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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

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ようやく私の恋路にも春が訪れてくださる気がいたしませんでして……?

 

 疲労に痺れる身体に鞭打って、ミントさんに促されるままに、今日はもう少しだけ前に歩みを進めましたの。


 今日だけではありません。


 翌日も、またその翌日も、常に前後左右を警戒しながら、私たちは道なき道である草原を進んでいったのでございます。


 数えること四日ほどが経過した頃……ッ!



――――――

――――


――



 過酷な大自然からようやく解放されましたの。



「ふぉおおーッ! 見てくださいましひっさしぶりの人工物ですのーッ! 精巧な石畳ですのーッ! しっかりガッチリ組みならされておりますのーッ!」


「リリアちゃん。興奮する要素、そこ?」


「そこでしてよ! だってこの道を辿っていけばいずれは街に到着できるのでしょう!? だったらもう勝ったも同然ですの! 足も軽くなるってモンですの!」


 ようやく固い寝床から解放されるのです。

 モコモコな寝袋だけではどうにもならない腰痛やら肩の凝りやら手足のむくみやら……。


 幸いにもヒト族の通貨はあまり減っておりませんゆえ、数日は屋根のあるお部屋に泊まれることでしょう。


 街中を探せば温かなお風呂屋さんだってあるにちがいありません。


 これから向かうは女神教の総本山ッ!

 ヒト族至上主義の街!

 神聖都市セイクリットなんでしてよ!?


 栄えていないはずがありませんもの!


 ルンタタとスキップをしながら、後ろ手にニコニコとしてさしあげます。


 私、久しぶりにご機嫌なんですの。


 このスーパー美少女スマイルを見てくださいまし、スピカさんにミントさんやっ!



「ハァ。だったら尚更キビキビ歩きなさいな。あ、でも、ある程度関所に近付いたら、その日は念のためにテントで一泊するわよ」


「はぇぇぇああ!? 何故ですのッ!? さっさと入場して、さっさとお宿で休み――」


「アタシがそのままじゃ入れないのよ。言ったでしょ、アンタらの奴隷に扮する必要があるって。準備にも時間が掛かるワケ」


「ふ、ふぅむぅ……」


 言われてからハッとしてしまいます。


 先日、ミントさんから色々と手渡されましたの。


 頑丈な手錠(・・)に、分厚い首輪(・・)に、更にはバーコード模様のタトゥーシールに、やたらとボロボロな衣服まで……。


 今は全てスピカさんの鞄の中に格納されております。


 お一人で装着するのは難しいでしょうし、都市の中に入ってからの初動なども、そのテント泊の最中に再確認なさりたいのでしょう。


 確かに、浮かれ気分ではいけませんわね。


 私とスピカさんも体裁上は〝魔族の罪人を捕えた聖女と勇者〟を演じなければならないのです。


 街中ではミントさんと仲のよろしい雰囲気を醸してはなりません。


 ……うぅ。忍びないですの。本心ではないとはいえ、ホントに心が痛みますの……っ。



「ま、短い間だったけど、アンタらには何かと世話になった気がするわ。あんがとね」


「はぇっ!? 更にはもうお別れなんでして!?」


「だってアンタらに迷惑かかるじゃないの。今代の聖女様が魔族と仲良く行動してるだなんて世間に知れ渡ってみなさいよ。

下手したら宗教裁判ね。つーかそもそも、アンタの身体に魔族の血が流れてることだって、頭のカッタい中央の神官連中にバレたらどうなることやら」


「ぐぅぬぬぬぅ……それも確かに……」


 私もそこそこピンチでしたの。

 混血の聖女という存在ですもの。


 でなければ修道女の見習い時代に半幽閉状態にされていた説明がつきません。


 表向きは聖女という高貴な身分として人前に姿を晒さないように、しかしながら修道院側の本音としては少しでも私という汚点を隠蔽したかったのでございましょう。


 むしろ聖女に抜擢されてからはやむなく外に公開せざるを得なくなった、というのも一つの真実なのかもしれません。



「……ふぅむ。ともなりますと、実は私たちってあ 神聖都市にはあんまり滞在しないほうがよろしいんですの……?」


「あっはは、実際問題どうだろうねぇ」


 お隣でスピカさんが苦笑なさいます。


 栄えていることは魅力的ですが面倒事にまきこまれるのはイヤですの。


 長旅のおかげで自由気ままなテント生活にもだいぶ慣れちゃいましたし。


 とりあえずチラリと横目に各々の空気感を伺ってみます。


 最終的な判断は私ではなく、勇者様のスピカさんが行うのが私たちの暗黙のルールですの。


 私って基本的にちゃらんぽらんですからね。

 上手く考えがまとまらないことも多いですし。


 決断してくださる方がいる、というのはとても頼もしいことこの上ないのでございます。



「滞在期間に関しては現地に着いてみてから、かな。まぁでもわざわざ神聖都市に立ち寄る以上、最低限の挨拶回りはしとかなきゃいけないとは思うよ。私も何人か知り合い……というか身内がいるし」


「ご身内の方?」


「うん。従兄弟(いとこ)が住んでるんだ」


「はぇーっ!」


 これは新キャラさんご登場の予感ですわね。

 歳上さんでしょうか、それとも歳下さんでしょうか。


 スピカさんも私に引けを取らない美人さんなのですから、きっとご身内の方もイケメンの血筋を辿っていらっしゃると思われます。


 ……おっと? これはもしや?


 むふふふ、むふ。


 ようやく私の恋路にも春が訪れてくださる気がいたしませんでして……?


 スピカさんと親戚になる未来も、ほんのりあるのではございませんでして……!?



 やはり、神聖都市セイクリットには期待が高まってしまいますね。


 いくら〝反・魔王派〟の薄ら暗い雰囲気が漂い始めているとはいえ、聖女の私にとってはホームと呼んでも構わない場所だと思われますの。


 この石畳の街道の先に、まずは神聖都市の関所が待ち構えているはずです。


 そちらを通り抜けられませんと話が始まりません。


 さぁより一層気を引き締めますわよ、リリアーナ・プラチナブロンドッ!


 神聖都市セイクリット、攻略開始ですのッ!

 


これにて第二章、終わりです!

続きは神聖都市セイクリット編にてッ!

(*´v`*)

ハイお疲れ様でしたッ!

すっごく長かったよ!

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