1/5
晴れの日
いつもの時間 いつもの場所で
いつも少女は いつもの道化師と
いつも彼は、そこにいた
全身真っ黒の奇抜な衣装を身にまとい、奇天烈なメイクを施した顔で、私におどけて笑うのだ
毎日、毎日
同じ時間に、同じ場所で、同じ格好をしては、彼は踊ったり、歌ったりしながら芸をする
途中で失敗するのも、同じ芸の、同じ場面
見せ場の大技の最後の最後で、彼はいつも失敗する
「また、失敗したね」
「そうですね…」
「何で、他のにしないの?」
「これしか出来ないのですよ…」
「変な道化師さんね」
「良く、言われます」
そう言って、彼はまたおどけた様な苦笑い
では。と私に声をかけてから、いつも通り路地裏にスッと消えて行く
それを見るたび
私は、彼を幽霊のようだと思ってしまう