目覚め
辺り一面氷の世界。冷えきった中俺は立っていた。ずっと前からここにいた気がするがどうも記憶が無いしやけに心臓が痛いくらいに激しく鼓動していたのが不思議に思うくらいだった。
ここはどこだ?
とりあえず前に進むことにした。その道中人の姿が見えた。現状何が起きてるか把握するためその人に聞くことにした。
すみません!ここはどこですか?
不躾であるが後ろから肩を叩いた。しかし全く反応しない、どころか妙に肩が冷たい。
「ここかい?ここはねあなたの墓場よ。カネヒロ君」
俺は心臓を貫かれた。
━━━━━━━━━━━━━━
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺は布団を蹴り飛ばしソファから転げ落ちた。しかし落ちた痛みより胸に穴が空いて無いか確かめ、ある事にほっとした。
「良かった…夢か……ここはどこだろう?」
「起きたのかい?少年」
声のする方へ見ると容姿端麗の白髪の若い女性がタバコを吸いながらこちらを見ていた。
「誰ですか!?」
「おはよう。#空乃兼宙__そらのかねひろ__#君。私はキユリとでも名乗ろうかそしてここはこの町における私の拠点だよ。君の疑問が晴れてくれたら何よりだ。水でも飲むかい?」
周りを見るとコンクリートが剥き出しの廃墟のようなビルであることが分かった。だが不思議と何かに守られてるような気がして安心出来た。
「貰いたいのも山々なのですが貰う前に一つ質問をしてもいいですか?」
「いいよ。なんだい?」
「キユリさん。俺はあなたに誘拐されたのですか?金が欲しいなら他を当たって下さい。俺の両親は既に他界してますから。」
見ず知らずの大人に子供である自分が知らない場所に連れてこられている。これを誘拐と言わずなんと言おうか。当然の帰結だった。
キユリさんはそんな俺を見るとハッハッハと笑い飛ばした。
「君もしかして忘れてるのかい?」
「何をです?」
「君は1度死んだんだよ。同級生の望月希香に心臓を撃ち抜かれ失血死したんだ。」
突拍子のない事に頭が一瞬フリーズした。初対面の人に俺は1度死んでいてしかも殺した犯人が同級生の望月希香だって?それこそありえない。あいつは確かに色んな揉め事に首を突っ込むが人を殺す度胸は無いはずだ。
「案の定信じてないって顔をしてるね、なら証拠を見せてあげようじゃないか」
そう言ってキユリさんは一着のポロシャツを俺に渡した。そのポロシャツは胸の穴を中心に血が大量に付いてた。そして右胸のポケットには「空乃」と丁寧に刺繍がされてあった。
感想ください