仕事の内容
「さて!君が今日から働くという事と魔術について教えよう」
「おー!」
キユリさんはホワイトボードを出し俺用の机を用意してくれた。一般人の俺から魔術師の素養を見出し、命を救ってくれたキユリさんにここで働かないかと誘われた。今日から俺はここで魔術師として働くんだ。だけど魔術について何も知らないから教えてもらうことにした。
(今後の予定とか具体的には決まってないけど、それに生徒会長と鉢合わせたらまた殺されるかもしれない。その時までに魔術師として対抗出来るくらいにはしないと)
「さて、兼宙クン魔術師ってどんなものだと思う?」
「魔術師かぁ」
魔術師といえば漫画やアニメで見る手から火や水や土や風を生み出す若ものに浸透している典型的なパターンしか知らない。
「正直よく分からないですね……手から火をぶわーって出したり箒に乗って空をかける人達ですかね?」
「分からないことを分からないっていうのはいいこと。私達の世界では魔術師っての自分の体内にある小源や大気中にある大源を用いて地水火風から連なる属性の魔力で術式を行使する人達の事をいうの。」
ふむふむ。つまりアニメや漫画で見る典型的なあれと同じと考えていいな。
「なるほど。その魔術って俺も使えますかね」
「うーん」
キユリ先生は腕を組んで首をかしげ悩んでいる。
(え?俺魔術師の素養があるって事は俺も魔術が使えるって事じゃないの?)
「魔術師ってのは魔術を使うには人でいう血液を送り出すポンプの役割を持つ心臓的なものと血管、つまりコアと回路が必要なんだよ。そこに魔力を通して放出するんだ。兼宙クンそのコアと回路が眼にしかないんだよ」
「眼ですか」
目からビームとかしか出来ないってことかな?いや目ということは写〇眼みたいな事も出来るのかな?
「そう。眼を通してしか使えない。つまり魔眼なんだけど、それ行使しすぎると視力が低下するんだ」
「デメリット持ちでしか使えないという事なんですね」
「話が早くて助かる。兼宙クンは望月希香の魔術を防いだ時に#自動防御__オートガード__#をしてたけどその時眼が熱くなってたでしょ。その程度だと眼が熱くなるくらいで済むらしい」
他の生徒や教師達が眠らされた時自分だけ割と耐えてたけど俺も魔術を使ってたんだな。
「質問いいですか?」
「何かな?」
「生徒会長……望月希香が使った皆を眠らせた魔術は何ですか?」
「あれはね自分の魔力を込めた血をマイクに付けてマイクからスピーカーに通して催眠状態に陥させる魔術。『鮮血魔術』の応用の一つだよ」
キユリさんはそう言うと「まあこんなものか」と言いホワイトボードを裏返しにした。
「こっからは仕事の内容について話そう。ここは魔術師同士のやり取りの仲介役や魔術師の後処理を請け負う。主に前者が多いけどね。兼宙クンは私の助手として手伝って欲しい。」
「助手といっても何をしたら良いんですか?」
「その辺は私が指示をするから従うように。そしてこの仕事において約束して欲しい大事なこと3つ
1.この土地の管理者である望月家にバレてはならない
2.一般人には魔術の存在を秘匿すること
3.クライアントの事は詮索してはならない
この3つは守ってもらうよ」
「破った場合は?」
「死んでもらう」
即答でキユリさんから返事とともに明確な殺意が飛んできた。どうやらこの3つは死んでも守れということらしい。
「わ……分かりました」
そういうと殺意を解き柔和な笑みを浮かべた。
「じゃあ今から仕事に行くよ」
「へっ?」
「何って今から遺物をクライアントに運びに向かうよ!」
キユリさんは物凄い勢いで用意し俺の襟を掴み事務所を飛び出た。
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