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遠矢くんとまた明日。  作者: ねいろ
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9話 同居人?二人目


あの後、保健室は元に戻り、先生もいつもの日野先生に戻っていた。乗っ取られていただけだったようで、その間の記憶はすっぽり抜けているようだった。


シューズは、現実世界に戻っても目を覚まさなかった。手の皮がボロボロに剝けていて、体力も底をつきかけているシューズを見て日野先生が卒倒しかけていたのは少し申し訳なかったな。事情は大山が説明していたが、上手く誤魔化してくれたのだろう。日野先生含め他の先生達からはとくに追及はなかった。どう誤魔化したんだあいつ……。

ともかく病院へ運ばれたシューズだが、しばらく入院が必要なのだそうだ。少し寂しくなるな、となつきに話しかける。なつきはいつものようにのほほんとして頷いた。


「シューズくん、大怪我したなんて心配だね。早く元気になってほしいな」


そして翌朝にはすっかり異空間バトルの記憶はなく、いつものおっとりゆるふわガールに戻っていたなつき。まあ、俺としてはこっちの方がしっくりくるからいいのだが、なつきの身体や脳とかは大丈夫なのだろうかと心配にもなったりする。




さて、シューズが入院して数日後。帰宅するとまた家の二階の窓ガラスが割れる音がした。嫌な予感に頭を抱える。


「うおらああ!!今度は誰だあ?!」

「私よ!わたしわたし!」

「わあ、かわいいうさぎのぬいぐるみ。じゃねえわ!お前、ペソーナか?!」


二階へ駆け上がり、勢いよく自室に飛び込んだら聞き覚えのある声が聞こえた。

飛び散ったガラスの真ん中で、ピンクのうさぎのぬいぐるみがぴょんぴょん飛び跳ねている。どうやら、オルター同様ペソーナも魂をぬいぐるみに宿して、何故か俺のところへやってきたらしい。いや窓ガラス壊すのはやめてほんとに!

うさぎのぬいぐるみのペソーナは跳ねながら俺の前までやってくるので、とりあえず屈んでやると、ぬいぐるみの手が俺の足にしがみついた。あのね、とペソーナは話し出す。


「私ね、魂だけで漂ってた時にずっと考えてたの。マリーナね、いつも私に謝るのよ。私を倒す時、いつも謝るの。私、どうしてマリーナが謝るのか知りたいのよ!」

「いや、それでなんで俺のところに来るんだよ」

「だって、遠矢はマリーナの大事だもの」


どういう意味だ、と首を傾げる。マリーナはなつきで、そのなつきの大事なものは、俺?そういえば、異空間バトルの時もそんなことを言っていたような。

いやいやまてまて。そんな都合の良い言葉は信じてはいけない。俺はちょろそうに見えてちょろくはないのだ。平常心平常心。


「だからね、遠矢なら答えを知ってるんじゃないかって思ったの。本当はマリーナのところに行きたかったけど、やっぱり遠矢のところに来たの。いつか、答えを教えて、遠矢」

「いや、俺は知らないって……えっ寝た?!寝てますかこの子?!」

「うむ、寝ているな」

「……同じ境遇同士なんだから、お前が面倒見ろよな」

「断るが?」


鞄にぶら下がったままのオルターの冷たい突っ込みに舌打ちしつつ、眠ってしまったぬいぐるみを抱えて、気が乗らないもののガラスを片付ける準備をする。

俺の部屋に、ピンクのうさぎちゃんが増えました。なんか、これからも増えていきそうで怖いのだが?!


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