裸の王様
今、僕は馬車に揺られている。
きっとこの心臓の鼓動は、馬車の揺れによる錯覚だろう……
断じて、かわいいサキュバスの少女を膝に乗せているからではない……
断じて僕はロリコンじゃない……
断じて……
信じてくれよう……。
「あー、タナカ見えてきたよ!!」
僕たちはなんやかんやとアクシデントはあったが、無事進化を終えた。
今の僕たちなら例の場所も無事踏破できるだろう。
ただ、安全にこしたことはない。
僕は石橋を叩いて渡るタイプなのだ。
ということで、装備を新調しようと新しい街に向かっている。
リリアの服なんかも欲しいしな。
****************
ここは芸術と鍛冶の街『サブカルチャー』
序盤で装備をそろえるならここが一番いいと言われていたホットスポットだ。
僕の中の世界で1度は訪れたい街ベスト5にも入っている。夢がかなったな。
草原で結構な魔石が魔物からとれたからちょっと高級な宿をとった。
もう一度言うけど、断じてリリアにいいところを見せようとかそういうやましい考えはない。
断じてだ!
……靴舐めるんで信じてください。
「リリア。この町は亜人も多い。リリアが普通に買い物をする分には目立たないだろう。僕は少し行きたいところがあるから一旦別行動だ。」
「わかったよ。浮気しちゃだめだよ……?」
頬に口づけされた。ちくしょうかわいいぜこの野郎……
ついお小遣いを多くあげてしまった……。
別行動にしたのには理由がある。
この町の武器屋は少しいかがわしい場所にある。大人のお店なんかが並ぶあれだな。
所謂、歓楽街ってやつだ。
断じてリリアに不潔な男と思われたくなかったとかそういうことではない…
断じて!!
もうこのネタはいいか……。
カランカランーー
僕は武器屋の扉を開ける
ん?店に誰もいないようだ……
ーー!!
こ、これは!
こんな序盤でこんな武器があるとは…
『死者の剣』
この剣はアンデットやゾンビ種が装備すると腐食ダメージが追加で発生する中級者御用達装備だ。
是非とも欲しい……
「値段いくらだろうなー」
!!100万エーンだと……
こいつの価格は化け物か!?
……
……。
……今、店にいるのは僕だけだ……ふむ……。
称号リスト
ロリコン:犯罪のにおいがする……犯罪成功率+20%
ロリコン中級者:匂う…匂うぞ!貴様は既に犯罪者だ! 犯罪成功率+50%
ロリコン(真性):何も言うな……わかってる……。犯罪成功率+100%
………………………犯るか。
僕は素早く『死者の剣』を懐にしまい、出口へ向かう。
借りるだけ……、借りるだけさ。
「待ちな兄ちゃん!」
振り返るとそこには青い髪の女が立っていた。
「いい度胸してるじゃねーか、ちょっと裏こいよ……楽しいことしようぜ?」
これ絶対楽しくない奴だ!
ーー
「おい、見ろよあいつなんて堂々としてやがる……」
ざわざわ
「あいつこそ真の漢だな…!」
ざわざわ
中央通りを素っ裸で歩く漢がそこにいた……
ちくしょう……身ぐるみ剥がされた。
ふと顔をあげると見慣れた少女と目が合う
「リリア!服を買いたいんだ!お金を貸してくれ!!」
他人のフリをされた……。