第99話:夜襲
ウルヴァリンとアサシン。タッグを組んで闇夜に忍び寄る。
交州にて正規軍と交戦状態の交州反乱軍の拠点を発見した俺達は夜襲を行なう為に休息を兼ねてその場に息を潜める。
敵の数はやはり2個師団級の兵力のようであり、装備も揃っている。だが敵兵はかなりバラバラな面があり、特徴が見られる。
その他と違って統制が取れているのが山越だろう。山越を除いた反乱軍連中の殆どは賊上がりか何かであり、恐らくは金に釣られて傭兵みたいに契約を結んだのだろう。
そして潜伏開始から8時間後の午前1時頃。俺達は敵陣地に潜入を開始する。理由としてはこの時間帯が人が一番熟睡している時間帯であり、夜襲を仕掛けるには最適の時間帯とされている。
俺はクラウドと共に闇夜を進む。
<ハンター3-1からハンター1-1。敵指揮所はそこから300m先。周辺に敵兵の姿は少数>
「了解した。そのまま監視を続行してくれ。ハンター2-1及び1-2。そっちは?」
<脱出路に敵の姿はなし。敵は油断しきっています>
<ハンター1-2も同じく>
「了解だ。何か変化があればすぐに報告を。ハンター1-1 out」
監視を行なっている部下達に確認をするとすぐに通信を切る。
俺達の計画した作戦はこうだ。アサシンのコードネームを持つクラウドと共に隠密行動を取りながら敵指揮所に接近。
内部制圧後にテルミット爆弾を設置。脱出完了後、起爆して退却するというものだ。
その間、俺を除いたハンター1は俺達の脱出路、クラウドを除いたハンター2は部隊の退却路を確保。
ハンター3はサプレッサーを装着したSCAR-SSRとM40A5を用いて敵部隊の監視と狙撃。
既にヴェアウルフには攻撃の報告は行なっており、回収予定地点にオスプレイを向かわせることになっているが、時間が02:10から5分間だけ。
更に脱出地点までは50分は掛かる距離であるので、作戦時間は10分間しかない。
つまりは時間が無いということだ。俺とクラウドは迅速かつ慎重に敵指揮所へとSCAR-L CASVとサプレッサーを装着させたUSP,45を構えながら突き進む。
「12時方向に敵2名」
<中佐、ここからでは死角になって狙撃は不可能です>
「分かった。こちらで対処する。クラウド、グルカに持ち替えろ。暗殺といくぞ」
「了解」
前方にいる敵2名が邪魔で前進出来ない。俺はM37K PUP SEALsナイフ、クラウドはグルカナイフを取り出して背後から忍び寄る。敵は油断しきっており、背後からの俺達に気付く気配は全く無い。
タイミングを見計らって同時に敵に飛び掛り、口を塞ぎながら片足を蹴って態勢を崩し、俺は相手の心臓部分に突き刺して、クラウドは声帯を切断。
敵は何が起こったのか理解出来ないまま絶命。時間が無いのてしたはそのままにしておいて指揮所へと急ぐ。
<ハンター3からハンター1-1>
「感度良好。前方の天幕がそうか?」
<中佐、前方の天幕に旗があればビンゴです。サーマルセンサーで内部に敵兵4名を確認>
「了解だ。このまま制圧に向かう。周辺に仕掛けたクレイモアを回収していてくれ。ハンター1 out」
確かに前方には反乱軍の牙門旗と思われる旗が靡いていたが、入口付近に敵の衛兵がいないのは気になる。
普通なら衛兵の1人はいるはずだが・・・。しかし下手に倒して内部の人間が騒ぎ出さなくなったからかえって好都合だ。俺とクラウドは新しいマガジンに交換して入口の左右に陣取る。
「クラウド、1.2.3で突入する。いいな?」
「了解です中佐。いつでもどうぞ」
それぞれSCAR-L CASVとUSP,45を構えて突入態勢を取る。
「・・・1・・・2・・・3‼」
カウントをして、3になった瞬間に内部に突入。内部には確かに敵兵4名がいたが、突然の出来事に反応が遅れ、そこに5.56mmNATO弾と45,ACP弾を撃ち込む。
中にいた敵兵4名を射殺するとボディランゲージを取る。
「指揮所制圧」
「クラウド、テルミット爆弾を仕掛けろ」
「了解です。20秒下さい」
クラウドがフィールドバックからテルミット爆弾を取り出し、適当な場所に設置する。その間に俺は机の上に散乱していた竹簡や書類を探る。何か有力な情報がないか探す為だ。
すると一枚の書類に手を向かわせる。
「・・・マジかよ・・・・・・」
「中佐、設置が完了しました・・・・・・中佐?」
「見てみろ」
そういってクラウドに一枚の書類を手渡し、内容に彼は驚きを隠しきれなかったようだ。
「これは・・・・・・交州反乱軍討伐の初期計画書・・・・・・」
「ああ、しかもつい最近のものだ。ご丁寧に補給部隊の中継場所まで書かれてる」
「確かこれを知ってるのは一部だけでしたよね?」
「ああ、となると答えは一つだけだ・・・」
「軍上層部に裏切り者がいる・・・・ですか?」
クラウドがそういうと頷く。書かれていた内容は数日前に行なわれた交州進軍に関する軍議で検証された進軍経路を記した地図だ。ひとまずはそれをコンバットシャツの腕ポケットに畳んで仕舞うとSCAR-L CASVを構え直す。
「検索は後回しだ。ひとまずは脱出するぞ」
「了解です」
そういうと再び闇夜に身を潜めながら味方部隊と合流して、点火機を手にして設置したテルミット爆弾を起爆。
指揮所周辺に起爆の際に発生した火災で赤く染まり、近くにあった天幕を伝って燃え広がり、消そうと奮闘した奴もいたが、大半は真っ先に逃げ出して鎮火したのは陣地の大半が燃え尽きた後だ。
情報を入手した俺達は誰にも悟られることなく予定の地点で迎えにきたオスプレイを操るオーディンによってヴェアウルフに帰還。
だが、今回の仕事はまだ掛かりそうだ・・・・・・。
情報を入手してから暫くの許晶。そこに曹の名を持つ三人がいた。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
[曹一族]
三人の曹が対話をする。