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青の枯葉

「だからあなたなんかと結婚するんじゃなかった!」

「なんだと!俺もお前がこんなやつだとは!」


夜中の一軒家、どこにでもある住宅街に響く2人の怒号

そんな中に俺は自分の部屋で、ヘッドホンをつけて逃げていた


「何回目だよ、、、」


口からこぼれたその一言に、全てが嫌になっていたどうしようもないほどうんざりしていた

さっきの怒号でもわかる通り俺の家の両親はかなり仲が悪いどころか破局寸前。自分でもわかってる、頭の中でわかってるんだ、でも動けないんだ

もし自分が中に入ってもっと悪くなったら、もっと手に負えなくなったら、そう思うと何も出来なくなる

だから俺は



逃げた



親の財布から2万くらいとって、ゲーム機と音楽プレイヤーと財布をもって家を出てった、たかが15のガキに何ができるかと思うがこの時はそれ以外どうしようもなかった、だからどうしてくれとは言わない

それからしばらくして、ずっと揺れてるだけだから自分でもどこに向かってるか分からない、何となく着いた駅におりてみた

そこは特に特徴はなかった、田舎と言うとそうではなくて、都会と言うとちょっと違う。店もあるし、コンビニもあるし、居酒屋もBARも、キャバクラやお風呂屋さんもそういうホテルもある、だけどデカデカと伝わる印象は無かった。東京の端っこの方みたいな?神奈川だと横浜の端らへんみたいな?まぁおれが横浜住みだったからわかる話だな、今は和歌山だけど。


「はぁ、、、」


やることも無くて、途方に暮れた

家を出たのはいいが出てどうするとかは思いつかなかった

『碧薔駅』

何だこの駅名だっさ

ふと、横を見るとハッデハデな3人組がいた(男2女1)男一人と目が合うとニチャアと汚い笑顔でこっちを見ていた


「よぉそこの坊主」


2~3個しか年が離れて無さそうだが坊主と言われた

それは別にいいんだけどそれに便乗してもう2人がこっちによってきた

正直も何もすごく怖かった


「なにやっとんの?」


キタァァァァよくネットで見るヤンちゃんの話しかけアレ!と、1割すげぇと思い9割怖がっためっちゃ怖かった何度も言うけど怖かったなんなら今思い出したこの瞬間も少し怖い


「いや、、、あの、、、あ、、、」

「いや、答えろゆうとるやんけ早せんかいな」


言ってないですやんとは言えないわけで

自分で言うのもなんだが自分はかなりチキンだ、授業中に堂々と手を挙げたことも無いくらいチキンだ

そんな奴に詰めてこられたらそれは答えられない


「まぁええわ、んで、お前いくら持っとんの?」


カツアゲだった、これでもかと言うくらい見本的なカツアゲだった怖かったけど自分は財布に入ってる1万とちょっとしか持ってないからそれを失うと何も出来なかった

だからだんまりをした


「なぁ、、、少しくらい口きかんと?」

「持ってないです」

「嘘つけいまお前電車から降りてきたやん交通費あるんやろ?よこせや」


勇気を出して振り絞ってもやはりダメだった自分じゃどうもできなかったもうダメだと思ったなんならチビりそうだった


「待てや」


高くだけど尖った声が4人に響いた


「ガキがガキいじめて何しとるん?」


とてもドスが効いてるとかそんなんじゃなかった、だけどその声は鋭く、張ってる訳でもないのに大きな威圧感を感じた声に正直震えた


「なんやお前?あんたにゃ関係ないやろ!」


ハッとした様な顔してそのお姉さんにまくし立ててたでもお姉さんはハンッ!とした堂々とした態度で


「悪いがな、こいつわしの連れなんや。連れにどうこうされたら黙ってられへんよな?」


そしたらお姉さんが思っきし不良の近くに振り子のようにスムーズに、それでいて強く近ずいた


「な?」


その威圧感に自分もチビりそうになりながらゆっくりと後ずさりする不良を見ることしか出来なかった。

そして10秒というあっという間と思えるほどの時間が途方もなく長かった、例えるならカップラーメンを一日ぶりのご飯に食べるくらいにずっと待ってた時くらいに感じたけどその時のワクワク感とは遠く離れる感情だった。


「、、、、」


お姉さんが耳打ちしてる、よく漫画やアニメで見る『顔が真っ青になる』という表現、絶対現実でそんなの見れないしもしあっても分からないよなと思ってた。でも初めて見た、『人が青くなる』ということを、『血の気が引く』ということを、ハッキリとこの目で、肌で、感覚で、『恐怖』というのを知った。


「に、逃げるぞ、、、、」


『逃げる』なんて言ってるけど全然そそくさと逃げる感じじゃなくてゆっくり歩いて駅を離れてた。その時間たった10秒ちょっと。


「大丈夫か?なんでこんな夜中に田舎駅来てんだ、ガキはとっとと帰りな」

「あの、、、、あの、、、、」

「、、、、ふーん」


少し時間を開けたあと納得したような感じでそれでいて呆れていたような感じで「ふーん」と言った、もしかしたら家出がバレたのか、、、、?


「ワケありってことね、なんだいうちのとこ来るかい?」

「あ、、、、え?」


バレてました。そしてとんでもなくほうけた声が出た、うーん恥ずかしい。自分は如何せん体が小さく度胸もなければ筋肉もない、アレも小さい、、、、おっと関係ないのがひとつ混ざったな、自分で言うのもなんだが顔は割といいほうだと思うんだ。でもコンプレックスが多いのと大きいせいでからかわれやすい。そして、このお姉さんなんて言った?今うちのとこ来るかって、、、、言った?おいおいまじかよ怖くていけないよ足もガクガクしてるよどうしよ。


「恥ずかしがんなこちとらもうすぐアラサーになる女なんだよ恥ずかしがるこたァねェ」

「あ、、、、はい、、、」


あれ?大阪弁無くなってる?


「あの、、、、」

「あ?」

「キュ、、、、えっと、、、、大阪弁、、、、」

「あぁ、うち元々東京住んでたんだ」


キュとかよくわかんない声出たけどまぁいいね、そして東京育ちか、、、、こんなにも育ち方で差が出るんだなぁ。

さて、これからどうしたものかな、ガチでお姉さんのとこお邪魔することになるのか、、、、?ピュアっピュアな俺にはなかなかハードルが高ぇ、なんて俺の心を置き去りにお姉さんは歩き出した、おいおいまじかよ


「あ?どうした来ねえのか?置いてくぞ」

「い、、、、行きます」


まじか〜、、、、


〜部屋〜

「うわ〜、、」

「なんや、まぁ座りな」


初めて女性の部屋入った、、、、うへえ

同い年の女の子の家すら入ったことないからな、童貞が暴走しそうだ


「お前さっきから動かないな、どうした?」

「いや、、、、その、、、、ゴニョニョ」

「あ、さては女の部屋に入るのが初めてなんだな?」


はい、バレましたね。おれそんな顔に出やすいのかな?

ってかお姉さんいかつい割に可愛い部屋住んでるなぁ。


「あ、それと、このアパート男子禁制だから部屋で大声出したり見つかったりすんなよ〜壁薄いしな〜」

「え?」


おいおいそんなとこ俺入ってきちゃったの?やばくないかい?見つかったらそう終了とかどこのデスゲームだって。

ホイホイ着いてきちゃったけど俺これからどうするんだろ、、、、ここに寝泊まり?お姉さんに迷惑かかりすぎでしょ、、、、


「さて、ここからお前のことについて話そう」

「、、、、はぃ」

「男なんだからうじうじすんなって」


考えてたところまさかあっちから聞いてくれるとは、、、、ありがたやありがたや


「まず、お前は今日からここに寝泊まりする訳だが、何もしないで置いとく訳には行かない、つまりお前には働いてもらう」

「働く、、、ですか?」

「そう」


そっから聞かされた話はこう。

1、家事全般をやる、しかしやるとは言っても洗濯掃除くらいで2人で分けてやるからそこまで無い

2、うちのバーがあって、そこで働く


そんなに多くないのは助かるラスカル


「と、こんな感じかね、これからは家を出る時は必ず言うこと、置き手紙とかなしね」

「分かりました、お店って何をするんですか?」

「そうだね、お前顔がいいから呼び込みかなって言ってもどうですかーじゃなくてただの看板ね」


看板、、、、いや顔で言ったらお姉さんもなかなか美人だし、俺は裏方の方がいいんじゃないかなぁ


「あの、、、、僕よりお姉さんの方が綺麗ですしおれは裏方の方が、、、、」

「なぁに小さい方が客は寄るっての」


やっぱ俺小さいかぁ、、、、いや俺何ちょっとガッカリしてるんだろう。

さて、自分は客寄せ、つまりはウェイトレスとかそういうことをやるんだろうな、迷惑かけないだろうか。


「さて、私は風呂に入ってくる。」

「あ、じゃあ僕は、、、、テレビ見てていいですか?」

「何言ってんだ一緒に入るぞ」


、、、、は?


「え?、、、、僕とですか?」

「他に誰がいんだ水道代もったいないから入るぞ」

「いやちy」


〜着替え室〜

ひんむかれた、、、、体があらわになってしまったお婿に行けない!なんて言ってる場合じゃなくてどうしてこうなった、、、、いくら水道代が云々とはいえ年頃の男とお風呂とは危機感がないのでは!?


「ほれ」

「だめ!ダメです!これ以上は!」

「何言ってんだ風呂ごときで」

「ごときしゃないです!だいもんだいです!」


だめだ俺の事男として思ってないパターンだこれ

うーんすごい引き締まった体だからまずい、何がマズイって俺はもう男としての役割を果たせる機能があるということだ、男の諸君はわかると思うが下半身は支配できないゆえこれが困る。

ドン引かれたら終わりだ、、、、これから気まずくなる、、、、


「タオルくらい受け取れ」

「はい、、、、あれ?」

「どうした」


お姉さん水着、、、、?付けてる、、、、良かった俺の幼きミルワームが動いてない、、、、はず

いやこの水着インパクト凄いなやっぱダメそう


「早く入れよ〜」


地獄の30分が何とか終わった、、、、ずっとバニーのおっさんを想像して萎えさせた、、、、Goodプレイだ俺


「ふぃーサッパリサッパリ」

「、、、、」

「のぼせたか?」

「だいじょぶれふ」

「のぼせたな」


頭が回らん、、、、ぼーっとする、、、、ああ


〜部屋〜

「ほら、布団敷いたぞ〜」

「ありがとうございます」


少し外歩いてきてよかったな、ほんとーにここまで気持ちいい風呂はない、初めてだったな人と風呂に入るって、、、、いいな


「明日からバリバリ働けよ〜」

「分かりました、おやすみなさい」


明日からしっかり働かなきゃ、頑張ろう俺。


いつも俺は朝が弱い、弱いのに今日は早く起きれた。

理由は当然お姉さんの寝相が酷すぎた、『酷い』のではなく酷すぎた殴られたとかではなく、よく漫画であるお胸を当てられて〜とかそういうのなんだな、とても柔らかかったです。

ちなみに朝のむすこは大変でした


「さて、お前は今日から働くことになるが、ウチの店は夜からだから昼間は家事と店の準備をする、いいな?」

「分かりました、とりあえず家事を一通りやります。」

「分かった、準備が終わったらこっちに来て迎えに来るわ」

「では」


内心ワクワクしながら一日をすごした、もちろんこちとら思春期なゆえ下半身のコントロールは効かない、なのでトイレに行って致したさ、あぁもちろんお姉さんの想像しながらな!とても美味しかったです。


ー夕方ー


太陽が影に蝕まれ始めた時、目を開けたらかなりの美少女がいて驚いた、肩あたりまでの長さ、それを前に出して、ゴムで結んだサラサラとした髪

パッチリとは言えないがハッキリと見える目、リップで艶が出てる唇、薄い桜色の頬、その全てに上品さが出ていた。


「どうだ?綺麗だな。やっぱお前生まれる性別間違えたんじゃないのか?」

「これ、、、、ほんとに僕なんですか?」


そう、上記の特徴はなんとお姉さんに化粧された俺だった。

そっちの才能があったとは、、、、我ながらちょっと綺麗と思ってしまう。

お姉さんが言うには女装とかはバーにはよくあるとの事、当然お子様の俺にはよく分からない事だったんだな。

だけど、、、、何故か自分に自信のようなものが持てた気がした、そんな事に理解ができたような感覚になったのはお姉さんには内緒にしておく


「さて、行くか」

「はい!」

「お、ちょっと声がでてきたな、成長成長」


お店の中はよくドラマとかで見るバーそのものだった、なんて言うかこう、、、、大人な雰囲気で、俺のようなガキには到底似合わないゆったりとした、それでいてキラキラしたお店だ。

でも今の俺は少しこのお店に合うように化粧された、もちろん女の子としてだけど。


「わぁ、、、、」

「俺が唯一自慢できる場所さ、それも最高にな」

「凄いです、、、、」

「そうだろ〜」


ニヤニヤとした嬉しそうな表情でこっちを見てる、、、自分の店が褒められて嬉しいというのはまだ分からないがきっと「お前メテオ上手いよな!」って言われてる感覚と似てるんだろう。

そして、『お店』が綺麗というのもあるがおめかししてる『お姉さん』の方が綺麗だ、と言ったら怒られるだろうけどそれでも綺麗だった、大人の美貌かぁ。


「んじゃつまみ作って始めるか」

「はい」


〜開店〜


「は〜こんな可愛い子どこで連れ去ってきたんだい?」

「やっぱアタシが魅力あるから?こういう子も来るんだよ、ほらこれあそこのおばさんたちに持っていってあげな」

「だれがおばさんよ!」

「まだピチピチの20代ですー」

「今年で29だろ十分おばさんだよ」

「あの、、、、これ、、、、どうぞ」

「「男!?」」


なんだか恥ずかしいし、まだ人見知りは治らないみたいだな、、、、どうしたものかな、、、、


それから2日経過した、その2日間は家事して、お店に女装してって、色んなお客さんの口聞いて、2日過ぎた頃にはもう自信が着いて、今日なんて愚痴に冗談を返せた。それだけで俺は自信がつきまくった。


「おやすみなさい」

「あい、おやすみな、明日は昼からだから早く起きろよ」

「昼から、ですね、分かりました」


どうやら昼から始まるらしい、毎週金曜日は昼からなんだと、つまりいつもより余裕が無いということだ、なるほどなるほどゆるーりとできないのはつらいが、、、、まあいいやと適当に流している自分がいる。

ちゃっちゃかおわらせて準備に入らなければいけないため急ぎに急いだが手は緩めない。まさにプロ

そして昼になり大急ぎでお店に行き開ける準備に入った、明るいこの店を見たのは初めてだからなにか新鮮だ、例えば夜の校舎に入るとかいつも夜に行く塾に初めて昼に行ったみたいな。わかるよね?


「よーし、開店だな今日は濃いやつが来るって言ってるからいつも以上にウザイぞw」

「それも楽しいので個人的にはその方がいいです」

「お、じゃあ全部任せようかな」

「それとこれとは違いますよ!」


なんて他愛もない話をしていた、そんな中急に店の扉が開いた


「よお、こんなガキ連れて店やるなんてここはいつからお塾になったんだ?」

「てめぇ、何しに来た」

「客に向かってその態度はねぇだろぉこんな店に来るなんて酒しかないだろ、あ、お前がアイツを失ってからどんな顔してるか見に来るのもあるかな」

「おい!」


そういうと、お姉さんは俺には当然、4日前に絡まれた不良にだって向けなかったまさに『殺意』と呼ぶものに近かったそのとてつもない恐怖感におれは足が震えてしまった。

アイツって、、、、誰なんだろう

なんで俺モヤモヤしてんだ?

モヤモヤするってことは割と余裕があるのか、、、、いやあのお客さんたちの圧に耐えれたからだな。


「まぁいいよ、それで?あの話はどうなんだよ」

「絶対に無いって言ってるだろ」

「あぁ!?おめえは昔世話になった先輩に恩を返すことすら出来ねぇのかぁ!?」

「あんなことのどこが恩なんだよ!そのせいで!そのせいでアイツの!」

「だがそのおかげでおめえはアイツと恋仲になれたんだろうよ!」

「そんなこときっかけで付き合いたくはなかった!アイツの気持ちを踏みにじってまで!」


マシンガンのように飛び交う言葉に困惑していた、でもその中身を聞けるほど俺は冷静じゃなかった。

俺は初めてお姉さんの『涙』を見た。いや正確に言えば初めてじゃなく1度だけ店を掃除してる時にお姉さんが手に持っていたペンダントを見て泣いていた時があった、でもその時は優しくて哀しくてでも嬉しそうな涙だったから俺はめずらしいと思うだけで済んだ。


『今は違った』


お姉さんの涙を見た瞬間体の中から今まで感じたことの無いどうしようもない怒りが溢れ出した。


「やめてください」


きっと俺の声は震えてたと思う。自分でもわかるほど弱く細い声だった、でもその声とは裏腹に腕に力が入った、心に勇気が灯った。


「あ?テメェ男か、きっしょくわるい見た目してんな、恥ずかしくねぇのか?男で女装とかよ」

「そうですね、そんなに気持ち悪い僕でも1人のお姉さんを哀しませる様な馬鹿なことはしません。お姉さんが困ってます、やめてください」


さっきは声が震えてたのに今はスラスラと言葉が出る。勢いがある。


「あぁ!?うるせぇぞガキィ!」


すごい速い拳が俺の頬を思いっきり突っ切った。その少しあとにくる痛みが全身に渡った


「もうやめろ!こいつはまだガキなんだよ!」

「うるせぇ!テメェも殴られてぇかぁ!?」


必死に足にしがみついた


「『やめてください』」


掠れた声で何とか口に出した言葉お姉さんが殴られるのは絶対に嫌だった


「チッ!」


足を振り払い俺の腹を蹴って

「シラケたわ」

とだけ言ってどこかへ行ってしまった


「おい!大丈夫か!?あぁ、、、、こんなに顔が腫れちまって、、、、もっと私がちゃんとあのバカを止めていれば、、、、」


泣かないでください、お姉さんは笑ってた方が何倍も素敵です。こんなセリフ臭いかもしれないけど、俺はあなたのことが好きらしいです。今もこんなにボロボロになりながらも膝枕をしてもらってることが嬉しいんです。


「もう何も言うなよ、、、、少し寝ていてくれ、、、、」


声にすらでてなかったのか、完全に緊張が解けて何も言えなかった。でもそんな俺に寝ていてくれってさ、、、、お姉さんの膝枕の上でならとてもいい夢が見れそうな気がするよ、、、、ありがとうお姉さん


そして俺はゆっくりと深い眠りについた。






目を覚ませた、生きてる、まだ生きてはいる、良かった、もしかしたら俺は十何歳って年齢でこの世を発ってしまうとこだった、何とか何とか開いた目に映ったのは綺麗な青い髪のお姉さんと、白い天井だった、あ、目が合った


「どれだけ心配したと思ってるんだよ!もぅ、、、もぅ、、、また失うのは嫌なんだよ、、、」


いでっ!動けねえ、なんで?と動こうと思ってあげようとしてみても帰ってくるのは痛みとダメという体の返事だけだった。


「あ、、、の、、、から、だが、うごかせ、、ないんです、、、けど」


何とか捻り出した声は危うくも聞き取れたらしい、お姉さんは叱るような目で俺にいいきかせてくれた


「お前は無茶しすぎて体が何本か折れてんだよ、動くんじゃねえ」


ふと気になった、あとおじさんはどうしたのだろう


「あ、の、、、おじさん、、、は?」

「知らねぇよ、多分どっかでヤニでも吸ってやがるよ」


そっかぁ、、、良かったのかもなぁ。

お姉さんになにかしてこないことはわかったから安心できた。


「なあ」

「は、い」

「私は帰る、多分もう会えないと思う。」

「え!?、くぅ」


驚いて大きな声とも言えないが今言える最大の声を上げたが、もちろん痛みも来た、そんなことより、お姉さんが帰ってしまう!?なんで?、、、俺が弱かったから嫌気が指したのか、、、?


「お前はこんな私といると不幸になってしまうから、私は離れたい、お前を傷つけたくない。だから、ここでお別れだ」

「そ、んな、、僕は、嫌です、、、あなたと、、一緒にいたいから、、、」

「ごめん」


そう言ってお姉さんは病院の扉を開けて、出ていってしまった。

何をすれば、何をすればお姉さんは俺といてくれるだろう。

多分俺に好意が無いわけでないと思うけど、だからといってどうすればいいだろう、強くなればいいのか?頭が良くなればいいのか?優しくなればいいのか?金を持てばいいのか?ずっと考えこんでは、また悩むことばかりだった、いつからだろう、いや、数日前からだな。

人のことを思い、人のために何かをやろうと考えられたのは紛れもなく、お姉さんのおかげだ。

そんなお姉さんのために俺は今『変わる』







5年もたった、俺は20になりそこそこいい大学にいる、もちろんバイトもしているけど投資なんかも初めて、ジムに行ったりしてそれなりの筋肉もある。もちろん太ってなんかないぞ!大学生にしてはすごいところまで来てしまった。

今日、お姉さんに、会いに行く。

きっと、きっと彼氏でもできているかもしれないがきっと俺はあそこにいると思った。

日が隠れ、月が顔を出し始めた夕暮れ着いたのは田舎ともいえず都会とも言えない駅だった。

また来たな『碧薔駅』相変わらずだせぇだせぇ。

さてと、BARに行きますか、あの『ラベンダー』へ。



カランカラン

久々な空気、この店の雰囲気、そしてカウンターで回転の準備をしているお姉さん、変わらないなあの時の自分が見た景色と。


「ごめんね、あと少しだけ待ってくれれば開店時間なんだ。にしても君渋いね、こんな路地裏のBARに来るなんて見た感じ大学生ぐらい?」

「そう、、、です、自分は20ですよ、じゃあどっかで時間潰してますね」


考えても見なかった、自分は20、あの時は15、成長期だから凄く印象など5年もあれば変わる、変われる、しかもそんなガキンチョなんて忘れるよな。やべ、泣きそう。


「あぁまちな、せっかく来たんだ、なにか飲むかい?」

「じゃあ、オレンジジュースで」


あと時、初めて飲ませてもらった飲み物だ、気づいてもらおうとかじゃないけどふと口に出た単語がそれだったんだ。


「へ〜、、、BARに来てまでオレンジジュースかい?」

「はい、お願いします」

「わかったよ。」

「それにしても、随分と綺麗な碧色の髪の毛ですね」

「あぁ、、、、これかい?これはね、昔のやつが自分を見た時に思い出せるようにこうしてるのさ、馬鹿だよね、あの時会うなって言ってたヤツを待ってるなんてさ、、、」


出されたコップはあの時使わせてもらってた『俺だけの』コップだった


「会わないって言ったのになんでわざわざ来るのさ、、、しかもこんな大きくなってまで、、、」


忘れてなかった、、、忘れられてなかったんだ、、、俺の、、、俺の事、、、覚えてくれてた、、、


「あ、、、あ、、、お姉さん、、、」

「なんだい?5年も待ってた女に何を言わせる気だい?」


言わせて欲しい、たった二文字の在り来りな言葉、だけど今の自分ならこの二文字すら言うので精一杯だけど、それでも。


「好きです。」

「遅いんだよバカ。こんな年増でよければいくらでも付き合ってやる」


その日僕は子供として、1人の男の子として卒業をした。

元々、pixivで投稿してたのがリア友に見つかったので消して今度はこっちに描きました。

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