工房と嗜好品と
特になし。
視界が切り替わる。
場面転換もなく、エフェクトもない。正直サボったようにしか思えない。
ただし、それは二の次である。目の前にある真新しい調薬所があった。しかも、近代的な。
「....今思えばどうやってこんなに稼いだんやろ」
......察するなよ。
兎にも角にもほとんど出費なしにこの工房の器材を使えるのだからこちらに徳がある。
すぐに、近くの長机に自分の買ったものを無造作に広げる。その中から薬品的なものに関する本を開く。目次を最初に興味を持つものを探し出す。一番最初に目についたのは合法嗜好薬品と書いてある物である。
そう、あれである。あの英国と清との戦争の引き金というか火薬というかのそこら辺になった物の総称である。
因みに、名前はカシランミャラワン。
「えぇ。いいのか。いいのか。なんかスッゲェ気になるんだが」
それの詳細には、それに必要な素材の種類や作り方がさも当然のように記載されている。
「これ誰が作るんだよ。で、素材が薬草カモミリアンと獣類の内臓。あとは、市販の薬品。作りやすくないか!.....まって、俺でも作れるわ」
その作るための素材や器材が珍しい事に手元にある。
「....好奇心には勝てないよね。仕方ないネ!」
作るものが決まったらそこからは早い。
カシランミャラワンの作り方。
1.材料、獣の内臓 カモミリアン 白接粉 混赤木のカケラ
2.はじめに、内臓をカモミリアンと混赤木を粉々するように混ぜて.....
3.ちくしょう!だいなしにしやがった!お前はいつもそうだ。
4.このカシランミャラワンはお前の人生そのものだ。お前はいつも失敗ばかりだ。
5.お前はいろんなことに手を付けるが、ひとつだってやり遂げられない。
6.誰もお前を愛さない。
....なんて事は無く無事にやり遂げられました。
出来た物は、なんの変哲が薄茶色だった。別に特異なものは何も無いのだ。臭いも少なく本当にただの粉なのだ。
「で、これをキセルに使って煙を吸うと」
右手に取り出したものは、木製の安そうなキセルであった。
「ま、吸わんのだかなぁ!!」
全力でキセルを投げたっー!
「ふ、直に吸うと本当に体に悪いから熱するだけにしてやるぜ!感謝しろ!」
いつの間にか出した三脚台のものと鉄製の皿を出していた。
また、アルコールランプもいっしょに見つけてきたらしい。
なんでも揃いすぎやろ。
「じゃ、もやしますか。着火!」
理科の実験みたいな事になりかけているが多分大丈夫だ。
一瞬もしないうちに煙が上がりはじめた。熱さえもほとんど伝わっていないのに不思議なものである。
「...煙の速度早くないか?うぅむ。まぁ、嗅ぎませう....くっせぇ!」
叫び声と共に、物が派手に地面と当たる音が部屋全体に響いた。部屋が木製じゃないから幸いだったものの下手すれば部屋全体が燃えていた。ただし、煙はすぐに消えた。本当に不可思議な物である。
「ガッ...ぁ、ぁ。息が....できねぇ。本当..なんだ...よ...これ」
床に転げ回って息を荒立てる。
しばらくは、立ち上がれなさそうだ。
「..絶対に.....わすれ...られないな....この激臭...」
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((( ・ω・)三ω・)) オウオウ!やんのか?
(_っっ= _っっ゜ シュッ!シュッ!
ヽ ノ
( / ̄∪