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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

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いきなり背中に走る、強烈な痛み……ッ!?

 

 もちろんお二人とも連撃に重きを置いておりますゆえ、放たれる一発一発は軽めのものですが、チリも積もればなんとやら、という言葉もありますの。


 どちらかのスタミナが切れるまで、あるいは大きなダメージが与えられるまで延々と続けられる、いわゆる連撃デスマッチというヤツが始まっているのでございます。



「いいわ……ッ……その調子よ……ッ!」


 壮絶な息遣いの中に時折ミントさんの呻き声も聞こえてきてしまっておりますが、コレは彼女は素手参加のせいで、お一人だけ斬撃戦に巻き込まれてしまっているからなのでございましょう。


 赤い血飛沫も見えたりしておりますのっ。

 痛々しさが嫌でも伝わってきてしまいます。


 しかしながら、そんなときこそ私の出番なんですのッ!


 あらかじめ準備しておいた治癒魔法を発動して、傷付いたお二人のお身体をピンポイントで癒してさしあげるのです……!


 一進一退の攻防が繰り広げられておりますが、やはり二対一の作戦が功を奏しているのか、スピカさん&ミントさんのペア攻撃のほうが若干押しているように思えます。


 チラリと一瞬だけ目に映るアコナさんのご表情にも、少しばかり苦の色が見え始めておりますもの。



「……くっ……一方はスタミナスピードお化け、もう一方は無尽蔵の魔力タンク……バランスが取れているのかいないのか、今代の勇者御一行は本当に厄介極まりないですねぇ〜……!」


「フン。その点に関しては、アタシも全く同じ感想よッ!」


「ちょっとソレどういうことー!?」


 幸いなことに、私サイドのお二人は戦闘中にツッコミを入れられるくらいにはイケイケなようです。


 私も戦闘の最中に割り行ってもう二、三個ほどボケをかましておきたく思いましたが、あのスピード感に混ざれるだけのチカラなど有しておりませんし。


 とりあえず後方ドヤ聖女面だけ見せておきます。



「っていうか白髪のアンタ、愚痴ほざいていられるほど余裕なわけ? ホント腹立つわねェッ!」


「ングゥッ!?」


 ほんの一瞬、スピカさんが剣技によってアコナさんの体勢を崩したところに、ここぞと構えていたミントさんが、痛快なボディブローをブッ放しましたのッ!


 固く握った拳をグイと捻りながら捩じ込んでいらっしゃいましたゆえ、まさに内臓を揺さぶる強烈な一撃となったはずなのです。


 ズビューンという風を切る音と共にアコナさんが吹き飛ばされていきます……!



「やったか!? ですの」


「バーカ。あんなの効く効かないのレベルじゃないわよ。そんなことより回復して。あんまり時間ないから」


「了解ですのっ!」


 スタッと私の横に瞬間移動してきたミントさんを、ズタボロのお召し物ごと急いで癒しの魔法で包み込んでさしあげます。


 淡い緑色の光に包まれながら、まるで時間が巻き戻っていくかのように衣服が再生し、そのお肌の切り傷も塞がっていきましたの。



「……でも、ホント便利ね、女神の加護って」


「私もそう思いますの。このチカラがなければ、私は今、文化的な生活なんて送れておりませんでしょうから」


「つってもここ最近は、来る日も来る日もずっと野宿してたはずだけど?」


「も、もうすぐ神聖都市に着くからいいんですのッ! 街に着いたらまずはウィンドウショッピングをキメ込んでやるんですのッ!」


 私も修道服もだいぶ痛みが目立ってきましたからね。大森林恐るべし、ですの。


 女神教の総本山ともなれば、衣服もグッズも相応なモノが手に入るはずなのです。


 ましてこの私は? 今代の聖女サマなのですから? 顔パスよろしく何でも好き放題に掻き集められちゃいましてよ?


 おーっほっほっほ、と。


 そんな欲望丸出しでは女神様に雷を落とされてしまいますゆえ、今は戦いのほうに集中しておきましょうか。


 取らぬ狸の皮ナンタラ、という言葉もありますし。



「それなら、尚更にアイツを退けてやらないとね」


「ええ、頑張ってくださいまし」


 私もいつでも治癒魔法も〝重さの異能〟も、どちらも発動できるように構えておきますゆえにっ。



「来るみたいだよッ! ミントさんリリアちゃんッ!」


 土煙の向こう側を警戒するスピカさんから、牽制のお声が聞こえてまいります。


 私もまた気を引き締め直しつつ、改めて治癒魔法を口の中で唱え始めておきますの。


 いつお二人が麻痺毒の攻撃を喰らってしまうか分かりませんし。


 咄嗟の際にも動けるから有能な聖女なのでございます。


 さぁ、念には念を入れておきましょ――








「ふふふふ……ついついド忘れしてましたよ」


「ふぅむッ!?」


「やはり、長期戦の戦いは補給元(・・・)を断つところから始めませんと、ねぇ〜……?」




――私が一瞬、下を向いてしまったその瞬間のことでございました。


 何故か背後から氷を舐めたときのような、背筋の冷たくなるお声が聞こえてきたのでございます……ッ!


 当然振り返る暇もなくっ。

 いきなり背中に走る、強烈な痛み……ッ!?


 まさか、わた、くしッ……っ!?


 

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