表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

211/350

太っ腹な殿方はカッコいいですのっ! よっ! 旦那様っ!

 


 かくかくしかじか、丸書いて、ふぅむ。



 とりあえず一通り説明してさしあげました。


 私たちがこの森に入った経緯と、なぜあの洞窟の近くで寝泊まりしていたかの理由と、ここ数日にあった壮絶な戦闘模様についての一部始終、ですわね。


 主に真正面でお話を聞いてくださっていた仏頂面の彼は終始表情を変えなかったのですけれども。


 一方のお隣の方は、話の展開に応じて顔色を青くしたり赤くしたりほにゃりと柔らかくしたりと、私が話すたびにコロコロと変えられてお可愛らしかったですの。


 特に浄化が完了した旨をお聞きになった際には、それはもう跳び上がりそうなほど喜んでいらっしゃるようでした。


 私まで嬉しくなってしまいます。


 魔力を限界ギリギリまで振り絞った甲斐があったというわけですわね。



 ザックリと説明をし終えますと、仏頂面の彼は黙って目を瞑って腕を組んで、考え事をお始めなさったようでした。


 頭の中で整理をして、彼なりに一つ一つ噛み砕いて判断してくださっているのかもしれません。


 終わるまで静かに待たせていただきましょうか。


 とはいえ男女一組ずつでしばらく無言の時を過ごすというのも気まずいですので、お隣の、いくらか話しやすそうな青年エルフ族さんのほうに視線を向けさせていただきましたの。


 どうやらこちらの彼はあまりヒト族と、もしくは私のような超絶美女とお話をする経験に乏かったのか、照れたご表情で即座に目を逸らされてしまいましたの。


 ふふっ。こちらもこちらで愛らしい方ですことっ。


 いかにもエルフ族の好青年と言った感じの、これまた見目麗しい殿方ではあるのですが、私のお好みとしてはもう少し筋肉質で雄々しい感じの男性のほうがド直球に性癖に刺さるんですのよね。


 決して食べられないわけでないのですが、美味しく満腹になるならもっと別のモノを選びますわよねぇ、といった具合のアレですの。


 ……えっと、キチンと伝わりまして?

 まぁ何でもよろしいですけれども。


 詳しく言ってさしあげるのなら、私としてはどうしても線の細い方は抱かれ甲斐が少なく思えてしまいまして……おほほほほ。


 その、男性には男性特有の力強さを感じたいではありませんかっ。もったいなく思えるんですのっ。


 かく言う私もそういう夜遊びはまったくの未経験なので、あくまで想像でしかないのですけれどもっ。


 ……こっほん。


 早速ながら話題が寄り道してしまいましたので、余談はこの辺にさせていただきましょうか。


 どうやら仏頂面の彼の自己問答も終わったようなのです。



「……なるほど、事情は分かった。今の話が真実なのであれば、我々の集落は貴女らを客人として迎え入れねばなるまい」


「ぃやっほぃっ! 正直に話してみるものですのーっ!」


 野宿も一旦終わりを迎えそうですのーっ!

 お風呂ー! 屋根ー! ふかふかのベッドー!


 女神教の経典には正直者は救われるとか何とか、至極当たり前のことが刻まれておりましたけれども、現実考えればそりゃそうだってお話でしてよーっ!


 努力と善意が報われてこその人生ですもの。


 そうでなくては聖職者なんてやってられませんの!

 私、もっと自由に気ままに過ごしてましたの!



「ちなみに、私たちのパーティにはもう一人女子(おなご)がいるのですけれども、その方も一緒にお邪魔させていただいてもよろしくて?」


「……ああ。一人増えようが二人増えようが、大して変わらんだろう」


「ふっふんっ! 太っ腹な殿方はカッコいいですのっ! よっ! 旦那様っ! ついついマジガチの求婚をしたくなっちゃいますわねぇッ!」


 やっぱり余談のほうに話を戻させていただきましょうか。


 もはや今が人生最大のチャンスですの。

 チャンスと思ったなら即座にアタックですのッ!


 だって、私の熱烈求婚が無事に受理されようものなら、晴れて私たちの旅もここで終わりを迎え――あっふんっ♡


 ……いや、さすがに冗談ですわよ。


 女神様ったら頭が固すぎますの。


 ここで使命を放り投げるほど、私は無責任な女じゃありませんの。それくらいご存知でしょう?


 ……け、けれども、ほ、ほら!


 帰る家があったほうが、そして帰りを待ち望んでくださる最愛の方がいてくださるほうが、お仕事への士気も高まるとは思えませんこと!?


 愛しの旦那様のお顔が見たくて、常に足早にもなれるというものではありませんこと!?


 そうなれば結果的にスムーズに北の魔王城に向かえちゃうかもしれませんでしてよ!?


 十二分なメリットだってあると思いますのッ!!!



 ……まぁ、この私が何を言っても頑固な女神様には届かないと思いますけれども。


 それでも夢くらいは見させてくださいまし。


 ね? ねね? 仏頂面のエルフ族のイケメンさん。


 今日初めてお会いした私たちではありますけれども、実は最高に相性のよい二人になれるかもしれませんの。


 どどど、どどどどどーですの!?


 この際実際に私を妻に娶ってみるというのも、ワンチャン有りに思えてきましたでしょう!?


 期待と熱と媚びを存分に帯びさせた目で見つめさせていただきましたの。



 しかしながら。



「……悪いが俺には妻も子供もいる。我々にできるのは、あくまで長老に集落に入れる許可を得ることまでだ。伴侶探しなら他を当たってほしい」


「ああん、実に残念でなりませんのぉー……」

 

 帰ってきたのはお断りのお言葉でございました。

 おおかた予想通りのトホホのホ、ですの。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ