プロローグ
プロローグは硬い感じになってしまいました・・・
「才能がない」
という言葉は、時に人に真実の刃として深く突き刺さる。
とある偉人が、
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
と言ったそうだが、そんなはずはない。
皆、気づいても目を背け、目を背けなくてもそれを受け入れてしまう。
そう。世の中にはやはり、「できる人間」と「できない人間」の二通り存在するのだ。
断じて公平ではない。
そしてその才能という壁は人々に高く立ちはだかる。
才能には勝てない。凡人は高みに限界がある。その事実は、もはや・・・常識である。
しかし世の中、非常識な奴というものは必ずと言っていいほど存在する。
外でパンツを出して走ったり、電車内で大声を上げているような奴らだ。
非常識な行動をしている本人には非常識なことをせざるを得ない理由があるのかもしれないが、それらの理由を知らない者にとっては非常識だと思われてしまうのである。
だがここで一つ注意してほしい。非常識と迷惑はイコールではないのだ。
かの有名なエジソンはこう言っている。
「大事なことは君の頭の中に巣くっている常識という理性を綺麗さっぱり捨てることだ。もっともらしい考えの中に新しい考えの糸口はない」
つまり、常識にとらわれない。非常識こそに価値があると言っている。
この少年。ジン=オルスタも非常識者の一人だった。
才能という壁を認めながら、抗い続けた。凡人の高みの限界にたどり着いてなお努力した。
千年もの時。それは少年にとって、長い時間だった。千年もの努力などもはや人間業ではない。
少年は走っていく。
化け物や襲ってる猛獣などを傷だらけになりながら倒していき、ただひたすら走っていく。
目の前には光が見えた。俺はそこに向かって走る。
そして、
「はぁはぁはぁ・・・」
やっとたどり着いた。こここそが千年間俺が努力してたどり着きたかった場所だ。誰もたどり着くことの出来なかった神聖な場所。
俺は目の間に広がる綺麗な泉に入り体全体を濡らし、泉の中央にある小さな島へ跳ぶ。
そしてその島のさらに中央にある木の下の穴、地下空間に入る。
「あった・・・」
中に入るとこの世界のシンボルである蝶の絵柄が彫ってある金色の器を見つける。
そうこれこそが、世界のあらゆることを叶えると言われる、金蝶の器。
俺はこの器を手に取り願う。
「蝶の魔女・・・リナを生き返らしてくれっ・・・」
そういうも何も起こらない。だから叫ぶ。
「代償はリナと会ってからの俺の記憶全てっ!」
そういうと意識が飛んでいき、あっという間に視界が暗くなった。
「あっ・・」
目を開くと空が見えた。そして水の音が聞こえる。ここはどこだろうか。
頭が酷く痛い。自分が何故ここにいるのかさっぱりわからない。俺は家にいたはずだ。
俺はひとまず起き上がる。そして目の前にあった川の水を飲む。
「ぐはっ・・・」
生き返る。かなり俺は喉が渇いていた。
とりあえず俺はどこへ行けばいいのだろうか。そもそもここはどこなのだ。
「はぁ・・・」
「その答え知りたいっ?」
「うわっ!」
声の聞こえた後ろを振り向くと銀髪の長い髪を持つ少女がいた。
「うふふふっ!そんなに驚かなくてもいいのに」
「だって知らない・・・」
だって知らないやつがいきなり後ろにいたらびっくりするだろ。そう言いかけて途中でやめた。俺は彼女を赤の他人じゃないように感じたのだ。
それに彼女は泣いていたのだ。笑顔を作りながら。
「ここはね。今覚えているあなたの世界の千年後の世界」
「・・・」
何を言ってるんだこいつは・・・
「あなたが私を救ってくれた」
「・・・」
どう意味だ。俺はお前を助けた覚えなど・・・ぐっ頭が痛い。
「本当にありがとうっ。私はあなたにまた会えてよかったっ」
「・・・」
何故お前はそんなに幸せそうな笑顔をして泣くんだ。
なんで俺まで泣いているんだ。涙がなぜこんなにも出てくるんだ。
「あなたは覚えてないと思うけど私の名前はリナ・・・ううん。間違えた。私の名前はルリ=ウスタリカよろしくねっ!今度こそあなたに辛い思いはさせないから。平和な日常。あの頃の日々を取りもどすから。」
「・・・」
俺はこの時よくわからないが差し出された手を掴んだ。
その手は何故だか温かくその手は涙でぬれていた。
一話から本格的な日常の始まりです。ありがとうございました。