じゃあスズキで……。
「ほらよッ」
ミーナから黒い物体を投げ渡された。
『不死王の杭』だ。
「いいんですかッ!?」
てっきり働くだけ働かされて返してくれないかと思ってた……
「売ろうにも、売れねーだろそんな気色悪いモン!」
『不死王の杭』は王冠を被った髑髏が杭を抱きしめているような感じのデザインだ。
……かっこよくない?タナカ的にはグッと来るんだが……
「ところでよぉ、なんでそんな気色悪いモンがそんな大切なんだ?趣味わりーぞ」
小娘にはまだわからんか……この斬新なデザインを
……!そうだいいこと思いついた。デモンストレーションしてやろう。
百聞は一見にしかずっていうしね。
僕はゴブリン王の死体に『不死王の杭』をブッ刺す。
こいつ結構強かったし中々いい下僕になりそうだ。
Bigなゾンビにキングな下僕……実に素晴らしい。
「……ヌシラ…ンヌ?…ワレハタシカシンダハズデハ…?」
「タナカが生き返らせたんだよ!」
「まあ、ゾンビ化しちゃってますけどね。それと今日から僕の下僕です」
どや顔で言ってみた。
「カマワヌ……ワレハハイボクシタ……ハイシャハショウシャニシタガウ……。」
こいつニヤニヤしまっくてたくせに実は武人キャラかよ(笑)
「ハイボクシャデアルワレガ……ヌシヲサシオイテオウトハナノレヌ……ナヲショモウス」
名前欲しいのかうーん……
「じゃあスズキで……」
「カンシャスル……」
すがすがしい笑顔でスズキは笑った。胸が痛い……
「シュジンヨ……ワレタカラアル……モッテイケ……」
え?マジ?くれんの?
そういうとスズキは最奥の隠し部屋へ案内してくれた。
「すっごーい!キンキラだぁ!」
「こりゃあスゲーな、ちょっとした城ぐらいなら買えんじゃねーか?」
隠し部屋に入ると、部屋いっぱいに金貨や金でできた王冠、銀の十字架、エメラルドの指輪、ヒスイの宝石……etc…数えきれない程の宝物があった。
やったぜ!早くもBigなゾンビになっちまった!
「んじゃ、私の取り分は9割な」
そりゃーないぜ姉さん!!
「ダメだよ!タナカは貧乏なんだからもっと分けてよ!」
胸が痛いぜリリアさん……
「冗談だ。3人で仲良く均等だ。」
ミーナ:リリア:タナカ=4.5:4.5:1で割られた……おかしくね?割り算って知ってる?
ーー
「野郎共!打ち上げだああ!!」
街へ着くとミーナに酒場に連れたいかれた。
リリアも打ッち上げ、打ッち上げと楽しんでいる…
「おーい、しけた顔すんなよ!スズキに勝てたのはお前がいたからってのもあるんだぜ!?金のことなら心配すんな!好きなだけ飲め!」
さっすが姉さん!男前だ!
会計は僕だった……
ミーナに慈悲はなかった……。