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3.最強決定戦当日



 本日も、よく晴れ!

 雲1つ無い晴天に、景気よくラッパの音が響いてなんだかとってもおめでたい。

 そんな感じに、始まりました。

 王国最強決定戦――!!

 

 あ、ちなみにメイちゃんは参加しないよ?

 今日はあくまでパパの応援、なんだからねっ?


 本当はみんなで……幼馴染の2人とか、ヴェニ君とかと応援に来たかった。

 でもなんかみんな、都合悪かったみたい。

 ミヒャルトはなんか親戚との付き合いがあるとか、スペードはその付き添いとか何とか。

 色々あって、残念なことに今日はメイちゃん1人での応援です。

 ……まあ、気兼ねしなくって良いと思えばいいのかな?

 みんなが一緒にいて、それでパパが呆気なく敗退とかしちゃったら気まずいもんね!


 観客席から見下ろす、試合場。

 始まる開会式に、整列する参加者の皆さん。総勢16名。

 王国各地から出身地の看板背負って参加するってだけあって、なんだかすっごく強そうな人ばっかり!

 そんな中でうちのパパがどこまで勝ち進めたものかわかったものじゃないけど……ここは愛娘として、普段から重苦しい程愛されてる分、精一杯応援しとく場面だよね!

 パパ! 貴方のお嬢さんは、例え父親が無様に泥をつけることになったって応援し続けるからねー……! 例え負けちゃっても、格好良さで言えばパパがこの場で1番なんだから!

 パパもすっっっっっごく強いのは重々承知しているんだけど、王国1番かといわれると断言できるだけの自信はない。

 ……猛者が集う、だけあって、ね?

 参加者の皆さん……分厚い筋肉が暑苦しい外見からしてタフガイって感じが多いんだよーぅ?

 そんな中で比較的スリムなパパは、なんというか……悪目立ち?

 いやいや悪くはないよ? 見栄え的な意味では客観的に見てパパが1等賞だよ!

 馬獣人の種族特性的に、筋肉つけても細マッチョにしかならないってことも知ってるけど。

 だけどね、なんというかねー……周りが強そうなオッサンばっかりだから……なんか周囲の比較対象がマッチョ率高すぎて、頼りないというかぶっちゃけ弱そうに見えるというか。

 いやいや大丈夫! 数は少ないけど、パパと同じくらいスリムなオッサンも他に何人かいるし!

 ……マッチョの数がそれより圧倒的に多いけど。

 パパの隣に立ってるオッサンの腕なんて、パパの腰より太い気がするけど。

 なんか、うちのパパ、片手で薙ぎ払われそう。

 実際には獣人としての特性があるから、マッチョかどうかなんて種族的有利不利の前にはあまり関係ないんだけど、ね?

 これがイケメンコンテスト美中年の部とかならパパの圧勝間違いなしなのに。

 パパ、1回戦で敗退とかしちゃわないかなぁ。

 愛娘としては、せめて3回戦くらいまで頑張っていただきたいところ。


「パパ! がんばってぇー!!」

「お嬢さん、ちょっとよろしいですか?」

「め?」


 パパーパパーって声を上げてたら、会場スタッフの人に声をかけられた。

 え、なんで?



 メイちゃんは座席移動することになりました。

 なんか試合参加者のお身内の方は、座席が別に取ってあるんだって。親族席だね!

 他の観客が気兼ねしないで良いよう、一般のお客さんと区分けしたみたい。

 一般席より試合がよく見えそうだから、私に否やはないかな!

 勿論、娘ですって言って簡単に入れるような席だったら区分けする意味ないし、確認は必要みたいだけど……私に声をかけてくれたスタッフの人が、いいひとで。

 本当に身内なのか確認もかねて、試合前の選手控室に激励に行きましょうか、なんて誘ってくれて。

 当然、それにも文句はないよ!

 そんな訳で、足を運んだ選手控室。


「おお、バロメッツじゃねえか」

「ギャルド? 久しいな、お前も来てたのか」

「まあな。こうやって直接顔を合わせるの20年ぶりくらいか? やっぱお前は本選出場してるとは思ってたけどよ。流石は反乱鎮圧の英雄様ってな」

「古い話を持ち出すのは止めてくれ。それに英雄なんて祭り上げられてはいるが、あの時だってそう大したことをした訳じゃないだろう。ただ極端に若かったから象徴として祭り上げられただけだ。お前だって代表に選ばれたみたいじゃないか」

「俺の仕官している領はあまり骨のある奴がいねえからなぁ。俺みたいなオッサンが代表に選ばれちまった。もっと若い奴らには奮闘してほしかったんだけどなあ。俺、今年でもう50だぜ?」

「骨のあるなしは関わりないだろう。歴戦の猛者を相手に、お前に普段から鍛えられている連中が奮闘しない筈がない。それでも敵わなかったんなら、やっぱりお前が強かっただけだ」

「……おお、時が経つのは早いな。あのバロメッツがこんな風に物を言うようになるたあ。やっぱあれか? お前、風の噂じゃマリーちゃんと結婚したんだってな? 結婚がお前を丸くしたってのか?」

「なんだ……? その興味津々の態は……」

「いやいや、さぞかし多くの野郎共が泣いたんだろうな! 結婚式に呼んでくれなかったから知らねえけどな! マリーちゃん、可愛かったもんな!」

「なんだ、呼ばなかったことを根に持ってるのか……あの頃、武者修行だとかなんだとかいって放浪していたのはギャルドじゃないか。所在の知れない相手をどうやって呼ぶんだ」

「嫌味な奴だよなあ、お前……見栄えが良いし実力も実績もある、その上に可愛い嫁さん貰ったとかモテない野郎共に呪われても文句言えねえぜ。呪い(物理)とかあったんじゃね?」

「闇討ちする相手を見極められないような馬鹿は、根性を叩き直しておいた。長期計画で」

「じっくり長くいたぶられたのか……」

「実行したのは副官だ。性根が歪んでいるから闇討ちなんぞするんだt……」


「パパー! シュガーソルト・バロメッツさんはここにいますかー!」


 やって来てみたら、なんかお話し中だったみたいです。

 そんなこと気付かず、ドアを開いた瞬間に叫んじゃった!

 会話ぶった斬っちゃったよ!

 一瞬、太い筋肉の塊みたいなオジサンの姿に、パパが絡まれてる!?って思っちゃったけど。

 でもよくよく見てみたら、なんか親し気。

 パパ、そのひとお知り合い……?


「め、メイちゃんっ?」

「お? おお……? なんだあのマリーちゃん激似の娘っ子。って考えるまでもなくお前の娘かバロメッツ!?」

「はは、良いだろう。妻によく似た娘が2人に父親似の息子も……ってそれよりメイちゃん!」


 パパは選手控室の入り口前で固まる私のところに、猛ダッシュで駆け寄って来ました。

 流石は馬獣人、やっぱり足がはやいはやい。


「メイちゃん、どうして王都(ここ)に!?」

「パパ! パパの応援だよー! がんばって♪」

「パパ頑張るよ、メイちゃん! って、それよりママはこの事を知っているんだろうね!?」

「大丈夫! ちゃんと行って良いよって許可貰ってるよ。私、どうしてもパパの雄姿を応援したかったの! 試合中は特等席……親族席でちゃんと応援するからね。がんばってね、パパ」

「メイちゃん……王都までは危険もあっただろうに」

「いや、言う程危険じゃないからね? パパも知ってる……っていうか移動手段同じの使ってるよね? 交易船に便乗させてもらえば割と近いところまで安全安心快適な旅がお約束されてるからね?」

「王都までの遠出なんてまだメイちゃんには危ないだろう? メイちゃんはまだ15歳なんだから」

「パパったら過保護さん!」

「魔物が横行している昨今、決して()保護じゃありません!」

「そこまで心配しなくっても、1人で来たって訳じゃないし大丈夫なのにー」

「……1人じゃないって、誰と来たんだい。メイちゃん」

「ヴェニ君とミヒャルトとスペードと」

「ますます心配だからね、メイちゃん!?」

「1人で来たわけじゃないし連れは手練れぞろいなのになんで!?」

「それがわからない内は、やっぱりメイちゃんに遠出はまだまだ危なすぎる……!」

「きゃっパパー! ぐいぐい抱き締めないでぇ」


 心配が極限までいっちゃうのも、感極まったって表現して良いのかなぁ?

 何かが極まっちゃったらしいパパが、心配だって言いながら私をぐいぐい抱き締めて来る。

 ぐぅっ 絞まってる! 絞まってるよパパ!

 さっきまで和気藹々とお話していたパパのお友達さんも呆れちゃってるよぅ!?


「なんて見事な親馬鹿なんだ……あのバロメッツが」


 ……呆れてるって言うか、なんか一周回って感心されてた。

 パパ、メイちゃんといる時と普段と、いったいどれだけ違うの……?


 疑問を残しつつも、試合の始まる時間になりました。

 いつまでも控室に居座る気もなかったし。

 身内用の応援席は、ぎっちぎち満員の一般席と違って席に余裕があった。

 お陰様でメイちゃんも余裕をもって座ることが出来ます。

 なんとなく年齢や性別が大きく違う人の隣は気まずい……。

 きょろりと見回すと、中々いいお席を発見!

 お隣は、私より幾分か年上の若いお姉さん2人組。よし、あそこに座ろう!

  

 この王国最強決定戦に参加する人数は、各地の代表16名。

 試合は4回戦まで。4回勝てば優勝だね。

 試合が行われるのはコロッセオみたいな円形闘技場。

 元々王都の端っこに昔っからある施設らしいんだけど、いつからあるのかは誰も知らないんだって。耐用年数的に大丈夫なのかな、この建築物。

 外から見てみても大きな建物だけど、中に入っても驚く広さ。

 今日は試合場を2つ区切りにして、同時に2試合ずつ行っていく予定らしい。

 まだ始まる直前だけど、パパはどうやら第1回戦から出番みたい。

 私は早速声を張り上げた。


「パパー! がんばれー!」

「父上ー! お勝ちになってー!」

「め?」

「あら?」

 

 叫んだ瞬間、お隣に座っていたお姉さんと声がモロに被った!

 まさかパパの隠し子ってことはないだろうから、試合に臨む他の3人の誰かのお嬢さん?

 驚いて隣を見た私を、お姉さんもびっくり眼で見返してくる。

 ……うん、どっからどう見ても良いとこのお嬢さんです。

 もしかしたら貴族かもしれない。

 今まで試合前の空気にそわそわして良く見てなかったんだけど、すっごく綺麗で優しそうな、洗練されたレディがメイの隣にいましたよ。

 ドレスに限りなく近しいワンピースは黄色とライトブラウンの落ち着いた色合い。

 さらさらの金髪には、細い白絹のリボン。

 フリルとリボン満載な日傘を手に、私に優雅に会釈をくれる。

 なんとなくにこっと笑いあって、互いの応援する相手を指差して教え合った。

 

「私のおとうさんは……あれ、あの黒髪の」

「まあ、お隣の試合ですわね。わたくしの父はあちらの金褐色の髪をした」

「お互い、応援がんばりましょうね」

「ええ。貴女のお父様にもご武運がありますように」


 ……隣同士の席に座って、互いに父親の応援で。

 初っ端から試合、被らなくって良かったー!

 これで互いの父同士が第1回戦で戦うとかなったら、気まずくなるところだよ。

 そわそわしながら教え合ったところ、お姉さん……マーガレッテさんのおとうさんは、なんとこの国の近衛騎士団長さんなんだそうな!

 ………………うん、近衛騎士団長。

 ああ、あれが……そんな思いで、近衛騎士団長を改めて眺めちゃったよ。

 目が遠くなるのはご愛嬌、って思ってほしいの。

 ついつい思わず、思い出しちゃうんだよ。

 そう……『アメジスト・セージ商会』最大の売れ筋商品『カードゲーム』の…………自分をカード化してくれないか、なんていうぶっとんだご依頼出してくれちゃった、どこぞの近衛騎士団長様に関する逸話(アレコレ)を。そうそう、あの人のご依頼を皮切りに、国のお偉いさん方から次々と「自分をカードにしてくれ」っていう謎の希望が殺到してきたんですよね。まさに近衛騎士団長さんが発端でした。

 うん、あそこにいるの。

 限りなく本人だよね。

 代替わりしたとも聞かないし、確実に本人です。

 カードの図案化の参考にしてくれって、手紙に同封されていた肖像画めちゃくちゃそのままだし。

 そっか、あの人かー……王国最強の候補16人に選ばれるくらい、強かったんだね。

 そりゃ強いよね、近衛騎士団長様だもんね。

 だけどカード商品化の裏事情を知る身としては、なんだろうこの湧き上がってくる微妙な気持ち。


「……何はともあれ、お互いに1回戦突破できると良いよね!」

「ええ、そうですわね」


 目の前のお姉さんは、私よりどう見ても年上。

 こんな大きなお子さんがいる年だったんだね、近衛騎士団長さん。

 私はお姉さんとにっこり微笑み合って、試合へと視線を戻し直す。

 さてさて、メイちゃんのパパはどこまで進めr――


 『――1回戦第1試合、Bブロック勝者は青コーナー! アルジェント伯爵領代表!

  シュガーソルト・バロメッツぅぅうううう!! 相手は瞬殺だー!』


 ”わぁぁあああああ!!” ←歓声



 『――2回戦第1試合、Bブロック勝者は青コーナー! アルジェント伯爵領のバロメッツだ!! またしても相手は蹴りの一撃で瞬殺即KO!』


 ”わぁぁああああああ!!” ←歓声



 『――3回戦、第1試合! Bブロックの勝者は青コーナー……アルジェント伯爵領のバロメッツさんです!! またまた今回も瞬殺ですねー!?』


 ”わぁぁああああああああああ!!” ←歓声


 

 ――パパ、(つえ)ぇ!

 いや、強いのは知ってたよ!?

 知ってたけど……まさか、王国各地から選出された名のある猛者共が瞬殺だなんて!?

 その手に握った試合用の模造槍の存在意義は!?

 全部、武器を使うまでもないって感じで蹴りの一撃だったんだけど!

 次、決勝だよ!? 最終決戦だよ!?

 え、パパ本当の意味での最強決定戦に出ちゃうの!?

 アレに勝ったらパパ最強なの!? でもちょっと待って!?

 あの試合に勝っちゃったら……王国最強になっちゃったら。

 パパ、『ゲーム』にモブとして出演してたってことに……駄目だ。深く考えるのは止めよう。

 今そこのところ考えだしたら思考の迷路にはまるから。

 それよりも目先の……うん、そう、最後の試合なんだよ。

 ちゃんとしっかり、見守らないと。

 ええ、と……最後の試合のお相手は。


 あんたか、近衛騎士団長。


 私はちょっと眉尻を下げて、お隣の席のお姉さん……近衛騎士団長のお嬢さんを見やった。

 マーガレッテお嬢様は、ほうっと溜息を吐いて胸を押さえている。


「驚いたわ。貴女のお父様、とてもお強いのね」

「娘の私自身が驚いてるんだけどね……」

「彼女のお父君は、『反乱鎮圧の英雄シュガーソルト・バロメッツ』でしょう。強いのも納得よ」

「め?」


 そういえば、お姉さんは2人連れで。

 今までマーガレッテさんの日傘の影になって顔までは見えていなかったんだけど……

 マーガレッテさんの私とは反対隣りに座ったお姉さんが、首を傾けて私とマーガレッテさんの会話に入り込んでくる。感嘆の色を乗せた声音には、パパへの称賛が感じ取れた。

 でも、そんなことより。

 私にとっては、目に入ったお姉さんのお顔の方が衝撃だった。


「み、ミヒャルト……?」


 いや、そのママさんの方が近い?

 目に飛び込んできた見知らぬお姉さんのお顔は、昔からよく知っている猫獣人親子によく似ていた。そりゃもう、血の繋がりを確信する勢いで。

 髪型や髪質で印象が違うけど、顔のつくりはまんま同じだ。

 もしかして……ミヒャルトの親戚が、王都(こっち)にいるっていうし。

 本当に血縁なんじゃ……?

 

「貴女は、ミヒャルトを知って……?」

「幼馴染ですよー。おうちが近くなの。その、おねえさんは?」

「私は…………文字通り、姉、よ」

「ミヒャルトのお姉さん!?」

 

 え、ミヒャルトお姉さんいたの……って、そういえばいたね!?

 話には聞いたことがありました。一度も会ったことないけれど。

 ミヒャルトには、騎士を目指して遠方で修行中のお姉さんがいるって。

 え、このお姉さんがそうなの?

 なんかもう、色々……今日は試合以外の部分で驚きの連続です。


「まあ、ミレニア? 貴女、弟君がいたの?」

「え、ええ。とはいっても、私は王都で修行する身。弟妹とは全然会っていなかったので、自分が姉だという実感はあまりないのだけれど」

「そういえばスコグカッテル家に男子がいるという話も聞きませんものね。あら、では弟君は遠方に?」

「両親とともに、アルジェント伯爵領の領都アカペラに住んでいるはず。まあ、何を思ってか、いま王都に来ているんですけど」

 

 実の姉弟、なのに弟のことを話すミレニアお姉さんのお顔はとっても微妙な感じ。

 なんだか凄くわだかまりの気配がするよ!

 私は弟や妹って、すっごく可愛いと思うんだけどな。

 それって、私がずっと弟妹と一緒に暮らしていたからかな。

 まあ……ミヒャルトって、凄く癖があるし。いっそ曲者だし。

 普段一緒に暮らしていないのなら、いきなり遭遇した弟に戸惑う気持ちはわからなくもないけど。

 本当は今日、ミレニアお姉さんはミヒャルトと一緒に親戚の子と親睦を図る予定だったらしいんだけど……ミヒャルトと一緒にいると間が持たないし、今更どんな顔でお姉さん面すれば良いのかわからなくなって混乱して、どうしたら良いのかわからなくなって。

 また今日顔を合わせる予定の親戚というのも小さな男の子らしく、疎遠な実弟の目の前で親戚とはいえ他所の子相手にお姉さんぶるのかと思うと居た堪れなくなり。

 結果、親戚との親睦をすっぽかしてここにいるらしい。

 特に出場者の身内って訳じゃないけど、お友達のマーガレッテお姉さんの付き添いとして潜り込むことに成功したそうな。おっとりお嬢様育ちのマーガレッテお姉さんの護衛って名目もあったらしいしね。

 家の数だけ家族のカタチってあるらしいけど。

 ミヒャルトのお宅もいろいろあるんだなぁ。


 なんだか色々と気が逸れましたが。

 やがて試合は開始時間を迎え……遂に、決勝が始まろうとしています。

 (メイちゃんの)パパvs.(マーガレッテさんの)父上の戦い……!

 どんな戦いが始まるのか、予想もつきません。

 だって近衛騎士団長の試合、全部パパの試合時間と丸被りしてたんだものー!

 パパ、相手はきっとたぶん強敵だよ。がんばって!





 ――と、この時の私は。

 王国最強の野郎決定戦が問題なく始まると、信じ切っていた。


 だけど。


 そうはいかなかったって、はなし。






「ま……っまものの襲撃だぁぁぁあああああああっ!!」


「なんだってぇぇえええええ!?」


 いや、本当に「なんだって」だよ。

 なんでこんな時に!? 試合に超水差されたよ!

 いましもパパたち戦うところだったのに!


 いきなり勃発した想定外の王都襲撃イベントが、私達を待っていた。


  




アバン・ギャルド(49)

 パパの旧友。

 かつて王国で大規模な反乱が起きた際、鎮圧部隊でご一緒した仲らしい。

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