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一幕

さそりの尻尾と星の火と

作者: valota666

この作品のために貴重なお時間を割いていただきありがとうございます。

昔々荒野に蠍の尻尾と呼ばれる女の子がいました。

その子は荒野の民のなかにあってどこにいるような女の子です。

ちょっと日焼けした焼きたてのパンのような肌と編みこんだミツアミが蠍の尻尾が特徴的ですがそんなのはどこにでもいます。


流行り病にかかりある日蠍の尻尾は死んでしまうのでした。その死は彼女を知る者達は大いに嘆き悲しんで乾いている荒野を涙で潤すほどでした。



死んでしまった蠍の尻尾ですが、死んだ後でどこに行けばいいのか判らなくて荒野をさまよっていました。

冥界への道なんて普通知るわけないのです。決して彼女が方向音痴で迷っているわけではないのです。そこは荒野の民である彼女の名誉のために強調しておきましょう。


死んでしまった彼女を見える者が無くてとても寂しい思いをしました。

そんなある日、彼女は迷子の子供達を見つけました。

自分が寂しい思いをしているから子供達を仲間にすれば寂しくなくなるかなと一瞬思いましたが、それはいけない事だと首を振りました。

自分が寂しいのに誰かまで寂しい思いをさせるのはとても良くないことなのです。良いことは続かないのに良くないことは続けてしまう。とても悲しい現実なのです。



蠍の尻尾は良い子でした。迷子の子供達を親元に戻すにはどうしたらいいのかなと悩みました。

迷子のままだと荒野で死んでしまうから誰か大人の居るところに送ればいいかと思いました。


では、どうやってそこまで送ればいいのかなと考えました。誰にも見れない姿だからその前に現れても意味がないのです。

そもそも死霊の身で現れたらお迎えが来たとばかりに驚かれてしまうのはあたりまえです。そのくらいの考えは彼女にも出ています。


そこで蠍の尻尾は神様にお願いしました。

子供達を親元に返す為に力を貸してください

荒野の神様は近くに優しい旅人がいる事を教えました。

風の神様は子供達の周りに冷たい風が吹かないようにしました。

夜空の神様は星を一つ彼女に落して灯を与えました。


蠍の尻尾は荒野の神様が教えてくれた場所がいると子供たちがうずくまっていました。

その場所は冷たい風が吹かずに暖かい風が覆っていました。

蠍の尻尾は星の灯を頼りに子供達を旅人の所に導きました。


「おい見ろ、妹!あっちに火があるぞ。誰かいるんだ。」

「にーちゃ、つかれた。」

「あとちょっとだ、がんばれ。」

「おなかすいてうごけない。」

「背中に乗れ。いくぞ。」


子供達は旅人の所で美味しい物をたっぷり食べてゆっくり眠りました。

次の朝には旅人が角笛を吹くと四方八方から荒野の民が集まりました。

その中には子供達の親もいました。迷子の子供達は無事に親元に戻れたのでした。

それを見て彼女はとても満足しました。

自分は寂しいけれど子供達が無事でよかったと


そうして彼女は静かに立ち去ろうとした時に角笛で呼ばれた神官様とお弟子の料理人さんが彼女の姿を捕えたのです。

彼女は星の灯を持っているのでとても目立つのでした。

お弟子の料理人さんは彼女を呼び止めるとお菓子を沢山振舞うのです。

神官様は子供達が星の光で導かれたと言っていたのを知っていたので彼女が子供達を導いてくれたことに気が付き頭を撫でてほめました。

彼女は星の灯を持ったことで独りぼっちではなくなったのです。


夜の神様は子供達の事を思いやる蠍の尻尾の事を心配して星の灯を落としたのです。


蠍の尻尾は料理人さんのおいしいお菓子を食べて元気になって、神官様は神様にこんな良い子を一人ぼっちでさまよわせてはいけないとお願いしました。


でも蠍の尻尾は星の灯があるのだから、迷子で困っている人を助けたいと言いました。

料理人さんはいいことだと言いました。

神官様はそれは大変な事で独りぼっちだよと心配しました。

蠍の尻尾は言いました。

でもこまっているひとをたすけるのはいいことだよね


神官様は神様にお願いしました。

死して尚幸い願う困ったちゃんをどうにかしてくださいと。


太陽の神様は良い子じゃないかと諭しました。

冥界の神様は自分の救いを断るとは困った子だと苦笑いしました。

大地の神様はすべての迷子にはたどり着く道がある事を彼女に言いました。

荒野の神様は自分のいる土地で馬鹿で優しい子がいる事を喜びました。

夜空の神様は星の灯に蠍尻尾のことをお願いしました。

神様たちは相談して

そして蠍の尻尾に星の灯が尽きるまで迷子を導く仕事を与えました。


神官様はこんないい子が冥界で良い思いしないことに嘆きましたが神様に仕事を与えられたならば仕方ないとお菓子と薬を渡して役に立てなさいと言いました。そして荒野の人達に彼女を見かけたら家族みたいに受け入れて下さいとお願いしました。

料理人さんは神様に料理を振舞って彼女の事をお願いするのでした。


夜空の神様は星の灯が尽きたら遊びにおいでと言いました。

神様たちは彼女のことを祝福しました。そして蠍の尻尾は荒野を旅することになりました。



十の迷子を親元に返しました。百の感謝を受けました。

百の迷子を親元に返しました。千の感謝を受けました。


百の月日が過ぎました。千の知り合いができました。

千の月日が過ぎました。千の友達ができました。

荒野の民は彼女を古い友達のように家族のようにもてなしました。



蠍の尻尾は一人で荒野を旅しています。でも、独りぼっちではありません。

荒野にいるすべての人が彼女を家族と同じように受け入れてくれますし、夜の星たちは彼女に語り掛けてくれるのです。


神官様はたびたび荒野に来て彼女に冥界に行かないのかと説得にかかるのです。そのくせ冥界へ行かないことを聞くと苦々しげな顔をして薬やら食べ物をたくさん置いていくのです。この人も大概暇なのかお人よしなのか荒野の人たちは苦笑いです。





広く厳しい荒野にて道に迷った旅人がふと見渡すと仄かに燈っている灯があります。

その灯に向かって進んでいくと人のいる場所にたどり着くことができます。

いつしかその光を蠍の火と呼ぶようになりました。

彼女は今でも荒野を旅して迷子を導いているのです。




もし荒野で赤く光る灯を見つけたら、そこには彼女がいるので仲良くしてあげてください。

救いの手を払いのけて誰かの為にあろうとするおバカさんなのですから。




「おかーさんに嫌いって言って飛び出してきちゃった。」

「うんうん、でも嫌いじゃないでしょ。」

「うん、いもーとが生まれてからあたしのこと見てくれなくて・・・・・・・・・・・・・・」

「妹はおかーさんの助けがないと何もできないからすぐに死んでしまうからね。おかーさんも坊やのことを嫌いなわけないんだよ。」

「いもーとしんじゃうの?それはヤダ!」

「そんなにすぐには死なないから大丈夫だよ。おかーさんも心配しているからおうちに帰ろう。おねーちゃんもついていってあげるから。」

「うん・・・・・・・・・・・・・」




「おらも冥界に行っていいだか?何百年も逝かなかったのに・・・・・・・・・・・」

「冥界の神様はオジーちゃんの事を待っているよ。大丈夫、神様優しいから。」

「で、でも・・・・・・・・・・・・・おらは百人殺しても守れなかったんだぞ。そんな罪深いおらが救われていいわけが・・・・・・・」

「でも、娘さんはオジーちゃん来ないって待っているんだよ。お嫁さんも従妹さんも又従妹さんも・・・・・・・・」

「そっか、蠍尻尾の嬢ちゃん案内頼めるか?」

「うん!」




「うーん、今夜の夕飯は何にしようかしら?」

「羊のスープで。山羊は昨日ごちそうになったし・・・・・・・」

「それ蠍尻尾ちゃんの希望でしょ、仕方ないわねぇ・・・・・・・・」

「わーい。」

「おや?蠍尻尾ちゃんか、久しぶりだねぇ。今夜はうちに泊まっていくんか?泊まっていくんだろう。泊まらないなんて選択肢はないぞ。」

「お帰り貴男、ただいまのあいさつはないの?」

「おっと、ただいま。我が最愛よ。」

「そんなこと言って蠍尻尾ちゃんにご執心だったのは知っているんだからね。」

「あはははは・・・・・・・・・・」

「ごめんね、あたし。仕事に身をささげた女なの・・・・・・・・・・・」

「うーん、本当のことだけど少女の姿で言われても違和感しかないわ。」

「俺もそう思う。」

「・・・・・・・・・・・・・・・」




「蠍尻尾さん、おれあの子とこの子どっちにしようか迷っているんだけど・・・・・・・・・」

「とりあえず、水場行って身ぎれいにしたほうがいいと思うよ。あと鏡見ろ。」

「そんなこと言って蠍尻尾さんも俺に気が・・・・・・」

「二股かけられる顔か!あと、あの子もこの子もそれぞれ相手いるんだからあきらめな。」

「・・・・・・・・・・・・・・」




「おれのやる仕事は馬の尻を追いかけることだけじゃないと思うんだ・・・・・・・・・・・・・・・」

「はいはい、馬も満足に扱えないのがほかの仕事できるの?町に行って稼げる技ある?どんな仕事使用があんたの自由だけどさぁ・・・・・・・・・・・・・・・ビックになってやると言って落ちぶれて帰ってくるオチだよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」



蠍尻尾ちゃんは星の灯を片手に今日も元気に導いています。

なんか人生の迷子を導いて・・・・・・・・いないか・・・・・・・・とどめさしてるだけだし。

飲んだ勢いで綴ってみた。3000文字って結構分量がいるものだ。

さて、飲み直そう。

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