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目的の確認

二話目です…





 先生に促され、四女神がやってきたのは大講義室。

 聖女院の者でもめったに使わないのか、サナ以外の女神たちが三者三様の反応を示している。


 そんな女神をよそに先生は「早速ですが」と前置きをして、女神の使命について語りだした。


「女神の後継者が選ばれること。我々はこの事態に備えてきました。では女神になったあなたたちに聞きたい。女神の後継者が選ばれることの意味を」


「えっと、たしか」


「「「世界をつかさどる四元素の大規模な減退現象」」」


 思い出せたものの言いそびれたサナは頬を膨らませる。

 幼女になってから精神年齢にも影響が出ているのかもしれない。


「そう。我々人間は【異能】という超常を得るまで、自らの努力でもってして世界の四元素に介入し身の内の魔力を変容させてきました。これを我々人間は魔術と呼びます」


 そう。帝国の人間は今でこそ【異能】を生き方の羅針盤として扱っているが、昔はそんなものはなく努力して生きる術を得ていたのだ。


「えっ…そうだったんだ」


 持ち前の中二脳で何とか話の内容を理解したサナは脊髄反射で驚きの声を上げる。

 やはり精神年齢が幼くなっているようだ。


「ですが世界各地で【超常】が発生したことにより、それまでよりも容易に四元素が消費されるようになってしまいました」


 消費、介入。

 これらの単語からサナは四元素というのは現世でいう酸素なんかの空気と同じ扱いなのだと理解する。


「魔術は簡単に魔法へと昇華し、世界の開発が進んでいった。そして起こったのが【世界の四元素】を生み出す【星典】の劣化でした」


 【星典】の劣化。

 この言葉で女神たちは表情を硬くする。


「星典は四元素の数と同じで四つあります。【聖火】【深海炉】【源雷針】【世界樹】。これらの星典の相互作用によって四元素は世界を満たし、魔物たちを抑制してきました」


 相互作用。

 腐ったミカンではないが、星典の相互作用によって異常は共有され最終的にすべての星典が異常をきたす、先生はサナのためにかみ砕いた表現でそう言った。


「えーっと。じゃあ俺たちは星典の劣化を……修理?したらいいのか?」


 やることの確認を行う。

 だがサナの予想と先生の回答は違った。


「いえ、修理はもちろんなのですが、それよりも元凶の対処をお願いしたい」


 元凶?

 とサナは眉をひそめた。

 先ほどの話通りに行けば、四元素を使う、それこそ魔術系の異能持ちが元凶ということになるのではと、サナが考えていると、それに感づいたのかケレンが補足してくれた。


「あんた女神の記憶見てないの?見ときなさいよ、にぶいわね」


 余計な一言を添えて。


「確かに先々代の時代は一般人が魔法を馬鹿みたいに使っていたから四元素の消費が速かった。だけどその問題は先代の女神が星典を強化してくれたから解決したのよ」


「つまり、一般人が魔法を馬鹿みたいに使っても大丈夫になったと?」


「そう言ってるじゃない」


「……強化された星典に異常が出てるって…やばいじゃん」


「本当に女神の記憶を一切見てないんだな」


 クロナがあきれたように苦笑した。

 仕方ないだろ、ブルーになってたんだから、とサナは頬を膨らます。

 起こり方のレパートリーが一個だけになっている。


「我々が問題視しているのは魔獣の苗床の増加、および狂暴化です。放置したら人類が滅びかねません」


「強化された星典の異常には、人間がかかわっている可能性が高い。だから修理だけでなく元凶の排除も必要なんだな」


「そうだよ……サナ。わかっててエライ」


「え、えへへ……じゃねえよ」


 クルーシアにナチュラルに頭を撫でられ瞬間的に幼児退行するサナ。


「サナ様の言う通り、その可能性が高い。ですが、それ以外の可能性ももちろん考えられますから調査する必要があるんです」


 それはわかる、わかるが、とサナは女神たちを見て言った。


「……俺たちだけで?」


「星典関連の事象で女神様方の右に出る者はいませんから」


「いや、そうじゃなくて」


「はい。調査への支援はできる限り行います。護衛も必要でしょうから、調査と護衛を並行して行える人材を女神様方の傍付きにします。これでよろしいですか?」


「アッハイ」


「では、女神様方の出立は一週間後とします。それまで準備を欠かさないでください」


「「「はい」」」


 満足げにうなずいた先生が大講義室を出ていく。

 その様子を見送った後、女神たちがサナに向き直って言った。


「いいかサナ。うちらの使命は星典の修理と」


「元凶の排除よ」


「……排除に関しては、護衛と一緒にやればいい……わかった?サナ」


「うん!わかった!じゃねえええよ!なに子ども扱いしてんだ!」


「子ども扱いもなにも、あたしたち子どもじゃない」とケレンが言って女神たちは笑った。

 この短い時間でサナの扱い方が決まったようである。


 サナの不本意な形で。








ねます

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