プロローグ 『 平等で、不平等で――それが姉弟の生きる世界 』
おまんたせしました! 結乃拓也のおニュー作品でございます!
Lvが全ての世界で、Lvが上がらない弟・アノンと弟が好きすぎるちょっとぶっ飛んだ人類最強の姉の物語を、是非お楽しみください。
――この物語を語る前に、諸君には【Lv】というこの世界にある概念を知ってもらいたい。
【Lv】とは、個の力を可視化した『強さ』の証明だ。
日常生活で、人は経験値を稼ぐ。勉学や遊びといった、子どものうちに経験するもので【Lv】は20~30程まで上がる。
そこから、この世界に巣食う人外なる獣――怪物を倒せば、経験値さらに多く与えられる。
そして、一定の水準を超えれば、経験値は個に更なる力を与える。それが成長だ。
己を研鑽し高みを目指す――それが【Lv】である。
そして、この世界では【Lv】による格差があり、それは大きく3つに分かれる。
Lv1~50までがいわゆる〝一般人〟とされ、ごく普通の平凡な生活を送る。
次に、Lv51~Lv84からは〝有才〟と呼ばれるようになる。有才となった者たちは潜在能力が飛躍的に上昇し、怪物退治や〝講師〟といった上級職に就くことが可能になる。
そして、有才のさらに上。Lv85になった者たちには、誰とも被ることない栄誉――『称号』が世界から与えられる。
『称号』こそがこの人類にとって最たる存在であり、またそこに至るのは一握りしかいない。
『称号』へと至るには、文字通り死に物狂いでレベルを上げるか、或は、天からそこに至る才能を与えられるか、その2択のみ。
この世界は、平等ではない。
平等ではないから、彼らは望む。
【Lv】を上げることなんかよりも、普通に穏やかに生きていければいいと望む者たち。
【Lv】など関係なく、ただこの退屈と飢えを凌げればいいと望む者たち。
【Lv】を上げて、ただ羨望する者の隣に立ちたいと願う者。
『称号』を得て、羨望よりもただ一人の愛する者の為に剣を振るう姉。
――そして、
命をくれた姉の為に、『死神』になることを決めた弟。
これは、とある世界の、最強の姉と最強の弟が【Lv】の概念を超えて戦う物語である。
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