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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

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四時の方向に二人、かな




 久しぶりに目にした、陽の光(・・・)


 爽やかな風に、一面の草原。


 視界を遮る木々はもうありません。



 それはつまり……!



「ついに、森の外に出られましたの……ッ!」


「いやはや長かったねぇ。なんだかんだで途中で遭難しかけたし。これでやっとお洗濯も捗るってもんだよ」


「のほほんとしてるところ悪いけど。勝って兜の緒をナンタラとか、アンタら言ってなかったっけ? これだから能天気は」


「別に警戒を緩めるつもりはないですのっ。ちょーっとお待ちくださいまし……!」


 森の出口付近が一番危ないのだとつい先日に予測いたしましたゆえ、襲われるとしたら今このタイミングかと思われます。


 むざむざ好き勝手にヤられてさしあげるほど、私たちは甘くはないつもりなのでございます!


 というわけで聖女の結界魔法を応用して、周囲に怪しい人影がないか探知を試みますの。


 私の結界魔法は、あくまで範囲外の方々から姿を見えなくさせたり、認知させないようにするためのモノですの。


 これ自体には探知の機能はございませんが、応用を効かせることはできるのです。


 ほら、追跡していたはずの人物がいきなり姿を眩ませたら、少なからず動揺を見せてしまうのが人というモノでございましょう?



「お二方、どうぞこちらに」


「はいはい」


 スピカさんとミントさんの肩に手を置きながら、口の中で祝詞を唱えます。


 頭の中にイメージしたのは私たちの身体をすっぽりと覆い込めるだけの半球状のドームです。


 いつものように夜通し発動し続けるモノではございませんゆえ、持続力よりは隠蔽力を重視して展開いたします。


 それから目を閉じて、なんとなくの魔力の波を追ってみますの……!


 具体的な気配はお二方が察知してくださるでしょうし、そもそも四六時中魔力を放出し続けている方なんておりませんから、私のはあくまで保険でしかありませんけれども。


 ほら、その証拠に、こうやって結界魔法を張ってみても誰の気配も察せませんでしょ――



「ふぅむッ!?」


「フン。アンタも少しは役に立つようね」


「四時の方向に二人、かな」


「無視して進むよりは片付けちゃったほうがいいと思うけど。アンタらに任せるわ。修行の成果を見せてくれちゃってもいいわよ」


「は、ハードル上げられても困りましてよ……!」



 結論、私の魔力感知に引っかかりましたの。

 

 何と言いますか、空気の揺らぎのようなモノを感じ取れてしまったのでございます。


 スピカさんいわく、四時の方向に二人とのことですから、きっと森の出口の茂みの辺りにでも潜伏されていらっしゃるのでございましょう。


 茂みの大きさから判断するに大柄な男性は収まりそうにないですゆえに、おそらくは子供か、もしくは女性か……!



「この距離なら先手も取れるよ。どうする?」


「そうですわねぇ……牽制も兼ねて、弱めに〝重さの異能〟を放ってみましょうか。結界を解いたらすぐに発動いたしますゆえ、そちらの解除に合わせて駆け出していただく形で」


「了解。お手柔らかにね」


「善処いたしますの……!」


 私もある程度の加減はできるようになりましたし、弱めのモノだったら気絶までには至らなくなりましたし、単純な足手まといにはならなくなったと自負いたしますの。


 もちろんスピカさんに奇襲していただくだけでも充分に効果があると思いますが、その成功率を上げるためにも、私も微力ながらお手伝いさせていただければと思います。



「それでは、いきますわよ……っ!」


 その一、結界魔法を解除いたします。


 隠れているつもりのあちら側からは、今ようやく私たちが視認できるようになったことでしょう。


 解除のタイミングから間髪入れずにッ!



「平伏しなさいましッ!」



 腕をブンッと前に突き出して〝重さの異能〟を発動いたしますッ!


 すぐさまドギュウゥゥンと空気が重くなったのを実感いたしました。


 頑張れば動ける程度の弱めのモノですゆえ、意識していればどうということはないでしょうが、咄嗟に喰らってしまっては身体が動かせなくなったと思い込んでしまうことでしょう。


 しかしながら異能の発動はあくまで一瞬だけに留めておきますの。


 脅威がないと判断されては意味がないのです。


 対策される前にこちらもすぐに解除いたしますッ!


 さぁさぁスピカさんッ!

 お膳立てはいたしましたわよッ!


 あとはよろしくお願いいたしますのッ!


 

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