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16.ボス戦後の混乱



 蝙蝠を見事な手並みで鮮やかにリューク様達が打倒する。

 その光景を、じわりと胸に染み入る感動と共に魅入るメイちゃん。

 そんな私の隣に、何時の間にか、鳥。


「………………いつの間に駆け付けたの、セムレイヤ様」

「たった今です。リュークや貴女の様子だけは、天界からノア様に露見しない範囲でそっと見守っていましたが。常に。ですが見守るだけでは不測の事態に対応できませんからね」

「不測の事態? あ、ラヴェントゥーラさん? だったらもう、強制退場済みだよ☆ ヴェニ君のエクストリームアタックで。リューク様の活躍もほぼほぼ終了しつつあるし、駆けつけるのが遅かったよセムレイヤ様」


 やっぱり、息子の活躍は生で拝見したかったってことかな。

 いつもは封印が緩んで比較的自由度の上がったノア様に見つかって余計な警戒を招かないよう、自制してリューク様からある程度の距離を取っているのに。

 こんなに近くにまで寄ってきたのは、リューク様の育った村が焼けて以来じゃないかな。

 昔の、リューク様のペットのふりをしていた時の仮の姿を再び見ることになろうとは思いもしなかったよ……


「いえ、リュークの雄姿を見る為だけに来たわけではないのですが」

「ううん、良いの。多くは語らなくっても良いよ、セムレイヤ様。メイちゃん察した!」

「そうですか……それでは、これを渡しておきますね」

「え?」


 そう言って、ふぁさっと私の手に渡された物。

 それはメイちゃんが日頃から愛用している……『3点セット』。


「今から、ここに納められた鐘を鳴らすのでしょう?」

「え、うん」

「……私は『影響』を防げますが、己自身を未だ知らぬリュークには難しいでしょう。いざという時は、メイファリナ。貴女に頼みます」

「え、ちょっ……どういうこと? セムレイヤ様ー?」

「後は頼みましたよ……!」

「セムレイヤ様ー!?」


 ……一体、どういう意味なの。

 なんかよくわからない内に、なんかよくわからないことを頼まれた。

 それだけはわかったんだけど……詳しい説明も無しに、セムレイヤ様は飛び去っていく。

 ちょ、詳しい説明はー!?


 

 セムレイヤ様が、何を言いたかったのか。

 私に何を頼んでいたのか。

 それがわかったのは、リューク様達が鐘を鳴らす為に向かった先でのこと。


 蝙蝠を倒したリューク様達は、鐘の前に進み出る。

 その場にはミヒャルトとスペードも同行していて。

 ……ヴェニ君だけは、窓から落ちていったラヴェントゥーラさんを「チッ……逃げやがった」なんて悪態を零しつつ追いかけて離脱していたけど。

 概ね、面子も欠けることなく。

 というかヴェニ君は完璧に乱入者だったし、嵐のように現れて過ぎ去っただけだった。

 うん、リューク様達は誰1人欠けることなく、目的である鐘楼に辿り着いたよ!

 そうして、鐘の音が王都に響く……



 異変は、すぐに表れた。



 さっきまでふらふらしてたし、やっぱりリューク様は体調不良だったのかもしれない。

 鐘の音に合わせて力を失い、ふらっと倒れるリューク様の姿。

 それが私には、なんだかスローモーション撮影された映像みたいに見えた。

 リューク様が倒れちゃう! 頭でも打ったら……危ない!

 そう思ったら、私の体は咄嗟に動いていた。

 凄い瞬発力を発揮して。

 たぶん、火事場の馬鹿力的な。


 しゅぱっ!


 効果音をつければ、そんな感じの瞬発力だったと思う。

 頭の中には、リューク様の頭部を守んなきゃって。

 それだけしかなかったよ! うん。ホントだよ!


 みんなの注目が大音声で鳴り響く鐘の音の発生源に向かっていた、というか……鐘撞小僧よろしくゴンゴンやってるミヒャルトやスペード、今日初めて出会った面々よりも当然の帰結として自分のパパさんの方に注意がいっていたサラス君以外の、全員が。

 私にとっては都合の良いことに、全員が他人を構っていられない事態に陥っていた。

 誰も私に気付かなかったよ! 幸いなことに。


 私はヴェニ君相手に鍛えた気配の隠蔽技術をフル活用で、一気にリューク様の背後へと。

 どうやらほとんど意識を飛ばし、朦朧としながらもなんとか踏み留まろうとしていたリューク様……その膝が、かくっと折れて背後に倒れ込み……

 かけたところで、私がぽふんっと受け止め……ようとしたんだけど、意識の無いリューク様の体を全身で受け止めたら動けなくなっちゃうので!

 私はさっきセムレイヤ様に渡された『3点セット』を、今この時こそ使いどころと思いっきり広げた。


 私がお昼寝の時に愛用している、3点セットを。


 私はそれらが無事にリューク様の体を保護し、あたたかく包み込まれるように位置を整えると……他の誰かに気付かれる前にと、再び今度は焦りからいつも以上の瞬発力を発揮して、一気に元の隠れ場所へと退避した。


「父さん!? 父さぁーん!?」


 リューク様とほぼ同時にかくんっと力を失って倒れたスタインさん。

 そんな父親に驚き、心配し、焦るサラス君の悲鳴じみた声が聞こえる。

 スタインさんに続いて、倒れはしなかったけどアッシュ君とエステラちゃんが膝をつく。

 この場で平然と立っているのは、獣人の3人だけ。

 彼らも何が起きたのかと、流石に焦りで狼狽える。

 アッシュ君とエステラちゃんは、呻き声すら上げない自分の仲間は無事かと気力を振り絞って頭を上げた。


「おいリューク、お前は大丈夫か……って何この優雅な有様!?」

「一体どこから現れたの、この大きなクッション……あ、ふかふか」

「ダメな奴だ……これ、ダメ人間を量産する類のクッションだ!」

「あ、このブランケットもふわふわ……」


 頭痛に苛まれ、頭を抱えながらも仲間を心配して振り返ったアッシュ君とエステラちゃん。

 彼らが目にしたのは、巨大な羊型クッションに身を沈め、ふかふかの羊柄ブランケットで体を包み込み、更には羊のぬいぐるみ風抱き枕に顔を埋める……意識の無い、リューク様のお姿で。

 どっからどう見ても、その姿は『昏倒』ではなく『お昼寝タイム』だった。

 うん、場違いっていうか超☆不自然。

 正直、やらかしちゃった気がしないでもない。

 というか『メイちゃんのお昼寝3点セット』をそのまま使ったのは拙かったかもしれない。

 

 幼馴染の2人が、訝し気な目でめっちゃこっちを見ている。


 今ので、完璧に私がいることバレたっぽい。

 うっわぁ、どうしよう。追及されたらどう逃げよう?

 私が冷や汗ダラダラ流しつつ、それでもなお隠れていると。


「厄介事のニオイがする……」

「は?」


 私の隠れた場所を凝視していたミヒャルトが、ぴくんっと何かに気付いて顔を上げた。

 何やらこしょこしょとスペードに耳打ちを始める。

 何を聞いたのか、スペードはスペードで腑に落ちたって様子で。

 どんどん2人のテンションが下がっているのがわかる。

 うん、一体なにごと?


「サラス、僕達このへんでお(いとま)するよ」

「ちっと厄介なねーちゃんが近づいてるみたいだしな!」

「え、……え?」

「じゃあ後は頑張ってね」

「ちょっとミヒャルトおにぃさーん!?」


 そうして、2人はひらりと壁から飛び降りて消えた。

 その行動に、サラス君は更にぎょっとする。

 だけど隣で倒れたパパさんの体を支えているので動けない!

 現場に残されたのは意識が完全に飛んでるリューク様と、身動きの取れないスタインさん。

 それから意識はあるものの頭痛の酷さに未だ立ち上がれずにいるアッシュ君とエステラちゃん。

 わお、まともに動けるのサラス君だけだよ!

 これは途方に暮れるのも仕方ない。

 なんでみんな一斉に体調を崩したのかよくわかんないしね!


 だけどサラス君にとっては幸いなことに。

 少年にとっての救世主は、時経たずにやって来た。


「伯父様、やっと追いつきましたよ――ってなんですかこの惨状は!?」

 

 肩で息をつき、その場に駆け付けたのは。

 ぴこりと動く猫耳と猫尻尾、そしてミヒャルト激似のそのお顔……

 ミレニアおねーさんがそこにいた。


 おねーさんの顔を見た瞬間に思った。

 あ、ミヒャルトの呟いた『厄介事』ってこれか、って。

 面倒がって逃げたな、あの2人。


 フォローをする気皆無な弟さん達が逃亡したせいで、対応する相手もいなくって。

 駆けつけた姿のまま、ミレニアお姉さんは足を止めざるを得なかったよ。 

 彼女が目にしたものは……率直に言って、混沌とした現場な訳で。

 重症なヒトから順番に状況を説明すると、こんな感じだし。


 ・ リューク様 → 優雅なお昼寝スタイル(意識不明)。

 ・ スタインさん → 昏倒(意識不明)。

 ・ アッシュ君&エステラちゃん → 頭を抱えてぐったり(行動不能)。

 ・ サラス君 → 半ば実父の下敷き(涙目)。


 予想していなかったらしい光景だったんだろうね!

 ミレニアおねーさんは狼狽えながらも、迅速に対応してくれたよ。

 やっぱり騎士として教育を受けているだけあって、緊急時でも頼りがい抜群だね☆

 手際よく博物館の付近にいた騎士さん達に声をかけてくれて。

 彼女の手配により、リューク様達は王宮に運ばれた……みたい。

 ……重要文化物、器物損壊の疑いで収監された訳じゃないよね? 違うよね?

 状況的に罪に問われる為なのか、それとも保護されたのか微妙によくわかんなかったけど。


 でも、一応は『ゲーム』と同じ流れを踏襲している。

 色々、ほんっとうに色々予定外の紆余曲折はあったけど。

 『ゲーム』通りの流れなんだから……流石に投獄されてたとかそんなことにはならない、筈。


 もしもこのまま『ゲーム』の通りに話が進むなら。

 次は王宮で『再生の使徒』としてリューク様が認定を受けるイベントが発生……する筈なんだけど。


 その光景、是非とも見たい。


 そう思わずにはいられない訳なんだけど、流石に王宮はねぇー……。

 平民の身分で、そうそう足を運べる場所じゃないんだよね。

 腕試しも兼ねて、ワンチャンス狙って忍び込むのも手だとは思うんだけど。

 メイちゃんの今の隠密的な技量なら、なんとかイケる……かも?

 イケると自分を信じて、こっそり侵入しちゃう?

 だけど見つかっちゃった場合のリスクが高すぎるんだよね……いやいや、リスクが高いからって諦めるの? 諦められるの? そんな現実を前に挑戦を諦める程度の気持ちで、私はここまで走ってきたとでも……?

 ……違うよね。違うよね、私。

 リスクを前に怯えて、怖気づいて立ち止まれるぐらいの気持ちで、私はここにいる訳じゃない。物理的な障害を問題にして熱意を失う程、私の(こころざし)は弱くはないはずだよ。

 そんな程度の気持ちで、私は ス ト ー カ ー 目 指 し て ないよ!!

 そもそも王宮内のイベントだからって諦めるようなら、ラストダンジョンにまでひっそりこっそり身を隠してストーキングしようなんて考えない!

 忍び込むのが難しくっても、道を探せば……!(物理的な意味で)


 よし、忍び込もう。


 ……って思ったんだけどね?

 王宮には何故か猫獣人の騎士が滅茶苦茶たくさん勤務してるって聞いてちょっと考え改めた。

 なんで猫獣人限定で『滅茶苦茶』なんて言われるほど獣人騎士が多いの?

 え? そういう歴史的背景がある?

 よくわかんないけど、でも『猫獣人の戦闘職』と聞いたら侮れない。

 物心つく前から幼馴染としてミヒャルトを見てきたから、メイちゃん知ってる。

 猫獣人(ミヒャルト)って、なんでかめっちゃ気配に敏感なんだよね……それはスペードも、だけど。2人とも同じくらいの戦闘訓練を受けてるけど、比べてみたらミヒャルトの方が、やっぱりちょっと気配察知能力高めかな。

 身体能力とかだけじゃなくって、五感が優れてるってレベルでもなくて。

 本当になんで気付けるの!? ってこっちが仰天するくらい。

 隠密技術の向上は、主にヴェニ君相手の訓練で培ってきたつもりだけど……今までの経験上、ヴェニ君よりも何故かミヒャルトから身を隠し通す方が難しいんだよね。

 それに気づいてからは、ミヒャルト相手に気配を殺す訓練に重点を置いてきたけど。

 今でもヴェニ君よりミヒャルトから隠れ通す方が成功率低いんだよね……。


 そんなミヒャルトと同じ、猫獣人で。

 しかもしっかりみっちり戦闘訓練と騎士教育を受けてきただろう専門職の皆さんが大勢勤務している王宮。

 忍び込んで、最後まで侵入に気付かれず帰って来られる気がしない。


 ここはやっぱり工夫が大事かも。

 不法侵入するにしても、正攻法(物理的な壁越え)じゃ不安が残る。

 やり方を考えなくっちゃ駄目だ。

 侵入したことがバレても、最悪、足がつかない。

 そんな良い方法は何かないかな?


 一応、期間限定で『正規の方法』もなくはないんだけど。

 なんでそんなことになったのか、よくわからないけど。

 何故かメイちゃんのパパ……シュガーソルト・バロメッツが現在王宮に滞在してるらしいから。

 うん、本当にね? 本当に何故そんなことになったのか知らないけど。

 パパは名実ともに、『王国最強の漢』になっちゃったらしい。

 武闘大会の決勝戦が再開された訳じゃないのに、どうしてそうなった。

 現場に居合わせたアメジスト・セージ商会の人に聞いたところ、魔物の襲撃で再試合する余裕は暫くなさそうだから、どうせなら戦場での活躍で誰が最強か決めるかって決勝戦で戦うはずだったパパと近衛騎士団長さんが軽~い気持ちで口約束したことに端を発するらしい。

 でも約束した直後、王都に鳴り響いた鐘の音によって近衛騎士団長さんはノックダウン!

 鐘の音に煩わされずに動き回れる馬獣人なパパがさくさく魔物を駆除していった結果、戦績的にパパが最強ってことで話が纏まったらしい。

 だからパパは現在、大会の優勝者扱いってことで王宮に滞在させられている(・・・・・・・)

 私、実の娘だし。

 ちゃんと手続きしたら面会できるはずなんだけどー……ほら、メイちゃん平民だし?

 王宮なんて場違いな場所にまともに足を運んでも、どう振る舞って良いかわからないよね! 不法侵入ならいざ知らず! 不法侵入なら、ひっそりこっそり気配殺して陰に身を潜めながらこそこそ移動したり調べものしたり聞き耳立てたりすれば良いけど。正規の手続き踏んで堂々と王宮で行動するとか、小市民には難易度高いよ! 堂々と行動するってどうやったら良いのかわからないもん!

 まあ、ただ単にパパに会いに行けば良いだけなんだろうけど。

 でも怪しい動きを取ったら、すぐに足がついちゃうし。

 足がつくどころか、王宮に入る時点で既に身元が特定されてるし。

 そんな状況で不審なことをやったらパパやママにまで迷惑がかかっちゃう!

 何より自由行動が出来ないってところが辛いよね! ふらふら出来ない!

 だから出来れば、やっぱり身元を隠して王宮で動き回れるような作戦が欲しいんだけど。



 本当は、落ち着いて静かにその方法を検討したい。

 だけど現在、私は。

 それどころじゃない事態に陥りつつあった――。


「――それじゃ、どういうことか説明してもらおうか?」

「勿論、話してもらえるよな」


 メイちゃん、と。

 2人揃ってにっこり笑顔で私の名前を呼んでくる。

 だけどね、うん、正直に言うけどね?

 顔も声も爽やかだけど……2人とも、めっちゃ白々しくってうわぁって感じなんですけどー!


 現在、私は。

 ミヒャルトとスペードと、あとついでにヴェニ君に囲まれていた。

 現場はアメジスト・セージ商会の、王都屋敷。

 ロキシーちゃんが律儀に用意してくれていた、『アメジスト・セージの執務室』。

 商会の采配は完璧にロキシーちゃんが取り回してるから、アメジスト・セージ(わたし)に執務はない。

 つまりこの部屋って形だけ存在はしてても、ほぼ使われる予定のない場所で。

 誰かが入ってきて助けてくれる可能性はその分低い。

 つまり誰かの助けは期待できないから、逃げたきゃ自力で逃げろってことなんだけど。


 → メイちゃんは逃走を試みた!


「どこ行くの? メイちゃん」

「どこ行くんだ? メイちゃん」


 ミス! 回り込まれて逃げられない!


 周囲をがっちり固められていて、逃げる隙が見当たらない。

 ねえ、なんでメイちゃん壁際に追い込まれてるの?

 なんで前方にいるミヒャルトとスペードの2人は、私の左右に手をついてるのかな。

 メイちゃんの脳裏に、前世の漫画で見た光景が思い出された。

 これ『気弱な男子中学生をカツアゲするヤンキー2人』の図だーっ! ←混乱中。

 ついでに2人の後方に静かにたたずむヴェニ君は、ヤンキー2人を配下に従えるアニキってところですかー!? ←やっぱり混乱中。


 なんだかとっても逃げられる気がしない、この状況。

 多分、3人が私に問い詰めたいことってアレだよね。

 あの、博物館でのこと。

 私がリューク様達のストーカー人生、その第一歩を踏み出した、あの日。

 3人にとっては私が何をしているのか理解不能だったんだろうなぁ。

 だからこそ、どうして私がこそこそリューク様達のストーキングをしていたのか、確認しに来たのか。

 

 私は彼らに、なんて答えるべきなのかな?

 こんな追い詰められた状況で、上手く言い包める自信はない。

 だからって、正直に本当のことを包み隠さず言うのもマズいと思う。

 どうしようかなぁ、なんて答えようかなって。

 思い悩んでいたら、ドアの向こう……廊下の方から、ばたばたばたって足音が聞こえた。

 ……まっすぐ、こっちに向かってくる?

 何かなって、首を伸ばして注意を向けたら。

 大慌てなノックの後に、誰何(すいか)も待たずにドアが思いっきり全開に。


「教祖様はこちらにおいでですかなー!?」


 バーンってドアを大開きにして。

 飛び込んできたのは、トーラスさん……5年前に死んだ(と、リューク様は思っている)筈の、リューク様の魔法のお師匠様だった。

 今は死んだことにして身を潜め、アメジスト・セージ商会の顧問相談役として暗躍する魔法使いのお爺さん……諸事情により、私を『教祖様』と呼ぶ。

 止めてって言ってるのに、中々『教祖様』呼びが抜けないんだよね……。

 そんなお爺様が、乱入してきた訳ですよ。


 あ、そうだ。

 トーラスさんって、リューク様のお師匠様なんだよ。

 そのことは3人も知っていて、何らかの事情があって直接会うことが出来ないってところまでは理解している……はず。

 丁度良かった! トーラスさんのこと思い出せて!

 折角だから、リューク様の追跡はトーラスさんにお願いされてだったっていって誤魔化そう! うん、そうしよう!


 ……それが結構、苦しい言い訳だってわかってはいるんだけどね?

 まだまだまだまだまだまだまだまだ、正直に事情を話せそうにないメイちゃんのことをどうか許してほしいな!



 




話がなかなか進みませんが、次回こそは舞台を王宮に移したい、と思います。

キーワードは『パーティー』です。

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