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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

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どうやって確かめるつもりよ?

 

「こっほん。私たちが戦っているお相手はアコナさんであって、アコナさんではないかもしれませんの」


「ハァ? 何よいきなり。バカにしてんの?」


「してないですの。至極真っ当、トンデモなく正直な意見ですのっ。とにかくまずは聞いてくださいましっ」


 回りくどい言い方から始めた私が悪いのかもしれませんが、一度お茶を濁しておくからこそ物事にも真実味を帯びてくるのでございます。



「聞いてやりたいのはヤマヤマなんだけど。向こうは黙っててくれないみたいだか――らァッ! まったく面倒なヒットアンドアウェイねぇ!」


「ふぅむぅッ!?」


「……大丈夫よ。アタシをナメないで」


 まだ寝返りを打てませんゆえに詳細な状況は分かりかねますが、おそらく私の話している最中にアコナさんが襲いかかってきたのでございましょう。


 苦悶の声は聞こえてこないあたり、見事に攻撃をかわして、そのまま蹴りをお返しなさったものと思われます。


 さすがはミントさんですわね。

 刃に勝る体術とはっ!


 ……けれども、私の話に集中していただくと、そのうちにまた不意打ちを喰らってしまうかもしれません。


 ミントさんやスピカさんが戦えなくなるのは本意ではありませんの。


 やっぱりお伝えするのはやめておいたほうが――



「しゃーない。適当に喋ってなさい。聞いといたげるから。聞き漏らしたらゴメンだけど」


 ふぅむ。ミントさん了解ですのっ。

 ともなりますと、今の私にできることは。



「であればもう好き勝手に喋らせていただきますゆえにっ。お二人ともっ! 戦いの最中ですが頑張って聞き取ってくださいましっ!」


 戦うお二人のお邪魔には極力ならないように、簡潔明瞭に情報をお伝達してあげるのみなのです。


 私のお願いにミントさんもスピカさんも、お二人とも大きなため息を返してくださいましたの。



「ったく。無茶言われても困るっつーのに」


「ホントホント。ま、でもどっちかが戦っていれば、もう片方の手は空けられるはずだからさ。聞けるとは思うよっ」


「ありがとうございますの!」


 今は私の治癒魔法がありませんゆえに実はかなりのピンチなはずですのに、そんな様子は少しも感じさせることなく、常に自信ありげなお声を聞かせてくださるミントさんとスピカさん……!


 ホントに頼りになるお二人ですのっ!

 私のか弱い背中は任せましたわよっ。


 本当に今は指先しか……いえ、手首くらいしかまともに動かせませんゆえにっ!


 体調のほうは回復してきております。


 もうしばらく待っていてもよいのですが、もったいぶらずにさっさとお伝えさせていただきますの。



「おそらくなんですけれども、今戦っているアコナさんは、お二人いらっしゃるような気がいたしますの」


「はぁ?」


「どちらも見た目は同じなのですが、片方が本物で、もう片方が……えっと、偽物のアコナさんだと思われますの!」


「はぁあああ!?」


 わりと後ろのほうからガキンバキンと刃物のぶつかり合う音が聞こえてきておりますが、気にせずとにかく私の考えを展開させていただきますの!



「だってほら、さっきの状況、明らかにおかしかったではありませんか! お二人が絶えず見張っていらしたといいますのに、どうして私の背後を取れるとおっしゃるのです!?」


 私の見解はこうですの。


 この戦いが始まった直後に、非戦闘員さんのほうが身を隠して何らかの方法でアコナさんに変装なさいます。


 そして戦闘の最中に身をくらませて、こっそりと入れ替わったのでございます!


 本物のアコナさんはと言いますと、私たちの意識の外に出られた後にあらかじめ用意していた認識阻害魔法の中を悠々と通り過ぎて、静かに私たちの背後に回って、隙を見計らってそれはもうブスリと勢いよくッ!


 ……という、さすがに机上の空論でしょうか。


 結構イイ線いってる節だと思うんですけれども。

 これでも乙女の艶勘がビンビンに冴え渡った結果なんですの。


 地面に突っ伏しながらも、常に手足の感触を確かめながら、それはもう朗々と熱弁させていただきました。


 それから、それから……!



――――――

――――


――



 身体の感覚のほとんどが戻ってきたと確信を得られた頃。


 ようやく全てをお伝えし終えたのでございます……!



「……アンタの言いたいことは分かったけど。どうやって確かめるつもりよ?」


「ふっふっふんっ。私に策がございましてよ」


 まずはゆっくりと身体を捻って寝返りを打ってみます。


 眩い陽光が全身に降り注いできましたの。


 今日アコナさんに負けてしまったら、この暖かな光を浴びることができなくなってしまいますわよね。


 足止めなんて絶対にイヤなのです。


 転んでもタダでは起きないと、つい先ほど宣言して言ってさしあげたばかりでございましょう?


 何度もイイようにヤラれてしまっては、今代の聖女の名折れというモノです。


 自己治癒によって解毒は終えました。

 組成や作用は分かりませんでしたが、少なくとも私はもう、この麻痺毒には侵されません(・・・・・・)の。


 治せるモノと分かれば怖くはないのです。

 これよりは反撃のお時間になりましてよ。


 女神様のご加護を受ける者のチカラをッ!

 敵さんに見せ付けてさしあげましょうッ!

 

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