、リリアーナ・プラチナブロンドなのでございます!


 集まる視線は、何も私が子どものようにはしゃいでいるからだけではないと思いたいですわね。



「少しは静かにできないわけ? 隠密のオの字も知らないのかしら」


「下手に絡まれるのも嫌だからね。拠点が見つかるまでは我慢してて」


「りょ、了解ですのー」


 ま、別に見知らぬ方から何を言われたところで気にしませんけれどもー。


 ナンパなら大歓迎なんですのにぃー。



「ついテンション上がっちゃうのも分かるけどさ。どこを見ても甘いモノばっかりだねー。お肉の屋台が見当たらないのは、やっぱり女神教の戒律のせいなのかな?」


 ふぅむ。なかなかの着眼点ですわね。

 スピカさんに1ポイントさしあげましょう。



「女神教は無闇な殺生を禁じておりますからね。とはいえ別に一口も食べていけないわけでもないんですの。好き好んで爆食いはするな、という感じで」


 完全な禁止をしてもそれはそれで健康によろしくないですし、欲求不満になってしまいますし。


 何事もほどほどに、というのがベストなのでしょうが、そうは言っても甘いモノは別腹ですし。


 甘いモノが好きなのは、この世の中に生きる全乙女の(サガ)なのでございます。


 女神様もその辺には甘い(・・)というコトなのでしょう。


 むふふふふふふ。



「ホント適当よね、アンタんとこの神って」


「女神様も基本的に自分優先な方ですからねぇ。お肉を避けていたのもきっと、濃ゆぅい脂があまり好きではないとか、美容によろしくないからとかそういう――ぅあっふんっ♡」


「……案外、図星かもしれないわね」


 お股間の貞操帯がビリビリっと来てしまいましたの。女神様の堪忍袋の緒に触れてしまったのかもしれません。


 何だか裁きの雷を落とされてしまうのも久しぶりな気がいたしますわね。


 そういう発言ができるくらいには、私もリラックスできているということでしょうか。



「でも私、さすがにお腹空きましたの。何か食べないと歩けそうにありませんの。従兄弟さんのお宅まではあとどれくらいありまして?」


 これほどたくさんの屋台が道に沿って設置されているのです。少しくらい食べ歩きをしながら向かっても構わないと思うんですけれども。


 場合によってはオシャレなカフェで一息ついたりだとか、ウィンドウショッピングに勤しんだりだとか、そういう乙女人生を満喫しても問題ないかと思うんですけれども!?



「……この街に着いて、イッチバン浮かれてるのって、間違いなくザコ聖女よね。自覚あるのかしら」


「リリアちゃんが聖女様ってバレたら、結構大変なことになりそうなのにね……」


「ふぅむ? お二人とも何かおっしゃいまし――ふぅわッ!? あちらにパンケーキの出店がありますの! 見てきてよろしくて!? ねぇねぇよろしくて!?」


 やたらとモコモコのクリームがどっさり乗っておりますの!


 果実や果汁とは比べ物にならないくらい甘いにちがいありませんの!


 試食! 試食はございませんの!?

 ないならせめて匂いだけでも!

 せめて匂いだけでも楽しませてくださいまし!!!



「順調に歩けば、昼過ぎくらいには到着できるとは思うんだけどねぇ。あの様子じゃ夕方かなぁ」


「……前途多難よね。アンタらの旅って」


「もう、ミントさんも含まれちゃってるよ」



 くわぁぁーっ!

 あちらは色とりどりのパンケーキですの!


 ふぅむッ!? チョコ味って何ですの!?

 なんで茶色くてドロドロなんですの!?


 その向こうの出店にはマシュマロなる――



――――――

――――


――


 

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