表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

224/350

びちゃびちゃになってしまっていたパジャマを

 


「リリアーナ・プラチナブロンドッ! ここに完全回復を宣言いたしますのッ! しゃっきーんッ!」



 そうしてようやく翌日になりましたのッ!


 朝に弱い私ではありますが、ほぼ丸一日中横になって寝ていれば、さすがに疲労も過労もサヨナラできるのでございます。


 こっほん。あえて言葉を変えてッ!

 同じ内容を宣言してさしあげましょうッ!


 腕を掲げてビシィッとポーズを決めておきます。



「いゃっほぃ! 発熱も筋肉痛も全身の気怠さも、全てまとめてオサラバできましてよーッ! ばっきーんッ!」


「はいはい。借金でも罰金でも何でもいいけど、アンタのために一日休みを設けてあげたんだからね。復活したならさっさと支度してキビキビ歩きなさい」


「あっはは……。女神様、お空に帰るときに呆れてたよ。さすがに寝すぎだって」


 えっへっへ。それはそうでしょうね!

 今日は本当にぐっすり眠れましたもの!


 むしろ毎回毎回顔を合わせる度に、女神様ご自身がどうしてこの子を聖女にしてしまったのでしょう、と声に漏らして嘆いていらっしゃるくらいなのです!


 とは言ってもほとんどは冗談で、本心としては二割もないかもしれませんけれども。


 私としても、本当に私が聖女で大丈夫なんですの!? と思ったことは多々ありますの。


 でもまぁ、きっと大丈夫なんでしょうね!


 今こうして私が息災でいられているのが何よりの証となっているのですから!



「いやはやお二人とも、いつものことながらご迷惑をおかけしてしまいまして本当に頭が上がりませんの。今後とも私のお()りをよろしくお願いいたしますわねっ」


「いやゴメン被るわよ。アンタが毎日ツノと尻尾生やしてるってんなら考えてやってもいいけど。別にヒト族のアンタになんて興味ないし」


「相変わらず手厳しい方ですのー」


 もっと今の私にも構ってくださいまし。


 先祖返りの姿は月に一日だけで、それ以外の私は基本的にヒト族の生娘なんですの。


 ご期待に沿えず申し訳ありませんわね。

 ご期待に沿うつもりもありませんけれども!


 何にせよコレでまた動けるようになりましたの。


 取り急ぎ寝汗でびちゃびちゃになってしまっていたパジャマを軽く脱ぎ捨てつつ、そのまま息を吐くように浄化魔法を照射して綺麗にしつつ、いそいそといつもの修道服に着替えさせていただきましたの。


 やはりこちらのほうがしっくりきますわね。


 生地の肌触りやら柔らかさやら、全ての質感がお上品にまとまっておりますゆえに。


 さすがは聖女の正装たるお召し物なのでございますっ。


 

「お二方もしっかり休まれまして?」


「そうね。誰かさんのおかげでね。こっからはペース上げてくから覚悟しなさい」


「おっけですの! ドンと来いですの!」


 この森に足を踏み入れ始めた頃に比べれば、私はとっても丈夫で逞しくて力強くなれたと思うのです。


 まして英気を養い終えた今なら尚更ですの。


 三日三晩寝ないで歩き続けることだって叶う……とはさすがに思えませんが、ちょっとやそっとのことではへこたれないくらいの筋力を得たのでございます!


 やはり筋肉……ッ!

 筋肉は全てを解決いたしますの……ッ!


 スタスタと歩きながらも、独りこっそりと腕をムキッとしては、ほんのりと固くなった上腕二頭筋にニヤニヤとしておりましたの。


 そのうちにクスクスという笑い声が聞こえてまいりましたので、ちらりと振り返ってみましたの。


 後ろを歩くスピカさんが笑っていらしたのでございます……!



「いや、いいんだよ。リリアちゃんが逞しくなったのはホントのことだもんね」


「けれども私っ、まだ一度もスピカさんに腕相撲で勝てたことがありませんのっ。三本指に手加減していただいた状態でも、ですのっ!」


「そりゃあ根本の鍛え方が違うからね」


 ホントにおっかしなお話ですわよねー……。


 あの細腕のどこにそんな力が眠っているのやら、この世の七不思議に加え入れてもよいレベルかもしれません。


 実際のところ、彼女には腕相撲どころか指相撲でさえも勝てたことがございませんもの。


 ある意味では今代の勇者様に真っ向から勝とうなどと思うこと自体が浅はかであり、太々(ふてぶて)しくあり、そしておこがましいのかもしれませんが、負けっぱなしというのもあまり気分がよろしくないのでございます。


 そうですわねぇ。


 スピカさんにもし本気で勝ちたいのであれば、どうにかして彼女の裏の裏をかかねば叶うはずもないと思うのです。


 もしも対峙するのが私だったら、どのように立ち回ればよろしいのでしょうか……。


 同性である彼女にお色気攻撃は通じませんし、たとえ持久戦に持ち込めたとしても、不屈の気合いを見せられて泥沼になってしまうだけだと思いますの。


 〝重さの異能〟を発動しても、私も彼女もほとんど動けませんし……!


 そうなりますとやはり、彼女が気を抜いたであろうその一瞬の隙に、キツぅい不意打ち攻撃をぶち当てるしかない感じになりますわよね……!?


 ふぅむ? もしかしてこの思考回路って。


 私たちを襲おうと画策している〝反・魔王派〟も同じようなコトを考えているのではありませんこと?


 もしや、この考え方を突き詰めれば、敵の出現予測位置や行動をあらかじめ想定しておけるのではありませんことッ!?


 はっはーん! お一つ閃いちゃいましたの!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ