自覚と殺人と
何もない。
ほんとだよ
───人が寝静まる刻。
初めてそれを自覚した。
なにも変わりはない。自分は自分である。それは、一切変わっていない。だけど、自分ではないのだ。
「....思考がまとまらないな」
なにを、思ったのかステータスを開く。
名前の部分が欠如している。
だが、それはいい。すでに、勘づいてはいる事なのだから。
変化した点は、スキルが2つ増えている事だ。
まず、一つ目『常時狂化(低) 狂人とはいつでも少数派である。攻撃力、速度に上昇(中)。抵抗力が低下(中)。凶行を行うことが多くなる。』だった。
二つ目『ステータス分離/スキル移動 同一人物ではないのだから。表人格と裏人格のステータスを分離する。また、スキルの移動をすることができる。使用していない場合は、どちらも同一ステータスになる』
ほくそ笑む。
「いいじゃないか。とてもいい」
起伏のない声で、舞い上がる。
「なら、私の方に暗殺系統を貰おうか」
ステータス画面に指を滑らせる。
「霧魔術は共通しておこう」
その声はどうしようもないほど無色であった。
「あぁ、それにしても気分が良い。このまま、街に繰り出そうか」
暗闇だから、この表者はわからない。ただ、両の目が月の光を反射していたことだけだ。
先の見えない道を歩く。
(なんでこんな遅くまで遊んでいたんだろ)
そうわたしは、後悔する。
わたしは、この世界に入ってきた大学生の1人なんだ。正直、このゲームは普通に冒険するだけのものだと思っていたの。でも、このゲーム自由度がおかしいの。
だって、実際にわたしはゲームの中でさえ男からお金を稼ぐ水商売していたもの。だって、一番金が稼ぎ安いからね。
それは、そうとして今スラムにある家に帰る途中なのよ。酔い潰れた割には今日は月が出ているから帰りやすいの。
そう、思っていたんだけど霧がかかり始めてるのよね。少し怖いけど、立ち往生するよりもいいから走ってる。
....悪寒がした。いや、もっと何か嫌ものだ。
「え?」
私は、感知系のスキルを持っていない。持ってるとしたら、弱めの魅了程度だ。なのに、恐ろしくて動けない。
「こんばんは、お嬢さん」
目の前からつかつかと歩いてきたのは、優男だった。
でも、冗談よね。彼はその片手に刃物を持っているのだもの。
「え、、いや、イヤ!」
「はぁ、私がやるのは今回が初めてなので静かにしてくれませんか?」
淡々と男は言う。
そして、そのまま刃物を私の首元に...
「初めてなので少し荒いですが許してくださいね」
鮮血が体に付着した。
とても赤く紅く朱かった。
「あぁ、少しだけ大きく切りすぎましたかね?」
機械音声のようだった。
「まぁ、結局はバラしますからいいですが時間足りますかね?」
ただの作業のようにそう遺した。
「あ、名前って必要かな?」
結局は人殺しである。
今日は、、引っ張るのめんどくさいからいいや。




