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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

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ふっふんふんっ!

 

「スピカさんミントさんッ! こっちはもう大丈夫ですのッ! 敵はアコナさんただお一人だけになりましてよッ!」


「「へっ……いつの間にッ!?」」


 あらまぁお珍しいこともあるようで。

 お二人のご発言が完全に一致なさいました。


 本当に戦闘に集中なさっていらしたんですのね。


 むしろ他所見する隙もなかったほど、アコナさんが強敵だということの裏付けにもなってしまいます。


 中途半端にお邪魔をしないほうがよろしかったでしょうか。


 かといって自分だけ安全なところに隠れて見守るだけ、というのも私の善意感的に憚れますし……。


 巻き込まれてこその人生ですの。


 それにほら、私たちはもう完全に優勢となったのですから。その現実を敵方のアコナさんにもキチンと自覚していただきませんとね。


 とりあえず遠巻きからお二人のお身体を治癒の光で包み込んでさしあげます。


 淡い緑色のピカピカに覆われながら、みるみるうちに衣服の汚れやお肌の傷などが回復していきましたの。


 ここから先は私もフル参戦いたしましてよ。

 一撃必殺以外は全て綺麗さっぱりに治してさしあげますゆえに。


 さすがのアコナさんでも、終わりの見えない戦いはお辛いのではありませんでして?


 正直、ドヤ顔が止まりませんわね。

 この三人でなら負ける気がしないのです。


 ちょうどアコナさんの連撃の手も止まってくださいました。


 割り込むなら今がチャンスなのでございます!



「うぉっほんっ。可哀想な擬態生物(ミミクリー)さんは、私がこの手で自由にしてさしあげましたの。こちらをご覧くださいまし。まさか、この護符に見覚えがないとはおっしゃいませんわよね?」


 懐にしまっていたボロ切れ同然の護符を取り出して、視界に入るようにピラピラと振ってアピールしてさしあげます。


 あの子の正体が擬態生物(ミミクリー)であると知っていなければ、アコナさんが二人存在するという画期的な戦法も思い付けなかったはずです。


 そしてまた、魔物を強制服従する方法をご存知でなければ、命令して隠れさせたり攻撃させたりする術も分からないはずですの。


 護符を知らないとは言わせませんでしてよ!



「……チッ。余計なことを」


 ふっふんっ。

 本音が漏れていらっしゃるようで。



「え? え? どういうこと? 何が起きたの何をしたのリリアちゃん?」


「アンタがまさかねぇ。後で説明してもらうわ」


 スピカさんとミントさんもそれぞれ感嘆のお声を漏らしなさいました。


 私の味方のお二人は終始キョトンとしておりましたが、対するアコナさんは露骨に顔をしかめていたのでございます。


 心の動揺が手に取るように伝わってまいります。


 あらあら〜? お得意の語尾伸ばしの癖はどこに消えてしまいましてぇ〜?


 まさか戦闘力皆無のポンコツ聖女サマが、護符を剥がしてしまうとは思いませんものねぇ〜?


 と、本当は口に出して直接煽ってさしあげたかったのですが、下手に刺激して激情に身を任せられても困るのです。


 どうかアコナさんは冷静なまま、今のご状況を正しくご理解くださいまし。


 アナタの戦術である擬態生物(ミミクリー)の少女さんは完全にいなくなりましたの。


 ゆえに飛脚を使った情報伝達や監視は続けられなくなりましたでしょうし、複数人で行う結界魔法を用いた奇襲攻撃や翻弄技も全部使えなくなってしまったはずですの。


 それともアレですの?

 まさか開き直ってゴリ押しなさるおつもりで?


 往生際の悪いアコナさんは見たくありません。


 確かにアナタはこの場の誰よりもチカラも技術も秀でていらっしゃいますでしょうが、所詮は独りぼっちのおチカラなのでございます。


 チカラを合わせた私たち三人の連携には勝てませんのッ!


 聡明なアナタなら分かると思いますけれども。


 さぁ、万事休すってヤツでしてよ。

 悪あがきはもうおやめくださいまし。


 それがイヤなら、せめて自らの劣勢を認めて、私たちのことは諦めてくださいまし。



「ふっふんふんっ!」


 渾身のドヤ顔を見せ付けてさしあげます。

 結界戦法を見破った先ほどとは比べ物にもなりません。


 これは勝利を確信したときにだけ出せる最強のドヤ顔ですの。


 修道服の頭巾ベールからアホ毛がビビーンと飛び出してしまいそうなくらいには、フンスと鼻息を荒くいちゃいますのっ!

 

 今のうちに説明してさしあげましょうか。


 私がお二人と別れてから、謎の修道服さんと対峙して、色々あってから解散に至るまでの出来事を、ダイジェスト気味に、ですの。



「というわけでかくかくしかじか、でしたの」


「――なるほど〝擬態生物〟ねぇ。アンタもよく気が付いたじゃない。とりあえずでかしたわ」


「ええ。彼女から心の声が聞こえてきましたゆえに」


「はぁ? 心の声?」


 あ、そうでしたわね。そういえばミントさんには私の特技をお伝えしていなかった気もいたします。


 ちょっと細かい話になりますのでそちらは一旦後回しですの。過去回想とかも挟みたくなってしまいますし。


 さすがにそこまでの時間はないのです。


 今はとにかくアコナさんを退けて、キチンと安全を確保できてからにいたしましょう。



「まさかここまでとは〜。リリアーナさんのこと、完全に見くびっておりましたねぇ〜」


「女神教の悪用はこの私が許しませんの。今代の聖女として、正々堂々と正義を執行させていただいたまでですの。それともアコナさんにはまーだ奥の手が残っておりまして?」


「…………チッ。ホントに憎たらしい小娘ですねぇ」


 ええ、自覚はありますの。

 こう見えても悪知恵だけが私の取り柄ですもの。

 

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