表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法中年 3.5 外伝 月狼  作者: 宮上 想史
5/53

 そいつは下弦の月を背にしていた。

 ほっそりと背が高くて、風にさらりと長い髪がなびいている。

「おまえが最近、悪さをしている奴?別に恨みがあるわけじゃないけど仕事だから、死んでもらうよ」

声を発した人物が見下ろす先、木の影に体の半分を隠して獣がいた。

 毛は白く、月の光に美しく照らされた犬……ではなかった、狼だ。

 狼は犬歯をむき出しにして低い唸り声をだす。

「よっ」

 女は木から飛び降りて、そのまま狼に向かって走り出す。

 ボォッ。手が突然燃えだした、いや、その炎は手から離れて火の玉になりそれを女は投げつけた。

 炎の塊が幾つも狼に向かう。

 狼はそれを身を翻していとも簡単に避けた。木に塊がぶつかる。

 ダッ、そのまま疾走する。

「逃がすかァ!」

 どこからともなく、箒が飛んできて女を乗せて飛んだ。

 どちらも風のような速さだった。

 まわりが一瞬で過ぎ去っていく。

人氣の無い、山間部のバイパス道路。

「そこ!」

「キャン!」

 狼は熱さと痛みに足を噛みつかれて転んだ。

 後ろ足が焼け焦げ、動けなくなり、アスファルトにうずくまった。

「グルルルルルッ」

 唸りをあげる。

 狼から少し離れた場所、女は箒から降りた。

 右手を上に上げると、炎の欠片が寄り集まり、形を変えて細長い槍の形を成した。

「ごめんね」

ぼそりと独語が漏れた。

 槍が狼めがけて飛んでいく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ