【ゲーム本編】第1章概要
ゲーム本編第1章のあらすじです。
これからメイちゃん達がどれだけ話の筋を斜めにズレさせていくのか……
ズレる前提なので、先に本来は如何だったのかをここに書いています。
ネタバレが嫌な人は読まない方が良いかもしれません。
このゲームは、終末回避の物語。
――この世に滅びの時が迫り来る。
神々の戦から1,111年、偽りの神は地上の何もかもを巻き込んで終わりへと導く。
運命に抗うことが出来るのは、唯一人。
その若者は再生の使徒。神の加護を受け、邪悪に立ち向かう。
古き神は再生を果たし、新しい神が目覚める。
若者は神の祝福を受け、新たに世を輝かせる救い主となるだろう。
滅亡を予言された世界。
それを回避する為の鍵だと予言された『救世主』が旅をする。
そんな、よくある物語――。
破滅を予言された年が訪れ、人々は不安にさいなまれていた。
国王は人々の不安を払うため、そして予言された救世主がいるのであればとお触れを出した。
我こそは救世主だと自負する者は、王都に集まるべしと。
真実そうだと認められた者に、国王は出来る限りの支援をすると宣言した。
支援金と武器防具の提供、頼りになる旅の仲間として王国最強の戦士をつけること。
王国と友好関係にある国々への紹介状と、移動手段の用意。
それから出入りに審査を必要とする、出入国を管理する関所の通行手形を。
どれも救世の旅には大いに役に立つ。
旅をする気がなかったとしても、これらの褒美に目の色を変える者がいるだろう。
国王の元には数えきれないくらいの若者が馳せ参じた。
いずれも腕に自身のある猛者ばかり。
我こそは救世主と気勢を上げて互いに争う場面すら見える始末。
国王は頼もしい若者たちの姿に満足そうだ。選定から洩れたとしても、これだけ強そうな若者たちの姿を見れば王都の人々も安心することだろう。
だけどその時を狙って、混乱は起きた。
国王が招いた若者たちの中に本物の救世主がいるかもしれない。
そう判断した『敵』からの襲撃である。
王都は一気に暗雲に包まれ、正門は破られた。
魔物の襲撃である。
それも複数の種が入り乱れた、大規模襲撃だ。
今まで同一種の魔物が群れを成して人里を襲ったことはあった。
だが複数の種による混合集団など報告例は一度もない。
混乱の中、集められた若者たちの行動で彼らの本質が垣間見える。
なりふり構わず逃げる者、戦う勇気もなく座り込む者。
考えなしに突っ込んでいく者、互いの協力が必要だと協調を訴えて迎撃に備える者。
そんな中、他の誰も気に留めなかった男に注目した者がいた。
男はおろおろと取り乱しながらも、戦士たちの袖を引いては何かを訴えようとしている。
頼りない様子は恐怖から縋ろうとしているようにも見えた。
戦士たちは男の話を聞こうともせず、振り払ったり避難所へ向かうように促すばかり。
男が言いたそうにしている言葉を聞く者はいない。
だけど落ち着いた様子で、男に行動の真意を問う者がいた。
珍しい青紫の髪の若者である。
ようやっと話を聞いてもらえるとわかり、男は焦りながらも要点だけを抜き出して訴えた。
自分は魔物の研究をしている学者である。
今回の襲撃に現れた魔物は聴覚に優れた魔物が多い。古来、王都周辺に多かった種である。
この王都には昔、魔物を追い払うための特殊な鐘があった。
王都を囲う壁が出来てから使われることもなくなったが、重要文化財として手入れはされている。
魔物を追い払えるほどのアイテムなのだから、この襲撃にも有利に働く……と思う。
若者が保管場所はわかるかと問うと、男は勿論だと頷いた。
では行こうと、当然の様に若者は男の訴えを信じて走り出す。
その若者こそ、予言された救世主……ゲームの主人公であった。
学者の知恵と勇気と知識を頼りに罠(※盗難防止)をかいくぐり、魔物除けの鐘が収められた博物館の奥へと進む。たどり着いた先で鐘を見つけるも、鳴らす前に横やりが入った。
大きな蝙蝠型の魔物に乗って表れたのは、人にしか見えない謎の人物。
窓をぶち破って登場するや、主人公たちを邪魔しようと襲い掛かってくるが……
謎の人物は床に転がっていた窓枠の残骸を踏んでバランスを崩し、別の窓から転落して消えた。
なんともいえない沈黙が広がる中、主人公と大きな蝙蝠の魔物との戦いが始まる。
蝙蝠と謎の人物を退け、鐘を鳴らす主人公。
その音色は王都を包み込み、魔物たちは苦しみ悶えて戦えなくなる。
多くは倒され、残りは逃亡した。
助かったのだという安堵と祝福の中、改めて集った若者たちの資質が試される。
代々次代の王を選ぶときに用いられてきたという魔法の鏡は、人の本質を映し出すという。
魔物撃退の立役者として、主人公へと最初に魔法の鏡は渡された。
そこに映ったものは、神なる獣――青いドラゴンの姿。
これこそ竜の神セムレイヤの加護の証であろう。
王の言葉により、主人公は正式に『救世主』として認められることとなる。