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遠矢くんとまた明日。  作者: ねいろ
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3話 いつもの日常へ


ざわざわと日常の喧騒が聞こえてくる。気が付けば歪んだ世界は消えていて、俺達は元の世界へ戻ってきていた。交差点に入る横断歩道の前、最初に大山が安心したように息を吐いた。


「現実世界に戻れたということは、悪王は消滅したのだな。陛下、いえ、なつき様、実にお見事でした。やはり、あなたは偉大です」

「お前何にもさせてもらえてねえもんな。本当に側近だったのかよ」

「遠矢貴様」

「いてえいてえ!!こめかみを執拗に押してくんな!地味な攻撃やめろ!!」


大山の攻撃に悲鳴を上げていると、ふわりと亜麻色の髪が風に揺れた。いや違う。揺れたのではなく、なつきが倒れたのだ。地面に落ちる前に俺から離れた大山が手を伸ばして受け止める。周囲の人にじろじろと見られるが、横断歩道から離れて建物の影へ移動し、なつきの様子を見る。どうやら眠っているようだ。時折むにゃむにゃと聞こえる。

大山と二人で、はーっと大きなため息を吐いた。


「もしかすると、先ほど異空間に入ったことで前世の記憶が戻ったのかもしれない。脳への負担が大きかったのだろう」

「はあ?!いやまあ、たしかにそんな感じだったけどよ。それじゃあ、今のなつきはどうなんだよ……」

「変わらないのではないか?」

「え?」

「かつての善王エルスト様は男であったが、今生でなつき様を見た時、俺は一目で陛下だとわかった。話してみてもそれは変わらなかった。陛下はなつき様であり、なつき様は陛下だ。記憶の有無など些細な事」


大山はなつきを背中に背負うと、自宅まで送り届けると言って歩き始める。見届けないと今夜眠れなくなると俺もついていくことにした。結局俺の思っているような不埒なことはなく、無事になつきの家に送り届け、なつきのお母さんには「下校中倒れてしまったので運んだ」とざっくり説明する。大山がイケメンだったからか、単純になつきのお母さんもゆるふわガールだったからか、「そうなの!ありがとね」と普通にお礼を言われてしまった。俺が言うのもなんだけど、多少は警戒心を持ってほしいです。


明日、なつきは学校に来るだろうか。

前世の記憶が戻ったことで、起きるかもしれない変化が少し怖かった。





「おはよう遠矢くん。昨日はごめんねえ」


まあ翌朝、普通に投稿してきたなつきは昨日の記憶が一切なく、相変わらずほわほわとしていたので脱力することになるのだが!










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