3
ていた。
男の肝はひゅんっとなる。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ」
顔が空氣にぶつかりブルブルブルと波打つ。
パラシュートを背負っていない男はただ落ちていった。
地面がだんだんと近づいて、
ドン!
吐瀉物のようにドロドロになったものが散乱する。
つ、つ、つ、
ドロドロは集まって男の形になった。
「ハア、ハア、ハア」
「し、死んでいない……なんだ、これは」
男は立ち上がり回りを見る。
見える物は全て灰色になっていた。
白黒の世界。
男は自分の手を見ると、これまた灰色に見えることに氣がついた。
「いったいあの女は……」
ゾワリ。男はなにかの視線を感じた。
パッと振り向く。
だが、誰もいない。
「誰だ! 誰だ俺を見ている奴は!」
男のいる場所は、道が延々と続いていた。両側が川で河川敷になっている。
川の間にある高くなっている道。
果てしのない道。
少し遠くに黒い影のようなものがぐぐぐぐぐ、と寄り集まった。
「なんだあいつは……」
それはゆっくりと加速して走ってきた。
斧を振り上げて。
「うあああああああああああ!」
男は走った。