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第四話「イデア」






 色々と現状について考えてみた。


 まず、俺は異世界に行って、人間をやめている。イデアを使えなくなってしまったのはたぶんその時だろう。自分を魔改造した自覚はあったが、まさか、DNAレベルで改造していたとは……。

 まあ、とにかくそれでイデアに関するゲノム情報がバグって今に至るわけだ。


 ではそもそもイデアとは何か?

 俺はこの先どうなるんだと思いながらも今さっき【無限叡智】によって刷り込まれた情報からイデアとは何たるかを脳裏に投影させていった。





      †  †  †





 イデアとは、2050年以降の人間が持つイディトロンと呼ばれる特殊なゲノム情報を持った塩基配列を元に人工的に造り出される、その人物の『心象』をカタチにしたものである。


 平たく言えば、その人物の心のあり方がそのまま形になったものだ。故に、ある程度イデアの性質が遺伝すると言えど、人によってその形は変わる。……確か、古くなった冷蔵庫を取り替える際、その冷蔵庫に押し潰されそうになった事がトラウマで、イデアが冷蔵庫(のようなモノになってしまった知り合いがいたな。……強く生きろよ、貴司(タカシ)…。


 閑話休題。


 イディトロンにはイデア化塩基配列と呼ばれるイデアの設計図とも言える塩基配列が備わっており、(アデニン)(チミン)(グアニン)(シトシン)の他に(イグシン)(デアニン)が加えられた、全部で六種類の塩基によって構成される。



 イディトロンは人によって構成が異なり、先程少し供述した通り、多少遺伝する(雪奈のイデアの形状は、母のイデアが色濃く遺伝していた)。これは単純に、皮膚や瞳、髪の色等の形質が人によって異なるのと同じ原理だ。


 しかし、その人物の心身の成長や状態、強いコンプレックスや願望等が絡み合い、塩基配列が変化し、イデアも変貌する事がある。

 この塩基配列が変化する現象を『変心性・ヌクレオチド連鎖連結反応』と呼ぶ。


 ケースは様々で一様に括る事は出来ないが、俗に『進化』とか『変化』とか言われる。研究がつづいているにかかわらず、未だに原理が不明。スキルの【無限叡智】でも有力な情報は収集できなかった。


 イデアは前述した通り、心身のコンディションによってその形状や性質が左右されるため、使用者は特に精神のケアにも注意が必要である。


 そして一番重要な情報が、ヒト単体の能力ではイデアを構築する事が出来ないというものだ。

 故にイデアは、日本のとある研究機関、「IDGM(イディアゲノミクス)」によって製造された『強化付与イデアゲノム』を接種することで、初めて物質化できるようになるのだ。


 ……イデアの基本情報を説明するならこんな所だろうか。



 そんな風に思考を中断したときだった。


 第二検査室(この部屋)の向こうから。とんでもない衝撃と爆発音が響き渡った。







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