表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

228/349

本物の戦闘に、開幕のゴングなどは存在いたしませんの

 

 ミントさんは武器を用いて戦うスタイルの方ではありません。


 魔法も使える方ですが、基本的には自前の羽で空を飛んだり、転移の異能で相手を翻弄しながら、体術で圧倒していくタイプですの。


 そういった点から刃物使いには分が悪いのでしょうが、最近は私の治癒魔法と連携して、まさに〝肉を切らせて骨を断つ〟戦法を編み出しつつあるんですのよね。


 やられたらやり返す、倍返しですのっ!


 アコナさんに対して有効かどうかは分かりませんが、さすがにでも足も出ないという状況にはならないはずですし……!


 おっけーですの。

 私も勇者パーティの一人ですものね。

 今、改めて覚悟を決めましてよ。



「ちなみにそっちの――まだ隠れ続けてるほうは参加しない感じかしら? ザコ勇者がさっき言ってたけど、四時の方向に二人って話よね。言っとくけどアタシに不意打ちは効かないわよ」


 既に腹をお括りなさっているミントさんが、挑戦的な視線を先ほどの茂みの辺りに向けましたの。


 私もスピカさんの言葉を覚えております。

 確かに二人とおっしゃっておりましたもの。


 数としてはこちらは三人、お相手は二人。


 優位なことに変わりはありませんが、アコナさんレベルの手練れがもう一人増えるとなると話は変わってきてしまいますの。


 おそらくこれは、ミントさんの賭けですわね。


 不意を狙われるくらいなら、表立って出てきてくださったほうがまだ動きが読みやすいというものです。



 この場を一瞬の静寂が支配いたします。



 しかしながら、ミントさんの挑発を受けても、茂みのほうに変化はありませんでした。


 その代わりに、正面のアコナさんがクスクスと微笑みながらお答えなさいましたの。



「ああ〜、彼女のことなら気にしないでくださいな。元より戦闘要員ではありませんので〜。善戦にしろ苦戦にしろ、その結果を本部に伝達するのがお仕事の子なんです〜。空気か何かと思ってもらえれば〜と」


「なら、ソイツも一緒に仕留めれば、尚更にアタシらを追ってくることもできなくなるってわけね。イイこと聞いたわ」


「ふふふふ〜。残念ながら、逃げ足と隠密能力に長けた子ですからね〜。アナタの転移のチカラ(・・・・・・・)を使っても、捉えるのは無理だと思いますよ〜」


「……フン。どうやらこちらの手の内はバレてるようで」


 アコナさんのお言葉を信じるのであれば、戦闘においては無視をしてもよろしいかと思いますけれども。


 でも万が一ということもありますからねぇ。


 隠密に長けた方に対してスピカさんが二人いると感知できたのは、おそらくは彼女がたまに見せる野生の勘的なモノか、もしくはあえてこちら側に隙をお見せなさったのか……。


 アコナさんが終始余裕そうなお顔をしていらっしゃいますゆえ、本当にいてもいなくてもどちらでも変わらないのでございましょう。


 どのみち彼女を今ここで退けなければ先に進むことも叶いませんの。


 それだけは確定しておりますゆえにッ……!



「とにかく、やるしかなさそうですの」


「残念ながら作戦会議をしている暇はないわ。アンタらに極力合わせてやるから、アンタらもアタシに応えてみせなさい。ボッコボコにしてやるわよ」


「おっけーっ。久しぶりの強敵登場でワクワクが止まらないね。ただでさえ亀モグラのときは、何も出来なくてヤキモキしてたくらいだし!」


「……戦闘狂のお二人が味方で、ホントに心強い限りですの」


 せめて今日が真夜の日でしたら、私もフルパワーで異能を発動できるんですけれども。


 あ、でも、そうなると治癒魔法が使えなくなってしまいますわね。一長一短で困りましてよ。


 今回の私はあくまでサポート役ですの。


 お二人が傷付いたら治すを延々と繰り返して、いつでも最高のパフォーマンスを発揮できるように努めてさしあげましょう。


 そしてここぞというときに〝重さの異能〟を発動して、スピカさんとミントさんにとっておきのチャンスをプレゼントしてさしあげるのでございます。


 分かっていても回避できないのが私の異能の特権ですからね。


 普段から何度も浴びているスピカさんやミントさんならまだしも、一度や二度経験のある程度では、咄嗟の対処もできませんでしょうし。


 ふっふっふんっ。


 やはりこの戦闘も私が鍵を握っているということですか。


 いつもならば早々にビビってさしあげているところですけれども。


 わ、私にだって場慣れという感覚はございますし、スピカさんやミントさんの強さを十二分に理解しているつもりですの!


 たとえアコナさんが相当な実力者と存じ上げていたとしても、みんなで力を合わせれば決して勝てないお相手ではございませんし!


 私も今一度グッと拳を握りしめつつ、いつでも女神様に祈りの言葉を届けられるよう、胸に手を構えておきます。



 本物の戦闘に、開幕のゴングなどは存在いたしませんの。


 どちらか一方が攻撃を仕掛けたタイミングが、スタートの合図となるのでございます……!



 あらあら、しかしながら、ふぅむ?

 珍しくスピカさんが先制攻撃を仕掛けません。


 だいたいイの一番に駆け出して、懐に潜り込むのが常套手段でしたのに。



「えへへ。気付いた? 無闇矢鱈に突っ込むなって、ミントさんに散々怒られちゃったからね」


「私の思考回路も全てお見通しということで」


 つまりは三者三様に成長しているってことですの。

 アコナさんに見せつけてさしあげましょう。


 もうこの私たちは、森の中でアタフタしていた頃の私たちではないってことをっ!

 

 

誤字報告大変助かります!

いつもご応援ありがとうございます!

(*´v`*)

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ