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ブレザーのスカートを風になびかせた二人が満月を背にして、ビルの屋上で箒を片手に立っていた。
綺麗な月夜だ。
夜風がヒュルリと通り過ぎる。
ロングでふわりと癖のある髪の毛とショートヘアーが揺れる。
「お仕置き確定ね」
「ふふ」
二人は会話しながら、箒に腰掛けてプカリと宙を浮いた。
ブウウウウウン。
原付バイクの赤いテールランプが尾を引いて伸びる。
運転している男は先ほど強盗を働き、女物のバッグを肩にかけていた。
カーブを曲がる。
その時、白いトンビがバサバサと目の前に飛んできて視界を遮った。
キキーッ!
ガシャン!
「夢の世界へ誘って(いざなつて)あげる」
「なんだ」
強い風の音がする。
男は飛行機に乗っていた。扉が開け放たれて、体は縄で縛られていた。
ドアの下に広がる大地の緑と白い雲が浮かんでいるのを上から見ているのはとても違和感があった。
「あなた何をしたのかわかっているわよね」
振り向くと後ろに、くせ毛で髪の長いブレザーを着た女がいた。
「なんのことだ?」
「あら、自覚なし?お月様が許しても私たちは許さないから」
「私たち?」
「それっ」
女は男の背中を蹴って飛行機から突き落とした。遠くなっていく女の顔は笑顔をたたえ