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 町に戻ると教会へ行った。神父は、三人の仲間が裏切ったことを聞くと、そうなるのではないかと思っていたといっていた。

「いや、敵の討伐隊で帰って来るものなどほとんどいないのですよ。帰って来る者は、血も涙もない薄情者ばかりです。なぜか、仁義に熱いものほど、敵の側に寝返ってしまうのです」

 帰って来る者は血も涙もない薄情者ばかりとな。ほう、この神父、ぼくが帰って来たことを知っているのに、なおかつそんなことをいうのか。ちょっとキレ気味のぼく。

「それでさあ、どうせなら、裏切らないかわいい女の子が仲間になってくれると嬉しいんだけどねえ」

 とにかく、神父は貴重なツテだ。手放すわけにはいかない。

「それなら、天文台に行くといいですよ。そこに<氷の美少女>と呼ばれるものすごい美少女がいますから、その女なら、血も涙もないので裏切られることはないでしょう」

 なんか、怖そうな女の子だなあ。

「どんな子なの? 血も涙もないって」

「実際に敵と戦って裏切らずに帰って来た者の一人です。それが、一緒に行った二十人の仲間を皆殺しにして帰って来たんですよ。他にも残酷な逸話がたくさん」

 それは怖い。

 しかし、裏切らないんだな。ならば、その女の子と手を組むのがいいだろう。まさか、いきなり襲ってくることはあるまい。

「その女の子は天文台に行けば会えるんだね」

「はい。そこにいるはずです」

 そういうことで、ぼくは教会を離れ、天文台へと向かったのだった。旅の途中にすれちがう美少女たち。かわいい。なんて素敵な異世界なんだ。みんな、かわいくて優しいし、敵と会わなければ、こんなに居心地のいい世界はない。この世界に来てよかったなあ。

 と思っていたのも束の間、いざ、天文台に着いてみると、ぼくはその認識を新たにすることとなった。

 氷の美少女がいたのだ。

 なぜ、氷の美少女と呼ばれるのか、理由は実際に見てみると、神父の話から想像していたのとはちょっとちがった理由なのだということがわかった。血も涙もないから氷の美少女と呼ばれているわけではないのだ。肌が、真っ白なのだ。完全な白に近い肌をしている。美しい。氷の美少女とは、血も涙もない性格を表すと同時に、その肌の白さを表すことばでもあったのだ。

 この特殊な遺伝子をもっているらしき美少女に、はっと目を奪われてしまった。紅茶を入れて飲んでいる氷の美少女のその仕草をずっと目で追っていた。目が釘づけになってしまった。なんてかわいいんだろう。かわいいというより美しいという形容詞の似合う美少女だった。

 氷の美少女の目は、赤だった。

「目、赤いんだね」

 とぼくは話かけた。

「ああ、色素が薄いので、血の色が見えるらしい。この目の赤さは血の色の赤さだ」

 と氷の美少女は答えた。

「名前はなんていうの」

「レキ」

 氷の美少女は答えた。

 ぼくはキリヤだと名のってから、氷の美少女に話を持ちかけた。

「ぼくと組んで、敵を倒さないか」

 単刀直入にいったのだが、それが悪かったか。説明が不十分だったようだ。

「断る。どうせ、裏切る」

 レキはそういってすぐさま拒絶した。ぼくはなんとか説得しようとする。

「ぼくも敵と戦ってきたんだ。仲間はみんな裏切った。ぼく一人で逃げ帰って来たよ。ぼくは敵に惑わされない」

「ほう。敵と戦ってきたのか」

「うん」

 レキは心を動かされたようで、気のせいか、不気味ににやりと笑った気がした。

「どうして、天文台にいるんだい、レキは? ここでぼくも寝泊りしてもいいのかな」

 と聞いてみると、

「公共の施設だ。許可はいらない」

 とレキが答えた。この時のぼくは、レキのいうことは決して素直に信じるわけにはいかないと感じたのだけれど、レキの許可をとったということで押し通せるまで押し通してしまおうと考えた。

「天文台って星を見るところだろう?」

 とぼくが聞くと、レキは意外そうに答えた。

「そんなことも知らないのか。驚きだなあ。どういう教育を受けて来たんだ。天文台は、支配下にある惑星群から貢物を受けとるための施設だ。ただ星を眺めているだけではない。貢物を送らない惑星があれば、恒星間ミサイルを発射して惑星に罰を与えるのも天文台の仕事だ。星々を総べる拠点だぞ、天文台は」

 なんと。この異世界では、星々に渡って人が住み着いているらしい。

「敵の正体は、ひょっとして宇宙人か」

 とぼくが聞くと、氷の美少女は答えた。

「いや、ちがうな。この宇宙に存在する神に次いで力強い敵、あるいは、神よりも力強い敵だといえるだろう」

「神よりも強い……」

 それは、とてつもなく強いのではないか。

「わからないよ。神がいったいどんなものかはわかっていないからね。だが、敵は、考えられるかぎり、神の構成要素に近い存在だ」

「神の構成要素? なんなんだ、それは」

「何も知らないのだな、おまえ」

 氷の美少女に、バカにされてしまった。


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