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僕は今、空を飛んでいる。
スッとした気持ちで大空に手足を広げて急降下。
これで苦しみはなくなる。
人を傷つけるのは物理的なものだけではない。
僕は心無い言葉によって死んだ。
僕はただの高校生。顔も普通、頭も普通。
特技があるわけでもなく。部活に入っているわけでもない。
ただ、家に帰ってゆっくりする。
ご飯を食べて寝る。
これが至福だった。
一番殺傷力がある武器をご存じだろうか?
切れ味のいい刀?それもある
貫通力のある銃器?これも痛い
でも本当に痛いのは何だろう?
僕はこう思う。
花に善意の言葉を投げるのと
悪意の言葉を投げる。
前者は嬉々として咲き、後者は枯れてしまう。
もちろんすぐに枯れるわけではない。
時間をかけて徐々に浸食していくのだ。
刀で斬られた茎はまた生える。
銃器で撃たれようがまた生える。
腐ったものは生えない。そんな気がした。
僕の心は腐っていった。
そんな気がした。
誰も助けてくれない。もしかしたら助けてくれたのかもしれない。
でも僕にはわからない。君の一言で失った命はどれだけあるのだろう。
もしかしたら、失う必要が無かったかもしれないそんな命。
僕は飛んで落つ。赤い花びらを添えて。
そう思った僕は光に包まれた。
目を覚ますと、知らない景色が広がっていた。