土下座で済むなら冒険者はいらないよ
僕は今全力で土下座をしている。
生前、学生時代誤って女子更衣室に入ってしまった時にも土下座をした。
その時にこう言われた。
「土下座で済むなら警察はいらないよ!」
まさにその通りだ……
その日から1週間程、僕の給食のスープには毎日蝉の抜け殻が入れられていた……
今なら喜んで食べるさ
そして今ゾンビとしてこの世に生を受けた僕はこう言われた
「土下座で済むなら冒険者はいらないよ!!」
ーー
「身ぐるみ剥がされたんです」
あれから僕はリリアに何故全裸だったのかを全力で説明した。
決して僕の趣味ではないと
断じて!!……
苦労の甲斐あって、リリアも渋々わかってくれたが……
ただ問題はその先にある。
そう。『不死王の杭』がない。
ほとんどのアイテムはストレージに入れておいたため守られた
でも、運悪く『不死王の杭』は腰にぶら下げていたのだ!
いつレアエネミーが出てもブッ刺せるように……
「謝って返してもらおうよ……早くしないと売られちゃうよ?」
その通りだジーザス
だがしかし、奴は獣だった。あの青髪の女だ……不動明王だってもう少し優しい……
だが僕は意を決した。
漢。そう僕は漢なのだ。
漢ゾンビタナカだ。
断じて、リリアに「私も一緒に謝ってあげるから」って言われたからじゃあ……ない……。
夜の繁華街を抜けてこじんまりした武器屋に入る。
そして今に至るわけだ!
「お願いします!あれがないと僕死んじゃうんです!ゾンビですけど」
顔面に蹴りが入る。
僕の左目が飛んでいった。
リリアありがとう君はいい子だ。僕の左目はポケットにしまって保護しておいてくれたまえ
「まあまあ、ミーナ。もうよいではないか。こんなに謝っているのじゃし」
「店長は黙ってて!!」
店長は少し考えるとこういった
「では、こうしないかい?町はずれの洞窟に王族ゴブリン(ゴブリン・ロード)が出たんじゃろ?
確か、討伐を指名依頼されとったよな?」
不動明ッ…ミーナと呼ばれた女は顎をしゃくる
「お主冒険者嫌いじゃから、パーティを組みたくないと断っておったな。じゃが気にはなっておるんじゃろ。この町でお主より強い冒険者はいないものな…」
「見たところ、この二人は旅の御仁じゃろ?それなりに戦闘経験もあるはずじゃ。この二人に無料で手伝ってもらってはどうじゃ?成功報酬で御仁の身ぐるみを返す……どうじゃ?」
さすが店長!話がわかる!ちょっとにやついたら蹴りが飛んできた。僕の右目ッ!
「……まあ、それでいいだろう。わかってんなゾンビ!へましやがったら報酬はなしだ!!」
ヒイィッ!わかりました。
リリアはやれやれって顔をしてる。
「じゃあもう今日は帰んな。明日朝一で出発だ!しっかり体休めとけよ!」
……ツンデレ屋さんかな??