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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

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転んでもタダでは起きてさしあげないのが今代の聖女サマですもの


 無様に草原に突っ伏しながらも、必死に頭だけはフル回転させてみますの。


 謎の非戦闘員さんはいずこに消えたのか、そして何故にアコナさんが私の背後に突然現れることができたのか……!


 しかも、普段から野生の勘で索敵をしているスピカさんの感知網を完全にかいくぐって、なんですのよね。


 とんでもない所業だと思いますの。


 でもそんなことが現実的に行えるんでして?


 私の結界魔法だって、できるのはある程度の認識阻害までで、実際に姿を(くら)ませることなんてのはできないんでしてよ――と。


 あ、いや、ちょっと待ってくださいまし。

 今、脳裏にビビッときちゃいましたの。

 

 認識阻害魔法、ですって……?



「ぐぬぬぬぬ……あと少しで閃きそうなんですのに……ふむむむむむぅ……!」


 喉まで声が出かかっている、の頭バージョンなのでございますっ。


 こうなったらきちんと紐解いてやりますのっ。


 確かに結界魔法に長けていれば、相手からは認識されないような、そんなセーフティエリアを設けることができるかもしれませんの。


 そしてまた、その造られた空間内だけを行き来することができば、あたかもいきなり私の背後に出現したかのように見せることも可能かもしれません。


 けれども、ふぅむ……!

 あと一点だけが謎なんですの……っ。


 つい先ほどにも再確認したかと思いますが、認識阻害魔法はあくまで未探知状態でないとほとんど効果が得られないモノなのでございます。


 発動すれば一瞬は姿を眩ますことができると言えばできるのですが、あくまでそれは一瞬だけ各々の意識から外れるだけですの。


 一度その場にいると認識されてしまったお相手にはほとんど効かないというのが常識なのです。


 ゆえに常に前線で戦っていらしたアコナさんが認識阻害魔法を身にまとったとしても、元から目立ちまくりの注目度MAXな状態でしたゆえ、すぐに目に映り込んでしまうことでしょう。


 現にスピカさんも、アコナさんの動き出し自体には感知されていらっしゃいましたわよね。


 来るみたいだよ、と身構える時間を教えていただけたくらいですの。



 ともなれば、今回のは認識阻害魔法と何らかの手段(・・・・・・)の併用技ということにはなりませんでしょうか……?


 例えばミントさんの〝転移の異能〟みたいなチカラですの。


 一瞬の認識阻害中に場所を移動してしまえば、しばらくは意識できないはず……いえ、試したことはないので分かりませんけれども。


 実際のところどうなんでしょう?


 でも、ミントさんでもなければ試せませんの。

 

 女神様の魔法には瞬間移動の類いは存在しておりませんからね。


 身体能力補助魔法を応用することで、ほんの一瞬だけ俊敏性を高めることくらいならできるかもしれませんが、それでしたらわざわざ私を狙う意味が分かりませんの。


 もっとずっと厄介なミントさんやスピカさんを、その圧倒的なスピードで片付けておいたほうが勝率が高くなるはずなのですから。



「……ふぅむぅ……となりますと、もっと手頃かつもっと画期的な……けれども複雑ではなくて、私たちの裏をかくような絡め手……」


 瞬間移動していないのに、あたかも瞬間移動したかのように思わせる技術。


 私はかつて、アコナさんに眠り毒を盛られて寝込みを襲われた際に、自衛のために咄嗟に〝重さの異能〟を発動してみたことがありますの。


 実はそこまで強くはないのに、己の知り得ないチカラを体感させることによって、何か得体の知れないチカラが及び始めているのように見せかける、言わば誤魔化しの技術……ッ!


 言わば偽装工作みたいな行為ですの。


 その観点を応用いたしますと。


 例えば、アコナさんは瞬間移動をしたのではなくて、実は元々近くに隠れていただけで単純にタイミングを見計らって出てきただけ、なーんてのはいかがでしょう?


 更に言えば、スピカさんやミントさんと激しい戦闘を繰り広げていたのは別の人で、本物のアコナさんは元から涼しい顔をしながらこちらが隙を見せるのを伺っていた、とか……?



 いやいや、さすがに絵空事ですわよねぇ?


 私がふと思い付いただけの机上の空論にちがいありませんの。


 けれども、ふぅむ……っ。


 先ほどの非戦闘員さんの姿が見えない以上、簡単には切り捨てられない一説なのでございます!



「こっほん。あの、ミントさん。私のそばにいてくださっておりまして?」


 ちなみに私は相変わらずうつ伏せのままですので、周りを見渡すことができませんの。


 代わりにお声がけにて位置関係を把握させていただきます。



「当たり前よ。無防備な今のアンタを放っておいたら、それこそどうなることやら」


「ありがとうございますのっ」


 自己治癒が進んできたのか、指先くらいは動かせるようになってまいりましたし、もうしばらくジッとしていればまた身体を動かせるようにもなりましょう。


 幸いにも二撃目は飛んできておりません。


 ミントさんとスピカさんがお近くでしっかりと警戒してくださっているおかげなのでございましょう。



「私お一つ考察をしてみましたの。よろしければ聞いていただいても?」


「フン。弱々しく寝っ転がってるわりには随分と余裕そうじゃないの」


「ふっふんっ。転んでもタダでは起きてさしあげないのが今代の聖女サマですもの」


 現状の打開策とまではいきませんが、攻略の糸口にはなるかもしれないのでございますっ。

 

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