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婚活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第2章 大森林動乱編】

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リリアちゃんはギャンブル好きみたいだからねー。聖職者なのに

 


 そうして迎えました、作戦決行のとき!


 一人では敵わない相手も、三人で知恵を絞って力を合わせれば、きっと!


 いざ、私たちは賭けに出ますのッ!



「むふふ。考えてみれば、これが私たちの初めての共同作業になりますわね」


「ちょっと! 変な言い方しないでよ」


 ほんのり顔を赤らめながらそっぽを向いたミントさんに、私とスピカさんがケラケラと笑って応えましたの。


 雰囲気は極めて良好ですの。


 イイ感じに肩の力が抜けております。



「あっはは。でも実際そうなのかもね。戦闘のときって、ほとんどリリアちゃんは見てるだけだったし」


「わ、私だってキチンと異能を使いこなせるようになればもう少し頑張れましてよっ!」


 ……前言撤回させていただきますの。


 意識的か無意識的かその真意は定かではありませんが、終始無邪気なお顔でスピカさんは私にプレッシャーを与えてきていらっしゃいます。


 な、内心ビクビクと震えながらも、改めて気合いを入れ直させていただきますのっ。


 とにかく今回はスタートが肝心ですもの。

 何より私が口火を切る役目を担っているのでございます。


 私が少しでも失敗しようものなら、その次に動くお二人を大きな危険に晒すことに繋がりかねませんゆえ、小指ほども油断はできません。


 はてさて。


 ミントさんの考えた作戦をお互いに頭に叩き込みまして、そして今、実際に実行に移そうとしておりますの。


 相変わらず能天気そうな亀モグラに対して、只今は私とスピカさんとミントさんが、それぞれ正三角形の頂点を描くように囲み立っておりますの。


 距離にしておおよそ十歩も駆け出せば亀本体に触れられますでしょうか。


 防衛のための胞子噴出を行なわれない、ギリギリの位置まで近付いているのでございます。


 先ほどのミントさんのご観察によると、これくらいが限界とのことでしたの。


 認識違いがあってもよろしくありませんし、念には念を入れてもう一歩だけ後ろに下がっている感じでしょうか。


 幸いにも声出しが可能な状況ですので、面倒なアイコンタクトや手信号に頼る必要もございません。


 お互いに呼び合って報告し合いますの。



「アタシはいつでもいいわ。そっちのほうは?」


「こっちもおっけー。いつでも走れるよ。それじゃリリアちゃんよろしくね。緊張しなくても大丈夫だから。手堅く行こう!」


「ふっふんっ、動かない的に当てるのなんて、朝飯前どころか夜中の秘密のつまみ食いよりも前な些末事でしてよっ。さっきも散々やっておりますしっ。大船に乗ったつもりでお任せくださいましっ」


 元気に返答をしてから今一度集中し直します。


 今日はもうだいぶ魔力を消費してしまいましたが、何もしないでいればちょっとずつ回復するのでございます。


 女神様に加護を受けた私を舐めないでくださいまし。


 もう一発ド派手な浄化の一撃をお見舞いしてさしあげることくらい、なんてことはないんですの!



 ぎゅっと拳を握り締めてから腕を突き出してわ前方のキノコ亀モグラに向けて、意識を高めますの。


 手の先に、私の中に眠る聖なる力を全力で込めていくのでございます!


 漏れ出た浄化の光によって、手の周りの空気が少しずつ浄化されていきますの。


 今はこの空間を白く濁らせているキノコの胞子を、この件が片付いたらメッタメタに浄化し尽くしてさしあげますのッ!



 ギュワンギュワンと、エネルギーが満ち溢れる音が私の手の中から聞こえてまいりました。


 更には淡い光が私の身体から発せられております。



「私も準備完了ですの……! いつでも凄いのをブッ放せましてよーッ……!」


 お二人に気合を込めてご報告いたします。


 むしろ気を抜いたら勝手に放射されてしまいそうですゆえに、合図を聞き届けるまで緊張の糸はピンと張り続けておくに越したことはありません。


 実は私、浄化の光だけでなく、手に汗握っておりますの。微かに震えてもいるのです。




「……ハァ。アタシの読みが外れたら全部アウトだっつーに、ホント物好きで無鉄砲な連中よね、アンタらって」


「私はともかく、リリアちゃんはギャンブル好きみたいだからねー。聖職者なのに」


「リ、リスクがあったほうが燃えるんでしてよ! そんなことより早くっ! 限界チャージを維持し続けるの、案外結構キツいんですのーッ!!!」


「おっけおっけ。それじゃあカウント始めるよー」


 そのお言葉を皮切りに、スピカさんもミントさんも、とても真剣そうな顔つきに切り替えなさいましたの。


 ミントさんはスンと余計な力の入っていなさそうな佇まいに、一方のスピカさんは姿勢を低くして、一気に駆け出す寸前のような体勢になられました。


 この勝負は一瞬でカタがつきますの。

 ゆえに一瞬も気を抜けませんの。



「さーん」


 そのお身体の放つ圧からは考えられないほど、間伸びしたスピカさんのお声が聞こえてまいります。


 全然緊張してないって、羨ましいですの。



「にーぃ」


 分かっているとは思いますが、ゼロのお言葉でこの手のひらを解放いたします。


 今回は極太光線である必要はありません。


 あの亀モグラの大きさに絶妙に合わせた、特注サイズに調整しておりますゆえに。



「いーち」


 余計な思考を捨てて、目の前の亀モグラに照準を合わせます。



 そして。



「ゼロッ!」


 スピカさんの合図と同タイミングにッ!


 手のひらから浄化の光線を発射いたしましたのッ!


 ズバビューンッ! と甲高い音を奏でながら、まっすぐに亀の身体を貫きますッ!

 

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