果てと公式チートと
直接脳に聞こえる声。しかし、疑問を持つ。
「スキル取るの...速くないか?」
確かに、そうである。たった一体倒しただけでもらえてたまるか、である。
「えっちょ、なんかスキル獲得しやすくするスキルって持ってたっけ?......あれ?もしかしてあれが関係してたり?」
どれだよ。
「あ、やっぱりあった。アサシン超適正と.....超器用?説明文カモーン!」
『アサシン超適正 暗殺系統スキルの獲得熟練度がかなり上がる。及び暗殺系統スキルの効果が上がる』
『超器用 ゲーム内での精密操作性が上がる。及び、技能系スキルの獲得熟練度が少し上がる』
「おぉ、ダブルコンボ。これはつおい。...しかし、倍率とかわかんないのかな?いいや、手に入ったスキルでも見よ」
『暗殺(狩) モンスターに気づかれにくくなる。及び獲得熟練度と素材の質が上がる』
「まぁまぁ、良スキルなのでは?」
しかし、彼は気付いていない。自分の基礎ステータスが低いすぎることを。これでは、所謂宝の持ち腐れである。はよ、廃人周回しろ!
「まぁ、これで周りを歩くことができるよね。今度こそ行きますか、マップの端に」
マップの端。オープンワールドゲームで絶対に何人かは、行こうとするところである。何もないはずなのだが惹かれるものがある。そんな所だ。
「街の反対側だから、こっちやな」
そうまた歩き出した。
それは、案外早くことが済んだ。理由としては、デモ版だからマップが小さめなのと、ただ彼が近くにスポーンしたからである。
「意外と近いのな。にしても、見えない壁過ぎるのでは?」
周りには、平原と所々に木がある程度である。さっきから、ずっといたゴブリンも居なくなっていて、寂しく感じる。
そんな所にいきなり通れないように道があるのだから一種の恐怖である。
「拍子抜けやんなぁ」
何かあるとでも思っていたのか?どうせマップの果てもただのマップの一部さして変わらない。逆に異常だったらそれはそれでいけないのである。
「うーん、なんか近くにないかな?」
そんなことあるわけもなく。
「?なに、あの階段?」
あんのかい!いや、あってたまるか。多分彼の見間違いであろう。
「なんかのダンジョン?お、結構本格派」
なんで?なんであるの?いや、たまたま形成されただけであろう、驚くことはない。
そこは、まさに地下迷宮の入り口と形容するのが一番分かりやすい。階段は、全て石。壁も天井も全て石。そして暗く少し臭い。
「うーむ、ライトとかあった方が良かったか?ま、いいや」
そのまま下に下る。あまり景色は変わらない。下がるだけである。しかし、20メートル下ったぐらいだろうか。少しすると光源が見えてきた。
「お、おぉ!ヤッホゥイ! ツルッ へぇ?」
「ゆべしっ!!」 ドンガラガッシャーン
美味しいよね。ゆべし。
そして目の前には、石の壁が......え?
「うわ、、幻想的」
.....なにこれ。それは、重力がなかった。床や壁、天井は見えなかった。しかし、白く淡い光がそれを照らす。それは、白い立方体であり、床についてなかった。ただ、空に浮くだけであった。その上には、何かの台座が一つあった。
「え、あれなに宝物?」
モイマムは、走り出す。からだは、おかしいほど軽かった。気がつけば立方体に立っていた。それでなお、走るのをやめない。
そして、台座についた。
洋風で白いものだ。そのうえには、懐中時計があった。
すぐに手に取る。急に、落ちる感覚に囚われた。それは、立方体自体が落ちているようだった。しかし、モイマムはこう感じ取った。
さっきまで時が止まっていたようだ.....と
目を開けるとそこは、さっきの平原果てであった。
「......なんか壮大な夢をみたような気がするんやけど.....いいや、町にいこ」
この右手には、懐中時計が収められていた。
ってか、異変に気づけ。